各位
柴田@原研核データセンターです。
2月23日(月)に開催されたFP核データ評価WG会合の議事録(案)をお送り
致します。
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     FP核データ評価WG平成15年度第2回会合議事録(案)
日時: 平成16年2月23日(月) 13:30-17:45
場所: 原研計算科学技術推進センター第1小会議室
出席者:渡部隆(東工大)、石川眞、古高和禎(サイクル機構)、瑞慶覧篤(日立)、
        安藤良平(東芝)、村田徹(アイテル)、松延廣幸(元住友原子力)、
        千葉敏、中川庸雄、柴田惠一(原研)
配付資料
FP03-18	FP全断面積の比較	                                中川
FP03-19	変形核における球形及びチャネル結合模型計算の差について	千葉
FP03-20	捕獲断面積(スムーズパート)の比較図	                柴田
FP03-21	分離共鳴パラメータの現状調査(MoとRu)	                中川
FP03-22	担当核種(Y,Zr,Nb)の共鳴パラメータ調査	                村田
FP03-23	New measurements for resolved resonance parameters	柴田
FP03-24	Experimental data on RRP for newly added nuclei in JENDL-4
		                                                柴田
FP03-25	Status review on integral test of evaluated fission product
	nuclear data                                    	瑞慶覧
FP03-26	LWRのPIE解析から見た重要なアクチニド・FP核種データ	安藤
FP03-27	高速炉に於いて重要なFP核種・反応	                大木
議事
1.	報告事項
 柴田委員が昨年末開催された運営委員会においてJENDL-4の開発が正式に
承認されたことを報告した。また、ワーキンググループメンバーとしては、
来年度から渡部氏(東工大)、堀氏(京大炉)が加わる予定であることが
報告された。
2.	議事録確認
 前回会合議事録を確認した。
3.	FP全断面積の比較
 中川委員がKoning-Delaroche(KD)のglobal及びlocalポテンシャルによ
る球形光学模型計算とJENDL-3.3の全断面積の比較について資料FP03-18に
基づいて説明した。Xeより重い核で、KD計算値の低エネルギーでの振る舞
いはJENDL-3.3と食い違ってくる。144Ndでは、JENDL-3.3は測定値からずれ
ている。10MeV以上で、JENDL-3.3が測定値を再現できてない核種が幾つか
見つかった。(例えば、80Se、81Br、90Sr、89Y、100Ru、152Gd)
4.	球形及びチャネル結合光学模型計算
 千葉委員が資料F03-19に基づき、238U及び152Smを例として取り上げ球形
及びチャネル結合計算の差について説明した。測定値の再現性(χ2値で比
較して)の観点から、変形核ではチャネル結合計算が球形計算に比べ優って
いる。なお、チャネル結合計算でも結合する準位数を充分大きく取らないと
χ2値はそれ程小さくならないことも判明した。
5.	捕獲断面積の比較
 柴田委員が1990年以降のデータとしてEXFORに登録されている測定値と
JENDL-3.3の捕獲断面積の比較(スムーズパート)を行った。(FP03-20)
全体的に新しい測定値(JENDL-3.3作成時点では考慮されていない。)は
JENDL-3.3と良く一致している。但し、134,136,137Ba、142,143Nd及び
159Tbでは差が見られた。
6.	分離共鳴パラメータの現状調査
 中川委員がMo、Ru(FP03-21)、村田委員がY、Zr、Nb(FP03-22)の分離
共鳴パラメータの現状調査を行った。また、柴田委員が全FP核種の1990年
以降の共鳴パラメータの文献及びEXFOR no.のリスト(FP03-23)及び新28
FP核種について共鳴パラメータの現状リスト(FP03-24)を作成した。
 SAMMYコードを使った共鳴解析の必要性が議論され、出来れば次回会合
で古高委員にSAMMYの使いかについて説明して貰うことになった。
7.	STEK実験解析
 瑞慶覧委員が資料FP03-25に基づきFPの積分実験であるSTEK実験解析
(JENDL-3.2使用)について報告した。JNDCとDietze氏の解析結果に差が
あるものの、強吸収体でC/Eが1.0から10%以上ずれているものについては、
評価上留意した方が良いということになった。即ち、99Tc、109Ag、127I、
133Cs、145Nd、149,150,152,154Smである。(注意:99TcはJENDL-3.3で
改訂されている。)なお、一般的に強吸収体の微分データは豊富にあり、
かつ、評価値はそれをフォローしているはずであるから上記の核種での
差は、必ずしも断面積データによるものとは言い切れないとのコメント
があった。
8.	LWRのPIE解析から見た重要なFPデータ
 安藤委員が資料FP03-26に基づき国内、国外(Arianeプログラム)の使用
済軽水炉燃料のPIE解析結果(FP03-26)を報告した。Arianeプログラム
での解析結果では、103Rh及び109Agの生成量のC/E値が1.0より大きくずれ
ている。(103Rh:0.3?2.0, 109Ag: 1.8?2.7)
9.	高速炉に於いて重要なFP核種・反応
 サイクル機構大木氏が高速炉で重要となるFP核種・反応について纏め
(FP03-27)、それを石川委員が解説した。以下に用途毎に重要な核種を
列挙する。
a)	燃焼度モニター
   核種:142,144Ce, 142,143,144,145,146,148Nd
   反応:中性子捕獲反応(100eV-1MeV)
b)	タグガス
   核種:78,80,82,83,84,86Kr, 124,126,128,129,130,131,132,134Xe
   反応:中性子捕獲反応、反応生成物の分岐比。124,126Xeの中性子
         捕獲反応は優先度が高い。
c)	低除染燃料
   核種:101Ru, 103Rh, 105Pd, 143Nd, 149,151Sm, 153Eu
   反応:中性子捕獲反応(100eV-1MeV)
d) LLFP核変換(一緒に存在する同位体、不純物の断面積も必要)
   核種:128Te, 127,129I, 128,130Xe (129I核変換)
      99Tc, 100,101,102,104Ru,103Rh,105,106,107Pd(99Tc核変換)
   反応:中性子捕獲反応(0.01eV-100eV)
   減速材の散乱則*:CaHx、YHx
* 散乱則については、本グループのスコープ外である。「シグマ委員会と
   しても、現状では整備不可能である。」とグループ・リーダーがコメント。
10.	今後の進め方
 共鳴パラメータについては、その原子核固有のものなので各担当者が評価
を進める。スムーズパートの断面積については、もうしばらくその評価手法
(コード、模型パラメータ)の検討を続けることにした。FP核種の評価優先
順位については、今までの議論を参考にグループ・リーダーが検討すること
にした。
次回会合予定
  平成16年6月初旬  東京地区
宿題事項
1.	古高委員
 SAMMYコードの使い方についてWG会合で説明する。
2.	柴田委員
 評価の優先順位について検討する。