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中重核評価WG会合議事録(案)
日時:平成10年5月19日(火) 13:30-17:00
場所:原研本部第2会議室
出席者:浅見 哲夫(データ工)、渡辺 幸信(九大)、渡部 隆(川重)、
山室 信弘、柴田 恵一(原研)
配付資料
MHN-98-1 バナジウム、コバルトの共鳴パラメータの検討 渡部
MHN-98-2 Crの共鳴領域断面積及び全断面積の再評価について 浅見
MHN-98-3 Niの中性子断面積 山室
MHN-98-4 Nb再評価作業の進捗状況(2) 渡辺
議事
1. 議事録確認
前回の議事録を確認した。
2. 委員会の見直しについて
柴田委員より5月7日の運営委員会において、原研の研究委員会の見直し
が行われるとの報告があった。今後、リストラにより一層努めるとともに、
成果を論文等目に見える形でだしていく必要がある。
3. V、Coの共鳴パラメータについて
配付資料MHN-98-1に基づき渡部委員から主にVの共鳴パラメータの問題
点について説明があった。V-51の4 keV及び7 keV付近の2つの共鳴パラメ
ータが200 eV ? 3keV領域の全断面積の過小評価の原因である。今後、測定
値をfitするパラメータのサーチを行う。Reich-Moore型の共鳴公式の使用も
考慮する必要があるかもしれない。
Coについても同様な問題がないかチェックする。
将来に禍根を残さないためにも、なるべく実験値との不一致については
無くす方向で努力する。
4. Crの共鳴領域断面積について
配付資料MHN-98-2に基づき浅見委員がCrの共鳴領域断面積の問題点を
説明した。1keV付近の全断面積にV同様の過小評価が見られる。これは、
Cr-50,53の断面積の過小評価によっている。共鳴領域の上限は、新しい測定
値を考慮することにより、1 MeV付近まで延ばすことが可能である。1 MeV
以上の全断面積は高精度の測定値をトレースする必要がある。
5. Niの中性子断面積について
配付資料MHN-98-3に基づき、山室委員がNi断面積のSINCROS-IIと
JENDL-3.2の比較を示した。Ni-58,60の全非弾性散乱に関しては、計算値は
JENDL-3.2に比べ幾分高めである。Ni-60,64の捕獲断面積は数100 keV以上で
は大体一致している。
Ni-58(n,p)反応の生成同位体比について、Co-58のカスケードガンマ線の分
岐比を変えることにより、実験値をうまく再現できることを示した。想定し
た分岐比が妥当かどうかは、更なる検討が必要であろう。
6. Nbの再評価について
渡辺委員より配付資料MHN-98-4に基づきNb-93の捕獲断面積及びガンマ
線スペクトルのexifonによる計算結果が示された。exifonで計算されるのは
semi-direct過程のみで、direct過程は入っていない。14 MeVでのガンマ線ス
ペクトルの測定値からSMD(statistical multistep direct)過程の規格因子を求め、
それを基に5 MeV以上の捕獲断面積を決めることが可能である。計算され
た捕獲断面積は10 MeV以上でflatであり、これが妥当かどうか検討する必
要がある。
今後、実験データのサーベイやHikari計算との比較を行う。
7. その他の議論
1) データの修正は基本的には問題点を指摘されている部分のみであるが、
評価者の再検討からより広範囲の修正が必要な場合はこの限りではない。
2) 天然元素のファイルはENDF/B-VIと同様に作らない。但し、天然元素の
測定値及び今まで天然元素ファイルに関して行われたベンチマークテス
トの成果を同位元素のファイルに充分取り込む必要がある。また、ガン
マ線生成断面積及びスペクトルは関係する全ての同位体に収納する。
次回会合
平成10年8月24日(月)原研本部で行う。