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シグマ研究委員会 核データ専門部会
荷電粒子核データWG 平成 12 年度 第 2 回会合 議事録 (案)
日 時 : 平成 13 年 3 月 6 日 (金) 13:30 〜 17:00
場 所 : 東京工業大学 原子炉工学研究所 2号館6階 会議室
出席者 : 五十嵐(新技術)、柴田(原研)、播磨(CRC)、村田(アイテル)、
山室(元東工大)、松延(データ工学)
配布資料 :
前回議事録(案)
CP-00-05 Be-9, O-17, O-18 の (α,n) 反応断面積の評価 (村田)
CP-00-06 F-19, Na-23 の α-入射反応断面積 と 中性子スペクトル (松延)
CP-00-07 Evaluation of The (α,n) Reaction Nuclear Data
for Light Nuclei : T.Murata and K.Shibata (村田)
CP-00-08 Evaluation of the Nuclear Data on (α,n) Reaction for F-19,
Na-23, and Medium Heavy Nuclides : H.Matsunobu and N.Yamamuro
(松延)
議 事
1.前回議事録の確認
前回会合の議事録(案)が承認された。
2.作業進捗状況報告
(1) 村田委員
配布資料 CP-00-05 に基き、Be-9, O-17, O-18 の(α,n) 反応断面積の評価
結果に就て下記の報告があった。
a)評価に利用した 実験データ
測定年代が比較的新しく、精度が良いと考えられるデータを選んだ。
Be-9 に就ては J.H.Gibbons and R.L.Macklin (1965), P.R.Wrean et al.
(1994), Van Der Zwan and K.W.Geiger (1975), A.W.Obst et al. (1972) の
4件、O-17 に就ては J.K.Bair and F.X.Haas (1973), L.F.Hansen et al.
(1967) の2件、O-18 に就ては J.K.Bair and A.W.Willard (1962), L.F.Hansen
et al. (1967) の2件である。
b)共鳴解析
Be-9 では Ea=1.0 -- 7.8 MeV の範囲で、n0, n1, n2 の各断面積を対象とし、
Ea=4.0 -- 10.7 MeV の領域では全中性子生成断面積を対象として共鳴解析を
行い、全中性子幅を決定した。この領域の断面積は11本の共鳴順位で再現出来
る事が判った。
O-17 では Ea=2.0 -- 5.3 MeV の領域で、Bair and Haas (1973) の実験値を
解析した結果、この領域の断面積は 36 本の共鳴順位で再現出来る事が判った
。
O-18 では Ea=2.0 -- 5.1 MeV の領域で、Bair and Willard (1962) の実験値
を解析した結果、この領域の断面積は 30 本の共鳴順位で再現出来る事が判っ
た。
c)分岐比計算
共鳴解析により共鳴順位のスピンとパリティが決定されたので、実験データが
存在しない領域における残留核の基底状態から各励起準位迄への中性子放出の
分岐比を計算によって求め、各順位への断面積を算出した。中性子放出の可能
性がある順位は、Be-9 が第3 励起準位迄、O-17 が第2 励起順位まで、O-18 が
第4 順位迄 である。
d)多段階統計モデル計算(α,n) 反応断面積
実験データが無いエネルギー領域 (Be-9 : Ea>=10 MeV, O-17 : Ea>=5.3 MeV,
O-18 : Ea>=5.1 MeV) の (α,n) 反応断面積、中性子スペクトル、及び 全エ
ネルギー領域での角度分布関連データは 多段階統計モデル計算コード EXIFON
を使用して実施した。
e)厚いターゲットによる中性子収率の比較
Be-9 と O-18 に就ては評価結果の (α,n) 反応断面積 と J.F.Ziegler (1977)
によるα-粒子の阻止能とを使用して、厚いターゲットによる中性子収率を計算
し、J.K.Bair and J.Gomez del Campo (1979) 及び D.West and A.C.Sherwood
(1982) の実験データと比較した。
Be-9 に関しては全領域で良好な一致が得られたが、O-18 に就ては Ea=6 -- 10
MeV の領域で計算値が過小評価となった。そこで、この領域の中性子収率のE/C
値 =1.35 を (α,n) 反応断面積 の計算値に乗じて修正を行った。
f)評価結果
Be-9, O-17, O-18 の α-入射反応断面積、中性子スペクトル、及び中性子収率
の評価結果は、本資料に記載した 23 図 によって示される。
g)評価結果のファイル化
今回の評価結果は核種毎に α-入射反応断面積 と、中性子エネルギースペク
トル及び角度分布関連データ とに分けて、ENDF-6 フォーマットで格納し、
6 個のファイルを作成した。
(2) 松延委員
配布資料 CP-00-06 に基いて、下記の報告があった。
F-19 と Na-23 に就て、Threshold から 15 MeV 迄のエネルギー領域で立ち上
がる α-入射 6 反応 : (α,g), (α,n), (α,p), (α,d), (α,t), (α,α'),
の断面積 及び 全断面積 をそれぞれ Fig.2 と Fig.3 に示す。これらの計算は
EGNASH-2 コードを使用して実施した。今回は入射 α-粒子のエネルギー間隔を
100 keV としたところ、9 MeV 以上の領域で (α,n) 断面積に鋸状の凹凸が現
れた。これが物理的に正しいものか否か判断に迷っている。(α,n) 以外の反応
断面積にも同様の形状が見られるが、全断面積の形状は滑らかである。
(α,n) 反応断面積に関する今回の計算結果は E.B.Norman et al.の測定データ
{F-19 : (1984), Na-23 : (1982)} を最も良く再現しているので、これを最終
評価データにする積りで ENDF/B-6 Format で格納した。これを FCSSheet.DAT
及び NaCSheet.DAT の Table に示す。
次に、F-19 は 2.5 -- 15.0 MeV の領域で 0.5 MeV 間隔で 26 点 、Na-23 は
3.5 -- 15.0 MeV の領域で同じ間隔で 24 点 のエネルギー点で中性子エネル
ギースペクトル を計算し、Output を編集した結果を F19NSpec.DAT 及び
Na-NSpec.DAT の Table に示す。
これらの中性子スペクトルは EGNASH-2 コードでは、(α,n) 反応によるスペク
トルとして barn/MeV 単位で出力されているので、断面積との整合性をチェッ
クする為、各スペクトル値に中性子のエネルギー幅を乗じてその積和をを求め,
断面積と比較して見たところ、両核種共 Threshold から 11 MeV 迄の領域では
完全な一致が得られたが、11.5 MeV 以上になると、断面積値は減少して行く
のに対し、スペクトルの積和は増加の一途を辿ると言う結果が得られた。
これは 11.5 MeV 以上になると、他の反応によるスペクトルが混在してくる為
と考えられるが、何の反応かは未だ特定していない。
(3) 山室委員
山室委員が担当された 5 元素, 16 核種 (Al-27, Cr-50,-52,-53,-54, Fe-54,
-56,-57,-58, Ni-58,-60,-61,-62,-64, Cu-63,-65) に就て、Threshold から
20 MeV 迄の エネルギー範囲における α-入射反応断面積、中性子スペクトル,
及び Thick Target Neutron Yield の 評価結果とコメントファイルを ENDF/B
-6 Format で格納したフロッピーディスクが核データセンターに提出された。
尚、中性子の角度分布に就ては未だ作成していないが、等方分布として良いの
ではないか とのコメントがあった。
3. 核データ国際会議関係
当WGの作業結果を10月に開催される核データ国際会議に発表するべく、軽核 11
核種 (Li-6 --- O-18) に就ては村田委員と柴田委員とが連名で、又、F-19, Na-23,
Al-27, と中重核 15 核種(Cr-50 --- Cu65) に就ては松延委員と山室委員とが連名
で論文を作成する事になった旨、松延委員より報告があり、昨年12月末に提出した
それぞれの Abstract が 資料 CP-00-07 及び CP-00-08 として配布された。
4.次回会合予定
未 定