シグマ委員会平成9年度第5回運営委員会議事録(案)

日時 :1998年2月25日(水)13:30〜17:30
場所 :原研本部 第5会議室
出席者:中嶋(法大、主査)、井頭(東工大)、岡本(システム懇)、瑞慶覧(日立)、
        中村(東北大)、山野(住原工)、吉田(武蔵工大)、前川(原研)、長谷川
        (原研)
   幹事:柴田(原研)、片倉(原研)
   オブザーバー:河野(九大)、喜多尾(データ工学)、佐々木(三菱重工)、中島
        (RIST)、更田(環境科学研)、松延(データ工学)、池田(原研)、岸田
        (原研)、深堀(原研)

配布資料
  1.平成9年度第4回運営委員会議事録(案)
  2.核種生成量評価 WG の活動計画
  3.核分裂生成物収率データ評価 W.G. の設置について
  4.核データ専門部会の構成
  5.遅発中性子ワーキンググループ平成9年度成果と平成10年度計画
  6.中重核評価 WG 平成9年度活動報告・10年度活動計画
  7.重核評価 WG 平成9年度活動報告および来年度活動計画
  8.評価計算システム WG 平成9年度活動報告・平成10年度活動計画
  9.放射化断面積 WG 活動報告
10.共分散評価 WG 平成9年度活動報告・10年度活動計画
11.荷電粒子核データ WG 平成9年度活動報告及び平成10年度作業計画
12.PKA スペクトル WG の H 9 年度作業進捗状況の報告ならびに H10 年度作業計画
13.光核反応データ WG 平成9年度活動報告・平成10年度活動計画
14.高エネルギー核データ評価 WG 平成9年度活動報告・10年度活動計画
15.高エネルギー核データ評価 WG、光核反応データ WG、PKA スペクトル WG再編成(案)

議事
T.議事録確認
1.前回議事録確認
  (案)の通り確認された。
  なお、議事録で FP Yield に関する IAEA CRP会合について学会誌の「国際会議の
    窓」に概要を書くことになっていたが、「資料」として書くことになったと報告があ
    った。

U.報告事項
1.核種生成量評価 WG 活動計画
    内藤グループリーダーが作成した配付資料2に基づき、片倉幹事(吉田専門部会長の
    代理)が報告した。
    平成10年度以降:(1)核データライブラリーの適応性の検討に必要な実測データ
    の収集、(2)収集した実測データの解析・評価、(3)ORIGEN2ライブラリーを用
    いた感度解析、の作業を実施する。
    この報告に対し、マイナーアクチニドの測定データが出てきているが、その評価に対
    する受け皿が必要であるため、今後事務局で検討することとなった。

2.その他
  ・原研の基礎・基盤報告会で JENDL CD-ROMのデモンストレーションを行ったが、アン
    ケートの結果高い評価を得ていたと、前川委員より報告があった。
  ・高エネルギー核データ専門家会合が3月30〜31日に変更になったと深堀専門委員
    より報告があった。
  ・原研核データセンターが4月より原子炉工学部からエネルギーシステム研究部に移行
    することになったと報告された。

V.審議事項
1.核分裂生成物収率データ評価 W.G. の設置について
    配付資料3に基づき、片倉幹事より説明があった。
    IAEA CRPの活動に対処するとともに、消滅処理等で必要となる核分裂収率データを検
    討するために設立する。
    議論の結果、核データ専門部会の下で活動を行うこととなった。

2.核データ専門部会 W.G. H 9 活動報告・H10 活動計画
@ 中重核評価 W.G.
  配付資料6に基づき、柴田リーダーより説明があった。
  平成9年度は、評価担当核種を決めるとともに、JENDL-3.2のデータの検討、OKTAVIAN
  積分実験の検討を行った。平成10年度は、問題点の検討を継続するとともにデータの
  再評価を行う。なお、活動は3年以内に終了する予定である。
  この説明に対し、「荷電粒子スペクトルは対象に入っているか」との質問があったが、
 「今のところ入っていない、今後検討する必要があれば検討する」と回答があった。

A 重核評価 W.G.
  配付資料7に基づき、河野リーダーより説明があった。
  平成9年度は、評価対象核種を決めるとともに、同時評価プログラムの整備を進めた。
  また、共分散は、主要な U、Pu 及び 232Thのみに与えることとし、χとνについても
  作成する。(n,2n)、(n,3n)の閾エネルギー以上のエネルギースペクトルの問題は、蒸発
  スペクトルの核温度をそのままファイル化したことにあることが判明した。今後核デー
  タセンターと九大で処理を行うこととした。平成10年度は、9年度で再確認した問題
  点を解消するため実際の作業を中心に活動する。なお、この W.G.の活動も平成11年
  度中に評価を終える予定である。

B 評価計算システム W.G.
  配付資料8に基づき、井頭専門部会長が大澤リーダーに代わって説明を行った。
  平成9年度は「JENDL-3.2問題点検討小委員会」の報告で指摘されている問題点のうち、
  (1)2次中性子スペクトル、(2)MeV領域の直接捕獲過程、(3)新規実験データ
  の反映について検討した。また、FP核種の非弾性散乱断面積の評価法については計算方
  法の問題ではなく採用する光学ポテンシャルの問題であることが判明した。さらに、IA
  EA の RIPLの検討も進めた。平成10年度は、9年度に解決した問題点をまとめて公表
  する。RIPL のパラメータファイルの検討を継続する。
  この説明に対し、(1)この W.G.は計算手法、計算法を提示する場であったはずであ
  り、計算コードに問題がなければクローズすることも検討すべきである、(2)RIPLの
  検討を進めていく点について具体性に欠ける、(3)W.G.としてのビジョンが見えない
  等の意見が出された。この結果、次回の運営委員会に大澤リーダーに出席してもらい活
  動計画を議論することとなった。なお、大澤リーダーへは核データ専門部会長より伝え
  て貰う。

C 放射化断面積 W.G.
  配付資料9に基づき、中島リーダーより説明があった。
  平成9年度は JENDL放射化断面積ファイル第一版の評価レポートを作成した。また、不
  安定核の評価に関する問題点の幾つかを明らかにした。なお、本 W.G. は平成9年度で
  終了したい。
  この説明に対し、「問題点はクリアしたので解散したほうが良い」との意見が出され、
  9年度で終了することが了承された。なお、「残っている問題点はドキュメントとして
  残して欲しい」、「200 MeV までの放射化断面積は高エネルギー W.G.で検討して欲し
  い」との要望が出された。

D 共分散 W.G.
  配布資料10に基づき、柴田リーダーより説明があった。
  平成9年度は10B、11B、55Mn、240Pu、241Puの共分散ファイルを完成させた。また、共
  分散評価ツール及び共分散処理システムの開発を行った。平成10年度は 12C、Cr、Ni、
  233Uの共分散ファイルを作成するとともに、分離共鳴パラメータの共分散の検討を行う。
  また、共分散評価手法に関するレポートを作成する予定である。なお、レポートの完成
  をまって、本 W.G. を解散したい。JENDL-3.3及び特殊目的ファイルの共分散作成はそ
  れぞれの評価 W.G. で実施して欲しい。
  この説明に対し、「誤差評価の入力データには know-howがあるのでは?」との質問が
  出されたが、「know-howはレポートに含める」との回答があり、了承された。

E 荷電粒子核データ W.G.
  配付資料12に基づき、松延リーダーより説明があった。
  平成9年度の作業に大きな進展は見られなかった。若手の働き手がいないのが問題であ
  る。平成10年度は4つの解析手法による検討が予定されているが、時間がかかる。本
  W.G.発足時の課題であった「厚いターゲットによる2次中性子のエネルギースペクトル
  の整備」の作業は余裕がなく辞退したい。リクエストを出した核種生成量評価W.G.にも
  今だにこの種のデータが必要か聞いているが返事がない。
  この点に関し、「thick target の問題は、ユーザー側でやるべきであり、本 W.G.の仕
  事としては thin targetの評価でよい」、「精度の高いデータが実際に必要なのか、需
  要を確認する必要がある」等の意見が出された。この結果、次回核種生成量評価 W.G.
  に吉田核燃料サイクル専門部会長が出席し、W.G.の要求を確認して貰うこととなった。
  その報告は、次回以降の運営委員会で報告する。

F 遅発中性子評価 W.G.
  配付資料5に基づき、吉田リーダーより説明があった。
  平成9年度は WPEC/SG6 活動に関し、日本側の意見をとりまとめ SG6活動に反映させた。
  JENDL-3.3 のための遅発中性子データの評価を重核 W.G.より依頼されたのに答え、評
  価の方策と範囲を決めた。SG6 で検討されている 8群構造については提唱者の Spriggs
  氏に話を聞いたが、 6群を捨てる根拠が弱いと判断し JENDL-3.3 は従来の 6群構造と
  する。平成10年度以降は SG6活動に継続して協力する。特に、岡嶋委員が FCA実験の
  サマリーを、親松委員が無限照射での総和計算の問題点を、最終報告用にまとめる。
  JENDL-3.3の遅発中性子データとしては、主要3核種(235U、238U、239Pu)に絞りたい。
  240Pu、241Pu については必要性を検討する。MA については海外の Activityを含め来
  年度後半まで様子を見る。6群の時定数及び収率は瞬時照射と長期照射の調査と解析及
  び総和計算による検討を進める。

G PKA スペクトル W.G.
  川合リーダーが欠席のため、配布資料12に基づき、核データ評価専門部会の井頭部会
  長が説明した。
  平成9年度は軽核の評価法が決まり、H、12C の評価を完了するとともに6Li、7Li、9Be、
  B、N、O の評価を進めている。また、JENDL Fusion File に基づくPKA/KERMAファイル
  の作成を行った。実験データの収集及びユーティリティーコードの改良について検討し
  た。平成10年度は軽核の評価を継続するとともに、IFMIF 用 PKA/KERMAライブラリー
  の作成を11年度完成を目処に行う。また、実験データのレビュー、ライブラリーの検
  証、材料損傷評価用データの作成を行う。なお、軽核の評価レポート、ESPERANT コー
  ドのマニュアル、PKA/KERMAライブラリーの作成に関するレポートの出版も予定してい
  る。
  この説明に対し、「IFMIF 用ライブラリーの作成に2年もかかるのはどうしてか」との
  質問があったが、「FENDLと要求核種及び優先度が違っているためである」との回答が
  あった。

H 光核反応データ W.G.
  配付資料13に基づき、岸田リーダーより説明があった。
  平成9年度は、昨年度までに当初計画の評価は終了しており、特に進捗していない。フ
  ァイル化の作業も昨年度以来進展していない。平成10年度は、新たな評価は行わない
  が、ファイル化を10年度、11年度で終了させる予定である。なお、活動は独立した
  W.G. ではなく、高エネルギー核データ W.G. のサブ W.G.として活動して行きたい。
  この説明に対し、「当初計画の 238Uより重い核は考えていないのか」との質問があっ
  たが、「評価する人がいない、光核反応データに対する緊急性が無くなってきている」
  との返答があった。議論の結果、この W.G. は出来るだけ早く決着をつけるということ
  で了承された。

I 高エネルギー核データ評価 W.G.
  配付資料14に基づき、深堀リーダーより説明があった。
  平成9年度は、IFMIF 用の 50 MeVまでの中性子入射反応の評価及びファイル化を進め
  た。また、Trieste国際会議にて進捗状況を発表するとともに NEA/NSC/WPECのサブグル
  ープの会合に参加した。さらに、高エネルギー核データ積分テストに関するタスクフォ
  ースの提言を行った。平成10年度は、IFMIF用データの評価・ファイル化・レビュー
  を行うとともに、陽子入射反応、GeVファイルの評価、評価用コードの整備、誤差ファ
  イルの検討、等を行う。なお、光学模型パラメータの整備、核子ー核子散乱データ等の
  整備、高エネルギー核分裂の検討、高エネルギー核データファイルの積分テストに関す
  る検討・対応については、一時活動を停止する。
  この説明に対し、GeV領域のファイルの現状や誤差ファイルの必要性等について質問が
  あった。誤差ファイルについては必要性をより見極めて検討することとなった。

3.高エネルギー核データ評価 W.G.、光核反応データ W.G.、PKA スペクトル W.G.再編
    成(案)について
  配付資料15に基づき、深堀専門委員より標記提案があった。
  上記3つの W.G.は高エネルギー関連ファイルという共通の目的を持っている。また、メ
  ンバーの重複も多く再編成するのが効率的である。再編成は、材料損傷関連作業を除き、
  高エネルギー核データ評価 W.G.に一本化する。ファイル化等の各作業はサブワーキン
  ググループで行う。サブワーキンググループとしては以下のグループを考えている。
   1)IFMIF 用中性子ファイル作成 SWG
   2)MeV 陽子ファイル作成 SWG
   3)GeV ファイル作成 SWG
   4)評価用計算コードの整備 SWG
   5)誤差ファイル検討 SWG
   6)国際協力 SWG
   7)光核反応ファイル作成 SWG
   8)PKA/KERMA ファイル作成 SWG
   9)高エネルギー放射化断面積検討 SWG

  審議の結果、基本的には3つの W.G. を1つにするのは了承されたが、SWGが多すぎる
  との指摘があり、評価用計算コード、誤差ファイル、国際協力の SWGを落として再検討
  することとなった。なお、再検討に当たっては、炉物理委員会答申を参照とすること、
  次回再検討の結果を報告することとなった。

4.その他
  井頭委員より、原子力学会の編集委員の任期が切れるので、次期編集委員として柴田幹
  事を推薦したいとの提案があり、了承された。

W.その他
1.確認事項
1)宿題事項の確認
    ・MA 関連の測定データに関して、受け皿となる W.G. を事務局で検討する。
    ・評価計算システム W.G.の活動計画を次回運営委員会で大澤リーダーより説明して貰
      う。
    ・thick target の (α,n)yieldデータの必要性を確認し、吉田専門部会長が次回
      運営委員会で報告する。
    ・高エネルギー関連の W.G. 再編成を再検討し、次回運営委員会で報告する。
2)次回日程
    5月6日(水)または7日(木)