シグマ委員会平成8年度第2回運営委員会議事録 (案)

日時: 1996年6月20日(金)13:30〜17:30
場所: 日本原子力研究所本部 第1会議室
出席者:中嶋(法大、主査)、北沢(東工大)、井頭(東工大)、井口(名大)、
        吉田(武蔵工大)、石川(動燃)、瑞慶覧(日立)、山野(住原工)、 村尾、
        前川(以上原研)
    幹事:中島、長谷川(原研)
    オブザーバー: 喜多尾(データ工学)、川合(東芝)、 佐々木(三菱重工)

配布資料
   1. 平成8年度第1回運営委員会議事録(案)
   2. ワーキンググループ活動改善のための申し入れ(両委員長)
   3. 「放射化断面積の国際基準ライブラリー(IRDF)の創設」に関するIAEA研究協力計画
      (CRP)第2回研究調整会合(2nd RCM)(中島幹事)
   4. 「ガンマ線生成データの測定、理論計算及び評価」に関するIAEA研究協力第2回研
      究調整会合(柴田専門委員)
   5. 核反応データセンター(NRDC)の運営に関するIAEA諮問家会議出席報告(長谷川幹
      事)
   6. 第8回NEANSC WPEC:評価国際協力ワーキング・パーティー会議概要(長谷川幹事)
   7. 第1回インターネット核データシンポジウム(ISND-1)(深堀専門委員)
   8. ISTCワークショップ(マイナーアクチニド核データの測定、解析及び評価)の報告
      について(片倉専門委員)
   9. 平成8年度シグマ特別専門委員会/研究委員会議題(案)
  10. 1996年核データ研究会実行計画進捗状況(井口委員)

議事
T. 議事録確認
   前回4月12日の議事録(配布資料-01)を以下の字句訂正の後、確認した。
       p4  上13行  喜多尾さん  ==> 喜多尾委員
       p6  下6行   佐々木委員  ==> 山野委員
   宿題事項の対応
     1. ワーキンググループ適正運営に関する申し入れ書  両委員長&事務局
         配布資料2で配布すみ。
     2. ENSDF加工グループ作業の調整。喜多尾委員
         本作業グループはボランティアでやっていることから特に作業調整は必要ない。
     3. 高エネルギー核データ処理について 瑞慶覧、前川、深堀委員
       次回廻し。
   その他
     CDROM: Print代金は安いので、出版物として十分考えられる。今後核データセンタ
            ーでは、利用できるソフトウェア付きのCDROM配布を考えて欲しい。
     FCA Plate dataの公開について: 原研原子炉工学部内で検討させて欲しい。いずれ
            にしろ、高速炉開発に使えないようでは意味ないから、何らか考える。
     OECD NEAの科学委員会では、議事録の記述にEFF,JEFが数多く出てくるがその他のフ
            ァイルの記述はあまりない。NEA NSCはヨーロッパのものではない以上、作
            業がEFF,JEFに偏りすぎていないか。科学委員会の見解を聞きたい。(前川
            委員がNSCの松浦委員とコンタクトする。)

U. 報告事項
  1. 国際会議報告   
     以下では(報告者:当委員会での、資料)で資料作成者は配布資料の項参照の事。
    A. 「放射化断面積の国際基準ライブラリー(IRDF)の創設」に関するIAEA研究協力計
      画(CRP)第2回研究調整会合(2nd RCM)(中島幹事、資料-03)
        1996年5月13日から16日にかけてスペインのマドリッド工科大学で開かれた標記
      会合の報告で、IRDF作成のための枠組みが決定された事が報告された。収納する反
      応役200についての検討がなされたが、ドジメトリー並びに天体物理学関係(核種
      生成)については別途検討、荷電粒子反応については別途CRPが出来ているので除
      く、ファイルフォーマットはFENDLフォーマットとENDF-6の両フォーマットでファ
      イル化する、スターターファイルとしては、FENDLを用い、それより優れたデータ
      が提案され認められれば順次それに置き換えていくとしている。最終会合が来年秋
      ウィーンで開催されて終了の予定。

    B. 「ガンマ線生成データの測定、理論計算及び評価」に関するIAEA研究協力第2回
      研究調整会合 (中島幹事、資料-04)
        1996年5月21-24日にかけて、ウィーンのIAEA本部で標記会合が開かれた。目的は、
      ガンマ線生成データに関する測定、理論計算、評価の現状の把握である。
        測定では、Fe56からの846keVガンマ線測定がDickensにより進行中、Vonachのグ
      ループは、高エネルギー領域(3-400MeV)でのAl-27からのガンマ線生成断面積を
      測定しGNASHの計算結果と200MeVまでを比較し極めてよい一致を得ている。理論計
      算では、直接、準直接捕獲(DSD)モデルの拡張が行われている。評価では原研の評
      価、KopeckyのEuropean Activation Fileのための中性子捕獲断面積ライブラリー
      の作成、ベンチマークではUnholzerらによる、鉄、SS316のEFF-2による結果が報告
      された。

   C. 核反応データセンター(NRDC)の運営に関するIAEA諮問家会議出席報告(長谷川幹
      事、資料-05)
        1996年6月3日から7日にかけて米国BNLで開かれた標記会合の報告。核反応データ
      センター(中性子データセンター、荷電粒子データセンターからの13センター16人
      が出席)の2年に一回のセンター長会議で、センターの運営に関する国際協力の推
      進を目的。技術部会ではEXFOR規約の改定が主体。電子情報化の流れは極めて早く、
      今後WWWサービスによる情報の提供が極めて重要となる。発展途上国のための従来
      サービスはそのまま続ける。従来の中性子のみではなく、荷電粒子を含むSUPER CI
      NDA計画がNNDCで動きつつある。
        Perlsteinからの荷電粒子反応についてのバーンブックの作成の提案があった。
      また、データベースのデータに対するデータ引用の際のガイドラインの制定の必要
      性が強調されそのための作業グループが作られた。
        IAEA Standard data advisory committeeへの適任者の推薦依頼があった。
          H(n,n)H at 20-350MeV,
          B-10(n,alpha),
          U-235(n,f) above 20MeV
      東北大サイクロの中村先生とコンタクト(前川、瑞慶覧)
        IAEA NDS(核データセクション)は、現在極めて厳しい状況にあり、現在ポスト
      が3人も空いている。この年度末にはLennmelも去り、大変な状態となる。それでい
      ながら、いっこうNDSの重要性をIAEA本部は認識してくれていない。特に、ピアレ
      ビューでは日本は大変よい評価をしてくれたが、何ら政治的な効果をもたらさなか
      った事は残念。NDSは日本の政治力を期待していたのだがとの発言があった。

      ・JENDLのコピーライトについての議論が持ち上がり、原研として正式にコピーラ
        イトを取っておく事の重要性が認識され、これについて事務局が法的対策まで含
        めて検討することとなった。場合によっては、対応グループを組織する。

   D. 第8回NEANSC WPEC:評価国際協力ワーキング・パーティー会議概要(長谷川幹事、
      資料-06)
        1996年6月13-14日にわたって標記会合が、米国ANLで開催された。常置グループ
      並びに18あるサブグループの進捗状況並びに今後の進め方についての議論が行われ
      た。予算も人員も全くのボランティアの国際協力であるため、各サブグループとも
      進捗はまちまちであり、すばらしく進展したグループもあれば新規再生まきなおし
      のグループ、中には強制終了のグループ等散見された。
        SG-18:U-235 epithermal captureでは、U-235に対するLeal-Derrien(95)の共鳴
      パラメータ評価データが新たに出されたので、それに対するベンチマークテストを
      実施し、標記データの妥当性を確かめ、ほぼ最終的なデータセットが得られたとし
      ている。ただ問題点も残されており、Radiation Widthのfluctuationが大きすぎる
      のではないか等M.C.Moxonからのコメントをもとにさらに検討していくとしている。
      U-235ηのエネルギー依存性の問題は解決ずみで今後JENDL-3.2で見られるνの構造
      の問題を取り上げていくとしている。
        SG-8:Delayed neutron dataでは、これまでの責任者がみな引退してしまい、全
      体を見れる人がいないため活動が低下していたが、今回新たにイタリア・カサッチ
      アのD'Angeloがとり纏め役を引き受けてくれたため、順調に進みだした様である。
      先行核のデータからの積み上げについては、メンバーの補充(日本から片倉氏)、
      delayed neutron dataの測定の進展、積分実験(FCA,MASURCA)によるデータチェ
      ックといった3方向からのつめが進むことと思われる。
        その他、SG-10,17のFPに対する理論計算の議論やlumped FPのデータの議論、SG-
      13の中高エネルギーデータ評価に対する報告(実験データ収集、モデルコードの相
      互比較、データフォーマット、評価すみファイル作成状況)等が紹介された。
        新規提案のグループとして、Th-cycleについて新たなグループを組織(SG-19)
      する事になった。Coordinator Ignatyuk, MonitorはSalvatoresである。データに
      関心のある人の参加を呼びかけている。

  2. インターネットシンポジウムについて(中島幹事、資料-07)
     シグマ委員会並びにISND実行委員会が企画実施した標記シンポジウムについての報
   告。WWWを用いてインターネット上で論文を公募し、それに対する議論をe-mailで行う
   形態のシンポジウムで4月8日から6月15日までにわたって開かれた。アクセスは
   Abstract, Paper, Discussionに対して、それぞれ0.5回程度であり低調であった。質
   問は殆どなかった。COMPUTER上で論文は読みにくい、ディスプレイでの読みにくさと、
   ハイパーリンクによる読みにくさが加わり、限られた時間で計算機上で論文を読むこ
   との問題点があらわになった。国際会議にとって代れるものではない。こういう会議
   も出来るという事を実際に行ったことに意味があるであろう。今後の予定は未定であ
   る。会議録はJAERI-Confで公刊される。

  3. ISTCワークショップ(マイナーアクチニド核データの測定、解析及び評価)につい
    て(長谷川幹事、資料-08)
     5月27日から31日にわたって標記会合が東海研で開催された。旧ソ連の兵器関係研究
   者の第三国への拡散を防止し、平和産業への転換を支援するため、日米欧の資金でモ
   スクワに設置されたISTC(International Science Technology Center)をつうじ日本が
   出資している核データ関係の委託研究3件の進捗状況の報告会である。3機関から計11
   人のロシア人が来日した。
     ベラルーシ・ミンスクのRPCPI :Maslovグループによる、 Cm, Amの評価、ロシアサ
   ンクトペテルスブルグのKRI:Draptchinskiグループによる中性子スペクトラムの高精
   度測定の現状、ロシアオブニンスクのIPPE:Ignatyukグループの核分裂断面積の測定、
   遅発中性子収率、2次中性子スペクトラム測定の現状、評価済み核データファイル間の
   不一致の検討に基づくNp-237の評価が報告された。日本からは、近大大沢氏の核分裂
   スペクトラム評価、東北大馬場氏の核分裂断面積測定、東芝川合氏のPu-239のJENDL-
   の評価についての報告がなされた。このシンポジウムは今後も継続される。

V. 審議事項
  1.  本委員会の準備(中島幹事、資料-09)

     開会  主査挨拶           中嶋主査
           委員長挨拶         村尾委員長  菊池室長入院についてふれる。
     1. 報告事項
         (i) 運営委員会報告   菊池室長の代わりに長谷川幹事
        (ii) 事務局報告       菊池室長の代わりに中島幹事
     2. 委員会人事
         (i) 主査改選         諮問調整委員会が実施 (水本委員依頼)  準備は事務局 
        (ii) 本委員、運営委員、諮問・調整委員の一部交代   中島幹事  事務局準備
     3. 原子力学会関連事項
         (i) 日本原子力学会特別会合      すでに実施したテーマの紹介、事務局準備
     4. 国内研究機関の核データ活動
         (i) 大学             馬場委員(東北大)
        (ii) 日本荷電粒子核反応グループ      加藤委員(北大)
       (iii) 民間研究機関     東芝 植之原氏の仕事等 その他
        (iv) 原研             前川、水本両委員
         (v) 動燃             石川委員欠席につき(若林委員に依頼)
        (vi) 理研             天道 芳彦氏 放射線研  048-462-1111
     5. 特別講演
        中性子科学研究センターについて  向山氏  specが今変わりつつある状況で問題。
        核破砕実験の概要とその解析      高田専門委員   要問い合わせ。
        インターネットシンポジウム      深堀専門委員
           このうち2つを選ぶ。
     6. シグマ研究委員会平成7年度活動及び8年度計画
         (i) 核データ専門部会   井頭委員 中川委員からデータの提供を受ける。
        (ii) 炉定数専門部会     山野委員
       (iii) 核燃料サイクル専門部会 吉田委員
        (iv) 常置グループ
             ENSDF   喜多尾委員
             医学用原子分子・原子核データ  平岡委員 放医研
             CINDA, 核データニュース       省略
     7. 1995年核データ研究会の報告             井口委員
     8. 1996年核データ研究会の計画について     井口委員
     9. 核データの研究活動に関する国際状況     菊池室長の代わりに長谷川幹事
        IAEA, OECD/NEA関連  有馬ピアレビュー等

  2. 核データ研究会について(井口委員、資料-10)
    1996年核データ研究会の準備状況が報告された。実行委員会としては新人を多く入れ
  てバライティーを持たせた。本流テーマとして、JENDL−3.2の積分テスト及び特殊目的
  ファイルを中心に考える。国際セッションを本年度も設ける。例年と違って、論文公募
  結果を十分反映させてトピックスセッションを構成する事とした。
    予定では、11月21日、22日を研究会にあててているが、FENDLミーティング(Nov 18/
  21)と重なるかも知れないことが分かり、再度調整が必要となる可能性が出てきた。こ
  れに関して、事務局で早急に対処する。
    調査の結果FENDL会合は来年に延期になった事がわかり、核データ研究会は予定どう
  り開催する事とした。
    プログラムは、7月10日の実行委員会で原案を作成し、7月11日の本委員会で意見を聞
  いた上で各委員に廻し練り上げる形をとる事が報告され了承された。

  3. 日本原子力学会(核データ・炉物理)特別会合について
    以下の候補が挙げられ、炉物理側(炉物理委員会幹事)と連絡をとって決める。両委
  員会のコンセンサスが得られるようにして置かないとまずい事から、広くテーマをとり、
  両方に興味を持ってもらう様テーマを選ぶ事とした。
   ・ISTCワークショップ(マイナーアクチニド核データの測定、解析及び評価に関する)
     の報告     片倉委員?
   ・FCAにおけるβeff実験についてその概要、国際協力の枠組み等  大杉氏、岡島氏

W. その他
 ・次回は、10月3日(木)に東京で開く。
 ・ オブザーバーは今回と同じ。

宿題事項
 1. 高エネルギー核データ処理について適任者に次回話をしてもらう。(瑞慶覧、前川、
   深堀委員)前回からの積み残し事項。
 2. JENDLのコピーライトについて、原研での担当部署(文書課)ともあたって、データ
   の法的保護のための最良の方法を考える。またJENDLの商標登録についても検討する必
   要がある。学術情報センターとも連絡を持つ必要があるかもしれない。(事務局)
 3. 本委員会対応 (事務局)
  ・FENDL-2会議の結果報告を入れて欲しい。(9番:、でもその他でもよい)
    その他は、本文III 1項参照。
 4. 原子力学会核データ炉物理特別会合対応 (事務局)