核データ研究グループ

研究内容



核データ評価
JENDL
Japanese Evaluated Nuclear Data Library
評価済み核データライブラリー (Evaluated Nuclear Data Library) は、
核データの推奨値をまとめたデータファイルです。 日本原子力研究開発機構 核データ研究グループ (旧 日本原子力研究所 核データセンター) は、 日本国内の核データ関係者の協力を得て、 日本独自の評価済み核データライブラリー JENDL を作成しています。
JENDL (Japanese Evaluated Nuclear Data Library) は、
1977 年に JENDL-1 を公開した後、 改良を重ね、 現在は 406 核種のデータを格納して 2010 年に公開した JENDL-4.0 が最新版です。 JENDL-4.0 のように広い応用分野での利用を目指して編集したファイルを 『汎用ファイル』 と言います。 利用分野を限定して必要なデータのみを整備した 『JENDL 特殊目的ファイル』 の作成も行っています。
日本最初の核データライブラリ JENDL-1 」が
日本原子力学会 1 回 歴史構築賞 を受賞しました。
右写真は歴史構築賞のトロフィー (2009421 日)
歴史構築賞トロフィー

核データとは
 原子力の研究は原子核が持っているエネルギーを取り出して上手に利用する技術を開発することが目的です。 このエネルギーを取り出す道具が原子炉ですが、原子炉の中では中性子と原子核との間に種々の反応が起こってます。 そのうちでもっとも劇的な現象は核分裂や核融合です。
 原子炉は中性子がウラン-235やプルトニウム-239などと衝突し、核分裂を起こすことによって生じるエネルギーを取り出す 装置ですが、その特性を決めるのは原子炉中にあるウランやプルトニウム等の原子核と中性子との核反応です。このような 種々の反応の起こる大きさ(確率)を表すデータを核データと呼んでいます。核反応は中性子に限らず、陽子やアルファ粒子 などが原子核に衝突することによっても引き起こされます。これらの核データもさまざまな分野で重要となります。
 また放射性同位元素(RI)から放出される放射線の種類やエネルギー、原子核の励起状態を表す核構造データなども核データです。
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核データの評価
 核データは基本的には実験値を基に決定されます。しかし核データの測定は電荷を持たない中性子を発生させたり検出したりしなければ ならないため複雑になり、測定されたデータには様々な誤差が含まれます。また、必要なすべてのエネルギー点や反応、核種についての データを測定できるわけではありません。一方、原子力で必要な核データは、ある決まったエネルギー範囲で連続的に一組の値が与えられ ていなければなりません。したがって、実験データがそのまますぐに利用できるわけではなく、核物理の理論を用いた計算値や統計学を使用した 推定値なども加えるなどして、最も真の値に近いと思われる核データを求める研究が行われてます。これを核データの評価と言います。
 評価された核データを評価済核データと呼び、これらを一定の書式(フォーマット)にしたがってまとめたデータファイルを評価済核データライブラリ と呼んでます。評価済データはさらに目的に応じでさまざまに処理され、原子炉の設計では核データをエネルギー区間ごとに平均し群定数と言われている 形にしたりして利用されます。
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核データ測定・原子核構造研究
研究内容の概略
核データの基礎となる実験データを提供するため、 中性子捕獲断面積などの測定技術開発および測定実験を行っています。 また、原子核を包括的に理解するとともに、 実験データが不足している原子核の理論予測精度を向上させるために、 核構造・核反応の基礎的、系統的な研究を行っています。
ANNRI

*実験装置の一例


核データ測定研究
高速増殖炉や、加速器駆動炉のような革新的原子炉システムを設計する場合、 従来の軽水炉での反応を支配する熱領域の中性子だけでなく、 熱外中性子から速中性子までの反応の寄与を考慮しなければなりません。 特に、マイナーアクチノイドや長寿命核分裂生成核種の速中性子捕獲断面積が、 核変換炉など革新炉を設計するために必要とされています。 しかしながら、実験的に測定された中性子断面積は、核種・エネルギーによっては信頼性が充分でなかったり、 全く測定データがないことがあります。 これらを含めた中性子断面積の測定を、原子力機構3号炉(JRR-3)、 産総研などで行っています。 さらに、J-PARC物質生命科学実験施設に建設した中性子核反応測定ビームライン ( ANNRI )を使い、 中性子反応断面積を測定するための装置開発や断面積測定実験を行っています。

・TOF法による共鳴領域での中性子捕獲断面積測定
核変換炉や将来の原子炉を設計するためには、 MA,FP核のeV-keVの中性子捕獲断面積が必要とされています。 こうした共鳴領域での中性子捕獲断面積測定に飛行時間法( TOF法 )を用います。 私たちは、より高感度・高精度にこれらの核データを取得するために、4πBGO検出器の開発を行ってきました。 さらに、より高度な測定をするために、全立体角Geスペクトロメータの開発を進めています。 そして、これを用いた中性 子捕獲断面積測定をJ-PARCに建設した ANNRI 施設で行っていく予定です。

・放射化法による熱中性子捕獲断面積測定
核分裂生成物(FP)核種、マイナーアクチノイド(MA)核種が、 中性子とどのくらいの確率で反応するかを正確に知るためには、 熱中性子捕獲断面積及び共鳴積分の精度の高いデータが必要です。 しかしながら、FP,MA核種の中には、データが全く存在しないか、 存在しても測定精度が低いものがあります。基礎的な核データを整備するために、 放射化法を用いて精密な測定を実施しています。
原子核構造研究
原子核を構成する陽子と中性子は、 非常に狭い空間で結びついて原子核を構成しています。 この原子核の結びつきは、陽子、中性子の数によって、 強く結合したり、原子核を変形させたりします。 私たちは、重イオンビームやレーザーなどを用いた実験を行い、 原子核の性質の系統的な研究をしています。 原子核は約5000核種の存在が理論的に予測されておりますが、 存在が確認されているのは約3000核種程度で、 その性質は、安定な原子核でも明らかにされていないものがあります。 私たちの実験で得られる原子核の情報は、広範囲な領域に適用できる原子核模型の構築や、 包括的な核反応計算の高精度化に必要とされています。 原子炉設計においては、測定された中性子捕獲断面積のほとんどは安定核で得られたものなので、 革新炉の設計などに必要とされる不安定な原子核の核断面積はどうしてもモデル計算の助けが必要となります。 本研究で得られる知見は、こうしたモデル計算開発における基礎基盤情報となります。

・レーザー核分光
レーザー技術を用いて、原子核構造の研究を行なっています。 たとえば、タンデム加速器施設で生成された不安定核について、 レーザーを用いた技術で、核のスピンやモーメントの測定などを行っています。

Modified at 2016/02/04 08:22 [JST]

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