平成11年度第1回医学用原子分子・原子核デ−タWG会合議事録

1.日 時: 1999年9月27日(月) 13:30 - 17:00
2.場 所: 原研本部 第4会議室
3.出席者: 平岡 武,福村明史,上原周三,
       古林 徹,高田信久,原田康雄,山口恭弘,長谷川 明
       (欠席者: 伊藤 彬,岩波 茂,尾川浩一,中井洋太)
4.配布資料 
    資料1:ICRU RC on Nuclear Data, Draft of June 1998. (Nuclear
            Data for Neutron and Proton Radiotheraphy and for Radiation 
            Protection) 目次抜粋(福村)
  資料2:1998年ICRU年会印象記(平岡)
  資料3:Pre-Release Version of XCOM Accessible by the Web 
            Browser(原田)
  資料4:「医学用原子分子・原子核デ−タWG」について(平岡)
           [柴田恵一氏への私信]
  資料5:Workshop on Nuclear Data for Science and Technology:
            Medical Applications, ICTP Trieste, October 4-15, 1999
            プログラム抜粋(岡本)

5.議題

5.1 Nuclear Data for Neutron and Proton Radiotheraphy and for Radiation 
Protection (ICRU draft)[ICRU Report 63]の解説(福村委員)
 昨年8月に放医研において開催されたICRU年会で議論された上記タイトルのドラフ
ト内容について報告がなされた。本レポートは、核反応断面積については中性子で
100MeVまで、陽子線で250MeVまで記され、中性子のカーマ係数も記載されている。
対象とされているターゲットは、主な生体構成元素と照射機器構成元素の12種であ
る。断面積は測定データと核モデル計算から評価されており、それらの多くの比較
結果の他、実際の中性子や陽子線のエネルギースペクトルの例示や中性子断面積を
測定している施設の記載もある。放射線治療や放射線防護における放射線輸送計算
や治療計画、放射線遮蔽などの計算における利用を目的にまとめられており、採用
されている断面積やカーマ係数は測定値と良く一致しているとされている。これら
のデータは、CDでも提供される。

5.2 Pre-Release Version of XCOM Accessible by the Web Browser(原田委員)
 BergerとHubbellによって開発されたプログラムXCOMはエネルギー1keVから100GeV
までの光子に対する原子番号1から100までの元素の種々の断面積データを与えるが、
旧DOS上でしか動かない。このため、これらのデータをWWWを通して取り込める様に
開発したプログラムeXcomについて報告があった。プログラムは、使いやすさについ
て評価されたが、著作権の問題をクリアーしてからリリースすべきであるとの意見
が出された。

5.3 本グループ存続の可否について
 平岡委員長から、6月のシグマ運営委員会において、(1)本グループのやっている
中身が良く見えず、結成してから10年たち、常設として置く必要性があるかどうか、
(2)IAEAでも医学用データを出していており、また、当グループからは参加していな
い、などの理由から、当グループの今後の存続について検討してほしいとの要請が
なされたと説明があった。これについて、長谷川オブザーバから、運営委員会とし
ては、医学関連データの重要性は理解しており、当グループの進捗状況と、必要な
データに対する要求を明確にして欲しいとの説明があった。各委員から、主なもの
として下記のような意見が出された。

○これまで、当グループからJAERI-memoや核データニュースに出しており、データ
 に対する情報をまとめていないとは言えない。
○繰り返し情報を伝えることも大切である。
○当グループで医学関連で必要なデータについての情報を出してもシグマ委員会に
 受け止める態勢が無いのではないか。
○毎年成果としてまとめたものを要求されるが、組織でなく、個人としての参加
 であり、年1,2回の委員会では無理ではないのか。
○他のグループもメンバーの数は同じ程度であり、個人として参加し、年3,4回
 の会合であるが、活発にまとめている。(長谷川オブザーバー)
○当グループの会合の数を以前より減らすように言われた。
○個人は努力しているが、グループ内での議論が少ない。年々の進捗が明確になっ
 ていない。
○昨年は会合が無く、当グループの必要性は低く、目標を見直す必要がある。
○医学内における物理学者の立場は今後責任が重くなり、関連データの重要性は
 増す。
○日本医学放射線物理学会(日本医学物理学会)とのつながりをとっていくのは
 どうか。

 今後も当グループが必要かどうかについて6名の委員の内、4名が必要とし、1名
が目的を明確にできれば必要、1名が不要とし、5名は今後も委員となる事を承知
した。来年度から委員長を交代して出発するよう提案する。運営委員会の承認が
得られれば、新しい委員長の選任と運動方針について次回に議論する事となった。

6.その他
 次回は1999年12月9日の予定