各位 7月3日に開催されました高エネルギー核データ評価WGの MeVファイル作成およびGeVファイル作成SWG合同会合の 議事録(案)をお送りします。 ---------------------------------------------- シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG MeVファイル作成SWG,GeVファイル作成SWG合同会合議事録(案) 日時 :平成10年7月3日(金)13:30〜17:30 場所 :霞山会館「ふよう」 出席者 :山室(東工大),川合(KEK),村田(アイテル), 真木(日立),小迫,山野(住原工),義澤(三菱総研),柴田,深堀, 中島,高田,小田野(原研),執行,渡辺(九大) (14名,敬称略,順不同) 配布資料: 高エネルギー核データ評価WG1998年度第1回議事録(案)(深堀) HE/MEV+GEV-98-01 前平衡統計モデルおよび計算コードの現状に関するメモ(渡辺) HE/MEV+GEV-98-02 海外の動向調査(ロスアラモスにおける高エネルギー核データ評 価活動)(深堀) HE/MEV+GEV-98-03 高エネルギー核データファイルの仕様(改訂案)及び作業分担( 案)(深堀) 1.前回議事録確認 高エネルギー核データ評価WG1998年度第1回議事録(案)の確認を行い,承認 された. 2.前平衡統計モデルおよび計算コードの現状 渡辺委員より,配布資料HE/MEV+GEV-98-01を使って,中エネルギー領域(約200MeVま で)の断面積計算に,主として利用できる理論モデル及び計算コード系の現状につい て報告があった.このエネルギー領域では,前平衡過程が主要な反応過程となり,そ の理論的取り扱いの違いから,現象論的モデルに基づいた計算コード(GNASHやALICE -Fなど)と量子力学的理論に基づいた計算コード(FKK理論など)に大別できる.後 者の方が,放出粒子の角分布を計算できる等のメリットがあるが,複合粒子放出には まだ十分適応できていないために,現状では,現象論的モデルに基づいた計算コード を評価へ利用する方が実用上有利である旨の説明があった.また,核子入射核子放出 のDDXについては,実験値との再現性の良いFKK計算などで置き換える方法(LANLのFK K-GNASHやECNのMINGUSコード)を使った評価が有効であることが示された. 3.ロスアラモスにおける高エネルギー核データ評価活動報告 深堀委員より,配布資料HE/MEV+GEV-98-02(JHEFIE報告書の千葉委員担当分のコピ ー)を使って,QUICKGNASHコードシステムおよび評価結果の説明があった.評価の段 階では,DDXは既存の実験値とよくチェックされているが, 核種生成断面積について は必ずしもそうでなく,実験値との一致が悪い場合にも,整合性の観点から計算値を 優先する手法が取られているとの指摘があった.QUICKGNASHコードは,原研核データ センターのワークステーションにすでにインストール済であり,千葉委員により開発 された光学ポテンシャルパラメータサーチコードもLee氏(KAERI)によりワークステ ーション上で動作するように改訂され,すでに動作確認済であり,現在,両者のマニ ュアルを準備中である旨の説明があった.次回,千葉委員にQUICKGNASHコードシステ ム及びLANLでの高エネルギー核データ評価活動の紹介を再度依頼することになった. 4.前平衡モデル系コードとカスケード系コードとの接続エネルギーの検討 前回の高エネルギー核データ評価WG会合で宿題になっていた接続エネルギーの検討 を行った.その結果,200MeVをそれぞれのコードの適用限界目標として設定し,その 前後で両者の計算結果をつなぐことにした.前平衡モデル系コードの制限を200MeVと している主要な原因は,パイオン自由度を考慮できないためであり,200MeVを越えた エネルギー領域でこの影響がどのような形で現れるかを調査することが望ましいとい う意見が出て,千葉委員にQMDによる調査を依頼することになった.なお,両コード 系の相互比較は1994年にOECD/NEAで行われており,すでに報告書が出版されている. その概要は,P. Nagel et al., Nucl. Sci. Eng. 119, 97 (1995) に掲載されている ので参考になる旨の報告が義澤委員よりあった. 5.50MeVまでの中性子評価結果との整合性および陽子データの下限エネルギーの検討 山室委員より,SINCROSを使って以前行った50MeVまでの中性子入射反応に対して,同 一パラメータで入射粒子を陽子に変えて行った予備的な計算結果の報告があった.実 験値との一致は良く,50MeVまでのIFMIF用中性子評価で培われた経験を生かして,陽 子やさらに高いエネルギーの中性子へ拡張していける可能性が示された.SINCROSを5 0MeV以上に適用するには,配列の拡張やエネルギービンの最適値を捜す必要がある点 が指摘された.また,陽子データ評価の下限エネルギーについて検討を行い, (p,n) 反応のしきいエネルギーを下限エネルギーにする提案を了解した. 6.高エネルギー核データファイルの仕様(改訂案)の検討 深堀委員より,配布資料HE/MEV+GEV-98-03を使って,前回の高エネルギー核データ評 価WG会合での議論後,修正された高エネルギー核データファイルの仕様(改訂案) の説明があり,これを承認した.また,陽子の共鳴パラメータをどうするかという質 問があり,軽核では考慮する必要性が危惧されるため,村田・渡辺両委員が調査する ことになった. 7.作業分担の確認 配布資料HE/MEV+GEV-98-03のTable 1 に基づいて,作業分担の確認を行った.Cr, Mn , Fe, Co, Ni, Cu については,山室委員も評価協力者として作業分担することにな った.分担者が決まっていなかったCu-63&65,Mn-55, Ta-181については,山野,渡 辺、川合委員がそれぞれ担当することになった.又,C-12のMeV領域については,中 性子評価の経験から渡辺委員も担当することになった.次に,川合委員より,重水素 が評価の対象外になっている点が指摘され,スポレーション中性子源のターゲットの 冷却材とプレモデレーターに重水が使われる可能性があるため,特に陽子・中性子入 射による重陽子breakup反応の寄与を評価する必要がある旨のコメントがあった.WG としては,川合委員に重水素断面積の重要度に関する調査を依頼し,その結果を受け て,評価対象核種に加えるかどうか判断することになった. 8.その他 次回会合は,10月6日(火)の予定.