シグマ研究委員会 ドシメトリ−積分テストWG
                                  議 事 概 要 (案)


開催日時: 平成7年7月4日(火) 13:30〜17:40
場 所 : 原研本部、第5会議室
出席者(順不同・敬称略)
    小林捷平、岩崎 信、小田野直光、青山卓史、池田裕二郎、
    桜井 淳、島川聡司、中川庸雄


議 事

1.「常陽」ドシメトリ−試験における JENDL Dosimetry File の使
  用経験
 今年度より新しく委員として参加戴くことになった青山卓史氏(動
燃・大洗工学センタ−)より、今まで、常陽にて蓄積されてきた、1) 
燃料・材料等の照射試験、2) サ−ベイランス試験、3) 炉心核計算法
などに関するドシメトリ−試験の成果について紹介があった。
 燃料・材料の照射評価においては、中性子スペクトルが極めて重要
な要因となることから、実験・解析フロ−チャ−トを示し、常陽で進
められてきた箔放射化法を中心とする実験手法と核計算結果について
詳しい説明があった。
 常陽での中性子スペクトルは、(n,γ)、(n,f)、(n,p)、(n,α)反応
を主体とした10種類以上の放射化デ−タを NEUPAC コ−ドで解析する
方法により求められている。また、核計算では、MAGI/CITATION、
ORIGEN2 コ−ドと、JENDL-3、ENDF/B-V デ−ら作成した定数が使
われている。これらの計算と測定結果のほか、Np-237 の生成・消滅に
関わる Np-237 変換率の評価を目的として、求められたスペクトル場
における実験と計算との比較結果についても述べられた。

2.中性子スペクトル調整と評価技術の開発
 新委員として今年度から参加戴くことになった島川聡司氏(原研・
大洗研)より、JMTR材料試験炉部で進められている 1) 高速炉・
核融合炉模擬照射用中性子スペクトル調整、2) 中性子スペクトルの測
定及びモンテカルロ計算評価について紹介があった。
 まず、高速炉模擬照射では、SUS304 に対する dpa とヘリウム生成
量に関わるデ−タの取得を目的とした実験の方法、及び計算法が示さ
れた。これでは熱中性子によるニッケルの2段階反応(58Ni(n,γ
)59Ni(n,α)56Fe)を用いたヘリウム生成量の加速実験が注目される。
中性子スペクトルの調整は照射試料部周辺の材料を変えることによっ
て行われている。核計算は、JENDL-3.1,2、ENDF/B-VI をベ−スとした 
ANISN コ−ドの利用が主となっている。核融合炉模擬照射の場合は、
SUS316 に対する He/dpa 照射デ−タを得ることを目的とし、先と同
様、2段階反応を利用している。中性子スペクトル調整は、炉心照射
位置の移動及び試料部周辺の材料変更によっている。
 中性子スペクトルは、8〜10種類の放射化箔モニタ−と NEUPAC コ
−ドによるスペクトル・アジャストメントによって求められ、また、
スペクトル計算には、主にJENDL-3.2を使ったMCNPまたはMVPコ
−ドを用いて求められた結果などの紹介が行われた。

3.原研FNSにおける最近のドシメトリ−研究
 池田委員から、核融合炉関連のドシメトリ−を念頭において、最近
、FNSで進められている研究の中から、1) 高エネルギ−中性子場(
18〜30 MeV)での放射化断面積測定、 2) ITERブランケット試験
計画用ドシメトリ−反応の選択と中性子場、3) プラズマ診断に関連す
る新しいドシメトリ−法の開発・提案について紹介があった。
 高エネルギ−放射化断面積では、(n,2n)、(n,3n) 反応等が中心とな
り、半減期が day-order から1年未満の20種類以上が取り上げられて
いる。断面積測定の標準には、H(n,n)反応が使われている。1、
46Ti の(n,2n)反応ほか、新しいドシメトリ−反応の開発、提案もされ
た。その他、H2O+YCl を使った流体ドシメトリ−法、μμカロリメ−
タを出力モニタ−とする手法、ダイヤモンド検出器を用いた中性子ス
ペクトル測定法など、興味ある研究内容が紹介された。

4.その他
・ 小林委員から、1996年9月にチェコのプラハで開催が予定される
 第9回ASTM-Euratom シンポジウムについて、事務局より送付され
 てきた開催案内の資料の紹介があった。
・ 中川委員から、最近出版されたレポ−ト(JAERI-Research 95-043)
 が配布され、簡単に 内容の紹介が行われた。
・ 当WGとして、今後評価作業を続けて行くにあたって、意見交換
 が行われた:
 o 本当にやることになるのか。それぞれ、いろいろ事情があるよう
  にも思うが。
 o 年限、時期を区切って作業するのはどうか。
 o この際、プラハのシンポジウムに発表することを考え、作業を進
  めるべきである。
 o どこまで、いつまで、どの反応かと言う評価目標をはっきりした
  い。
 o 高エネルギ−領域のドシメトリ−にも注目していきたい。
 o 先に(第8回のシンポジウム前)、一部修正しているが、これはまだ
  出ていない。
 o 今となっては、コバリアンスを付けた評価とすべきである。
 o まずは、重要な核種として30種くらい選び(Fusionも含め)評
  価する。
 o とにかく、具体的に作業を進めて行くべきである。
・ 等々の意見交換の後、とにかく作業分担の確認をすることになり
 1994.10.31 付けの 中川委員配付資料「JENDL Dosimetry File 修
 正の現状」を参考に、各委員担当の評価核 種の確認・配分の作業
 を行った。その作業結果については、次回のWG会合(9月19日
 )に持ち寄ることが申し合わされた。


【配布資料】
DS-133 前回(平成7年7月4日)議事概要
DS-134 ASTM-Euratom事務局案内(プラハ会議の準備)
DS-135 ASTM-Euratom事務局報告(デンバ−会議報告)
DS-136 ASTM-Euratomシンポジウム(Call for Papers)
DS-137 「常陽」ドシメトリ−試験におけるJENDLドシメトリ-ファイルの使用
    経験(青山)
DS-138 原研FNSにおける最近のドシメトリ−研究(池田S-139 中
        性子スペクトル調整と評価技術の開発(島川)
DS-140 JENDL-3の数種類の断面積に対する共分散マトリックスの決定(JAERI 
    Res. 95-043)