各 位 昨年12/20に開催されました第1回医学用原子分子・原子核データグループの 議事録をお送りいたします。 原田康雄@昭和大学 [Minutes of the Medical Use Group] ----------------------------------------------------------------- シグマ研究委員会・医学用原子分子・原子核データグループ 平成16年度 第1回会合議事録(案) 開催日時:平成16年12月20日(月)13:30〜17:30 開催場所:昭和大学「昭和大学病院」17階 第4会議室 出席委員:赤羽恵一(放医研)、今堀良夫(京都医科大)、上原周三(九大)、 加藤 洋(都立保健科学大)、古林 徹(京大炉)、原田康雄(昭和大)、 森林健悟(原研) 欠席委員:伊藤 彬(癌研究会)、遠藤 章(原研)、長谷川智之(北里大)、松藤成弘(放医研)、 配布資料:MED-2004-1-1:平成16年度 医学用原子分子核データグループ第1回会合概要 MED-2004-1-2:平成15年度 第2回会合議事録 MED-2004-1-3:アンケート調査準備作業検討資料 MED-2004-1-4:医学用原子分子核データに関するアンケート用紙(案) 議 事: 1.報告事項 昨年度第2回会合以降の本委員会に関する活動の概要、すなわち、平成16年6月の運営委員会に出 席し、e-mailを通じて事前に検討した平成15年度の活動概要と平成16年度の活動計画について報告 し承認されたこと、特に、アンケート調査に関して運営委員会でも期待していることが報告された。 また、その平成16年度の計画に基づき、現在までアンケート調査準備作業班を中心に検討を続けてき たことなどの経緯が報告された。(古林委員) 2.前回議事録の承認 配布資料MED-2004-1-2のとおり承認された。 (http://www.senzoku.showa-u.ac.jp/dent/radiol/Prometheus/Committee/SIGMA_2004DEC.html) 3.招待講演及び委員報告 3.1 招待講演 演 題:「核融合科学研究所における原子データ収集作業:核融合からプラズマプロセス、天体、 大気、環境までの原子分子データ収集作業の現況について」季村峯生氏(九大) 核融合のためのデータとして、最初は核融合炉の中心部の高温プラズマ(e^{-}, p, He^{2+},・・ ・等)の反応データを対象としていた。しかしその後の研究によって、炉の壁材料(W, Fe)との反応 を含む、壁付近での低温プラズマや、それらのイオン同士の反応によって生成する中性原子分子を 含む様々なイオン状態が重要であることが解ってきた。そのため、現在では、広範な物質(H, H2, He, Be, C, O, H2O, CH4, C2H2, CO2, O2など)を対象としてデータ収集活動を行っており、核融 合以外の天体、大気、環境、医学等、幅広い分野に対する関心が高くなっている。演者は世界で 最も活発な活動を行っている核融合科学データベースFIFS作業会のメンバーとデータセンターの 現状を紹介し、最近の話題として反応O^{+}(4s) + H2やH + CH4の電荷移行断面積の数10eV/u領域 における実測値間の大きな食い違いの原因を解明した原子衝突物理への演者らの貢献について説 明した。また、多様で膨大なデータの性格上、データ収集に不可欠な組織間協力の現状と将来計 画について協力を求めた。また、FIFSデータベースにはURL=http://dbshino.nifs.ac.jp/からア クセスできることが報告された。 3.2 委員報告 演 題:「医療被ばくと線量評価」赤羽委員 医療被ばくの対象者は、医学目的の「行為」に関係する患者、介護者、志願者などである。2000 年以前の医療被ばくに関する我が国からの調査結果は、原子放射線の影響に関する国連科学委員 会報告UNSCEAR2000のAnnex Dにまとめられている。演者はこれに関連した医療被ばく線量に対し て行ってきた研究等について紹介した。すなわち、世界の医療被ばく線量の評価は、数学ファン トムを用いたモンテカルロ計算か、人型ファントムを用いた実測と様々な統計調査に基づいてい ること。演者の所属する放医研では、これまで国内アンケート調査と実測による臓器平均線量、 実効線量および集団線量の推定値を報告してきていること。その結果と他の研究の比較から、我 が国の医療被ばくは先進諸国間で飛び抜けて高いことが明らかになり現在問題となっていること。 近く公刊予定のICRP新勧告による放射線荷重係数や組織荷重係数の変更に対応しつつ、現状の問 題究明と2000年以後我が国における各種医療被ばくの実態調査、中でも臓器平均線量の正確な算 定が今後特に重要と考えられること、等であった。 演 題:「アンケート調査の準備状況について」原田委員 アンケート準備作業班で平成16年3月以来討論してきたアンケート調査の方針と内容をついて、 配付資料にもとづき報告された。その要点は、(1)新しいデータへの現在の要望を知ること、およ びデータ生産評価に関係している人材や研究室など知ることを目的とする。(2)データの利用者と データ生産者・評価者の双方に意義のあるアンケートとする。(3)アンケート調査後の回答者への フィードバックについてあらかじめ考慮する。(4)アンケート調査を通じて本データグループの活 動とその意義を広く知らせ,今後の本データグループの活動方針等を検討するための一助とする。 (5)配付資料に示した具体的なアンケート用紙案を本会合で検討し確定する。 (6)調査方法につ いては、e-mail等電子的方法を前提として準備を進める。調査対象の候補の学会のmailing list (ML)に送付することを本会合で検討確認し、関係団体の協力を事前に要請する。(7)集計結果等 はwebで公表するが,e-mailでの送付を希望する個人には、後日送付することも考慮する。など、 現在までの準備状況の概要が報告された。 4.討議事項 4.1アンケート調査について 古林委員より提案のあった二段階アンケート調査法(調査協力者を募集し、その方だけにアン ケートを実施する)について検討した。すなわち、最初に協力者の募集を、関係する学会のメー ルリストを用いてアンケートの主旨説明を行い、応募者にe-mail address等を返信して貰う。次 に、返信を戴いた個人に対してのみ直接調査用紙の送付や調査用紙のURLを通知する。この方法は、 SPAMメール等の問題が発生することを恐れる諸学会のMLに対して一定の配慮を可能とする大きな 利点がある。 アンケート実施を平成16年度中に行うための具体的な手順として以下のことを検討した。 (1)主旨説明文の案はグループリーダーが作成し、メールで確認してから配布する。 (2)アンケート調査の具体的な方法の可能性、すなわち、アンケート用紙を掲載するWebページの 開設、返送先e-mail addressの利用などについて原研核データセンター問い合わせ等を確認する。 (3)アンケート調査内容の最終的な詰めの実施。具体的には、専門分野の選択肢に、理論・実験・ 臨床を加えること、分かりやすい複数解答の書き方として解答事例を調査用紙に加えることなど。 (4)調査対象とした以下の学会に協力依頼を行うこととし、関係委員で分担して下調べを行う。 ・日本医学放射線学会・日本核医学会・日本放射線影響学会・日本保健物理学会・日本原子力学 会・応用物理学会(放射線分科会)・日本医学物理学会・日本物理学会・日本放射線技術学会・ 日本医用画像工学会・原子衝突協会など 4.2今後の進め方 (1)アンケート調査:平成17年1月末実施を目標とする。 (2)来年度委員:アンケート調査の集計完了まで特段に異存の返事を受けないかぎりは現状のメ ンバーを維持する。また、来年度はグループリーダーの交代などについて検討する。 5.その他 次回はアンケート調査結果集計のまとめを行うため、来年度の早い時期に会合を予定する。 [以上]