第2回リアクター(LWR/FBR)積分テストWG 議事録(案)

日時 : 1995年1月25日(水) 14:00〜17:45

場所 : 原研本部第1会議室

出席者 :
委員 : 秋江拓志(原研)、飯島進(原研)、石川眞(動燃)、亀井孝信(高速炉エンジニアリ
ング)、河北孝司(三菱)、菊池康之(原研)、小室雄一(原研)、佐治悦郎(東電ソフトウェ
ア)、瑞慶覧篤(日立)、高野秀機(原研)、鷹見益夫(CRC)、竹田敏一(阪大)、田原義寿
(三菱)、馬野琢也(原研,中島健代理)、林秀行(動燃)、森貴正(原研)、山本宗也(東芝)
オブザーバー : 植之原勇二(東芝)、小林薫(日立)、山本章夫(原燃工)

配付資料 :
資料2-1  第2回リアクター(LWR/FBR)積分テストWG(含前回議事録) (高野)
資料2-2  NEANSC MOX燃料PWR格子のボイド反応度効果ベンチマーク (森)
資料2-3  MOX炉心に対するMVP改良効果 (森)
資料2-4  臨界安全水溶液実験の解析 (森、小室)
資料2-5  FCAによるC8/F9の実験と解析 (飯島、桜井)
資料2-6  JUPITERにおける反応度実験および解析 (石川)
資料2-7-1ENDF/B-VIの1次元ベンチマーク計算結果 (高野)
資料2-7-2keff for 233U fuel cores (MVP) (高野)
資料2-7-3233U FISSION CROSS SECTION (菊池)
資料2-8  Benchmark Tests of JENDL-3.2 for Thermal and Fast Reactors
         (核データ研究会報文) (高野)

議題 :
1)  前回議事録の確認

2)  MVP、VIM、MCードの相互比較
    前回会合において報告された、MOX燃料軽水炉体系での連続エネルギーモンテカル
ロコードMVP、VIM、MCNP間の不一致について、その後の検討経過が原研の森氏よって説
明された(資料2-2, 2-3)。この検討はすべてJENDL-3.1を用いて行われた。
    MVPコードでの熱中性子散乱の取扱を、熱中性子散乱則S(α,β)が与えられる上限
エネルギーより上のエネルギー範囲(水素では2eV以上)で一部変更することにより、ボ
イドのない体系で0.2%ほどkeffが減少しVIM及びMCNPと一致するようになった。
    ボイド体系でのMCNPコードと他の2コードの差異については、原研において作成さ
れたMCNPライブラリとそれを変換して得られたMVPライブラリを用いて行った計算がほ
ぼ一致することから、前回比較されたMCNP計算との差異はライブラリ作成の過程の違い
が原因と考えられる。
    また、本検討の中で天然ZrとZr同位体の核データを用いた計算結果の間に差が見ら
れたことについて、菊池氏より「JENDL-3を個々の同位体ではなく天然元素に用いる場合、
天然元素の核データを使用してほしい。」とのコメントがあった。

3)  臨界安全水溶液実験解析
    原研・燃料サイクル安全評価研究室が行った、低濃縮ウラン水溶液体系ベンチマー
ク計算の結果を森氏が報告した(資料2-4)。アメリカORNLで行われた実験に対してはMVP
とMCNPの結果はほぼ一致したが、フランスCEA実験では一部の炉心で不一致があった。
不一致が見られたのは扁平でかつ上方向の反射体がなく中性子のもれが多い体系である。
両コードの非分離共鳴領域の取扱に差がある、JENDLからpoint-wise断面積を作成する
時の誤差(0.1%とか0.5%とか)の違いが影響するのではないか、等のコメントがあった。
ただ、フランスCEAの実験解析はkeffを約1.5%過大評価しているので、実験の計算モデ
ル化に問題があり、ベンチマーク問題としては不適当と考えられる。

4)  C8/F9の実験と解析
    かねてから指摘され前回も議論の対象となった、高速臨界実験における反応率比C8/
F9の問題点(ZPPR-9炉心でC/E値が約5%の過大評価であるのに対し、FCAXVI炉心等では誤
差内で1.0となる)について、原研の飯島氏と動燃の石川氏より、それぞれ資料2-5(FCA)
と2-6(ZPPR)を用いて測定法菊種補正の方法が説明された。
    飯島氏が測定値間の差が大きくなる可能性の高い量として検出器の校正係数をあげ
たのに対し、石川氏は箔による測定値をセル平均値としての実験値に変換するセルファ
クターに原因があるのではないかとの意見であった。セルファクターについてはモンテ
カルロ計算等でさらに検討することはできる。ただ、個々の測定値に2%近い誤差がある
かも知れないことを考えると、5%のくい違いが生じることは充分に考えられるとのこと。
    C8/F9は高速炉の増殖性のみならず燃焼反応度にも影響の大きい量であるため、今
後ともこの問題をつめることは重要である、ただし実際問題としてこれを解決するには、
ZPPR、FCAそれぞれの測定法を同じ臨界実験(例えばFCA)に持込んで、同時に測定を行う
以外ないかも知れないというコメントがあった。

5)  ENDF/B-VIのベンチマーク計算
    2)及び4)の議論に時間を費やしたため、簡単な報告が高野氏より行われた。高速炉
の1次元ベンチマーク計算(資料2-7-1)では、実験値あるいはJENDL-3.2と比べkeffを約
1%過大評価する結果を与えることがわかった。またU-233高速炉心(資料2-7-2)では、
JENDL-3.2によるベンチマークで1%以上の過大評価にあるkeffを改善する。
    U-233に関してはMeVから数10MeV領域でのJENDL-3.2とENDF/B-VIの核分裂断面積の
違いが原因であろうとのことであった。これに関して菊池氏より、「JENDL-3.2のU-233
断面積の再評価は可能である(資料2-7-2)が、JENDL-3.2には一切の改訂は加えない方針
なので、特殊目的ファイルを新たに作ることになろう。」と報告された。

6)  その他
    1994年核データ研究会で報告されたJENDL-3.2のベンチマーク計算の報文(資料2-8)
が紹介された。

次回予定 :
    次回は3月15日午後14:00より、東電ソフトウェア会議室において開催予定。平成7
年度計画等が議題となる。