須山@原研です。先日行われた核種生成量評価 WG の議事録案をお送りします。

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	   シグマ委員会平成 12 年度第 1 回核種生成量評価 WG
			     議事録(案)
				   
1. 日時
   2000 年 7 月 19 日

2. 場所
   日本原子力研究所本部 第 5 会議室

3. 出席者
   15 名(順不同,敬称略)
   内藤(ナイス;グループリーダー),名内(電中研;オブザーバー),
   笹原(電中研;オブザーバー),松村(電中研),
   佐治(総理府原子力安全室),山本(JNF),伊藤(三井造船;北野
   オブザーバー代理),須山(原研),片倉(原研),吉田(武蔵工大),
   松本(三菱重工),安藤(東芝),大河内(JNC),青山(JNC),
   金子(日本総研)

4. 配布資料
   12-1-1 平成 11 年度第 2 回核種生成量評価 WG 議事録(案)
   12-1-2 Neutron/Gamma Ray Source Measurement and Analyses of
          High Burnup UO2/MOX Fuel Rods
   12-1-3 核種生成量評価に関する感度調査
   12-1-4 種種の評価済核データを使用した燃焼計算結果の比較
   12-1-5 ORIGEN-2 計算の対スペクトルインデックス評価に関する基礎検討
   12-1-6 高速炉における燃焼感度解析
   12-1-7 核種生成量評価 WG の検討課題 --感度解析--

5. 議事内容

5.1 議事録確認(須山)

  前回会合の議事録確認が行われ,LWR-MOX ライブラリ用レポート作成の状況が
報告された。それによると,レポートはほとんど完成している。しかし,電中研
の提供した照射後試験解析データの新ライブラリを使用した解析結果が,従来の
ライブラリを使用した場合に比較をして悪化している。その点に関して照射後試
験の対象となった燃料の形式に合わせたライブラリを作成して解析を行い,その
結果をレポートに記載するかどうかで,意見が一致していないために,作業が中
断している( すでにそのための特別なライブラリを作成して試計算を行ってあ
り,その結果は良好である)。この点に関して,特定の照射後試験の解析結果の
善し悪しは,ライブラリ作成時の条件設定の問題があるので,特に気にするべき
ではないとの意見が出され,さらに,解析条件とライブラリ作成条件が異なって
いることをきちんと明記すればそれでよいのではないかという意見が出された。
最終的に,MOX 燃料に対して単一ピンセル体系によってライブラリを作成するこ
との妥当性に関しては,当該レポートの本文にて述べることはしないが,レポー
トの内容を崩さないように,上記の試計算の結果を付録に載せる程度にして, 8
 月中に原研の公開レポートとして投稿することで了承された。


5.2  高速炉における燃焼感度解析(大河内)

  サイクル機構で行われた高速炉における燃焼感度解析の紹介があった。燃焼感
度解析では一般化摂動理論をもちいて,固有値だけではなく,反応率分布及び反
応度の計算も可能となっている。それに基づいた燃焼核特性感度解析コード
SAGEP-BURN による解析例が報告された。このコードを用いると,直説法に比較
をして,中性子束レベル及び分布の計算も一気に行われる利点がある。
ORIGEN2 による一点炉燃焼計算をベースに考えて,SAGEP-BURN から中性子束分
布計算等の機能を簡略化したようなコードがあると良いという議論があった。ま
た,SAGEP-BURN を熱炉に適用した場合,収束性が悪かったという経験が報告さ
れた。


5.3 Neutron/Gamma Ray Source Measurement and Analyses of High Burnup
    UO2/MOX Fuel Rods(松村)

  ICRS-9 にて報告された,電力中央研究所が欧州超ウラン元素研究所に委託し
て行った,照射後試験の解析結果を述べた論文が紹介された。その中で,核種組
成だけではなく,中性子源や,ガンマ線源の比較を行ってはどうかという提案が
なされた。


5.4 核種生成量評価に関する感度調査(松本)

  PWR 燃料集合体を対象とした,スペクトル変化に対する核種組成変化について
検討した結果の報告があった。基準となる一定ホウ酸濃度 500 ppm を用いた場
合の核種組成に比較をして,250, 1000, 1500 ppm とホウ酸濃度を変化させた場
合の核種組成の比較が紹介された。ホウ酸濃度の変化に対して,定義した中性子
スペクトルインデックスをもとめ,その値の関数として,核種組成変化が表現で
きることが示されている。ホウ酸濃度が 1500 ppm や 250 ppm で一定とするだ
けではなく,実機でのホウ酸濃度の変化を取り入れた上で,ホウ酸濃度に対する
感度を調べることとなった。また,スペクトルインデクスと原子数密度の関係
を、実際の複雑な燃焼履歴をもつ燃料にどのように利用したらよいか更に検討す
ることとなった。


5.5 種種の評価済核データを使用した燃焼計算結果の比較(須山)

  SWAT 多群断面積ライブラリを ENDF/B-VI , JEF-2.2, BROND-2 により作成し
て UO2 燃料を対象に燃焼計算を行い, JENDL-3.2 を用いた燃焼計算結果との比
較を行った例が示された。その結果,主要なウラン,及びプルトニウムについて
生成消滅量の差は小さいが,いくつかの核で特徴的な差が見つかった。Pu-238 
については U-238 (n,2n) 反応断面積と計算された中性子スペクトルが,Sm-149
については Pm-149 (n,gamma) 断面積が,Cs-134 については, Cs-133
(n,gamma) 断面積が,ライブラリ毎の計算された核種組成の差の原因となってい
ることが述べられた。その後の議論で, MOX 燃料や高速炉燃料に関しても,同
様の解析を行ってはどうかという提案がなされた。また,この報告で差の原因が
調べられた同位体だけではなく,様々な分野における重要核についても,差の原
因を調べてはどうかという議論がなされた。

5.6 ORIGEN-2 計算の対スペクトルインデックス評価に関する基礎検討(山本)

 スペクトルインデックスの変化に伴う核種生成量変化の感度をまとめる事が提
案されていることに関連して,検討者が予め共通に認識しておくべき点,問題点
について定量的な検討を行った例が示された。一群断面積の変化を,スペクトル
変化による項とそれ以外の因子によるものに分けて検討した結果,かならずしも
スペクトル変化だけによって断面積が変化をするわけではないことが示された。
このことはスペクトルインデックスを軸とした感度解析を行う上で認識をすべき
点である。


5.7 核種生成量評価 WG の検討課題 --感度解析--  (松村)

  本 WG の今後の活動案の一つである感度解析に関して,考えられる活動の例
として以下のものが挙げられた。
  
  1. 実験データから示唆されている JENDL-3.2 の評価値の問題点を整理
     することと,その固有値及び燃焼特性への影響
  2. ライブラリ間( JENDL-3.2, とENDF/B-VI 及び JEF-2.2 間)の比較
  3. 核分裂収率データの違いによる FP 同位体組成計算値の比較
  4. 各分野で重要な同位体の計算精度の把握と必要な精度が得られていない
     場合の原因調査
  5. スペクトルインデックスの変化に対する核種生成量の変化

そして,核種組成実測データの整理とそのデータベース化等が具体的な作業工程
の一つとして提案された。その後,今後の作業に関する議論となったが,闇雲に
感度解析をするのではなく,間違いがあると思われる部分をサーチすればよい,
核データの生産に feedback をする作業が必要である,どの核が重要であるかは
分野によって異なるので,それらに関する情報の収集が必要であること,これま
でに作成した ORIGEN2 用ライブラリの適用範囲を明確にすること等が提案され
た。


6. その他
  
   安全評価に使用している核データに関する調査が行われるという連絡が
   片倉氏よりあった。

   原研本部の柏への移転に伴い,今後は原研本部の会議室は使用が難しくな
   るとの連絡があった。


== To DO List ========================================================

   1. ND-2001 にて WG の活動内容に関連して報告を行うこととなった。発表内
      容に関して意見のある方は内藤リーダーへ連絡をする(有志)。

   2. 軽水炉を対象に行われた評価済ライブラリの差による燃焼計算計結果の差
      の検討を,高速炉燃料を対象にして行う(JNC)

   3. 各評価済ライブラリを使用した場合の燃焼計算値の差が大きいものを選
      択して原因を調査する。また,各燃焼度点における差も調査する。

   4. 須山委員が行ってきた仕事を引き継ぐ体制を整備する。


   次回会合は 11 月末

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