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平成15年度第1回シグマ委員会運営委員会議事録
日 時:2003年6月12日(木)13:30〜18:00
場 所:東京工業大学原子炉工学研究所1号館1階会議室
出席者:井頭(東工大、主査)、吉田(武蔵工大)、石川(JNC)、瑞慶覧(日立)、
山野(住友原子力)、中島(岩村委員長代理)、水本(原研)、長谷川(原研)、
片倉(原研)、柴田(原研)
幹 事:中川(原研)
発表者:古林(京大炉)、千葉(原研)、奥村(原研)、深堀(原研)
配付資料
1. 平成14年度第3回シグマ委員会運営委員会議事録(案)
2. 高エネルギー核データ評価WG平成14年度活動報告・15年度活動計画
3. 評価計算支援システムWG平成14年度活動報告・15年度活動計画
4. 天体核データ評価WGの活動報告
5. リアクター積分テストWG活動報告
6. 核種生成量評価WGの平成14年度活動報告と15年度計画
7. 崩壊熱評価ワーキンググループ平成14年度成果と平成15年度計画
8. JENDL編集グループH14年度活動報告及びH15年度活動計画
9. 医学用原子分子・原子核データグループの平成14年度の活動概要及び平成15年
度の活動計画について
10. HPRLグループ平成14年度活動報告・15年度活動計画
11. 原子力をささえる核データライブラリーJENDL-4の作成に向けて(次期JENDL検討小
委員会報告)
12. シグマ特別専門委員会・シグマ研究委員会本委員会議題案
13. シグマ委員会検討小委員会
14. 平成13、14年度シグマ委員会2年報について
15. 核データ・炉物理特別会合
16. 2003年核データ研究会の概要
17. 第15回NEA/NSC/WPEC核データ評価国際協力WP会合出席報告
18. 第12回NEA NSC実行グループ会合出席報告
議事
I. 議事録確認
1. 前回議事録確認
配付資料1.の平成14年度第3回運営委員会の議事録(案)について確認が行われ、
以下の修正の後、確認された。
P1下4行目:「古高氏は、SAMMYコードが使えるので」→「古高氏には、SAMMYコー
ドの使用の面で」
P2上13行目:冒頭に「全般的にJENDL-3.2より改良されている。」を挿入
P2下18行目:「MCNP等」→「MCNPX等」
P3下4及び5行目:「和文誌」→「和文論文誌」
II. 審議事項
1. 各グループの14年度活動報告と15年度予定
(1) 高エネルギー核データ評価WG
配付資料2に基づき、深堀グループリーダーが報告した。平成14年度は高エネルギ
ーファイル、光核反応ファイル作成のための作業を主に実施した。15年度には原研
・KEKの加速器施設設計に利用できるよう早急に高エネルギーファイルのための評価・
ファイル化を実施し、公開を目指す。光核反応、IFMIF用ファイルについてはレビュ
ー作業を促進し、ファイル化、報告書作成を目指す。PKA/KERMAファイルについては
IFMIF用ファイルの作成後ESPERANTによる処理を行いデータベース化を図る。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
C. 各ファイルの公開時期を明確にしておいた方が良い。作成のタイミングが重要だ。
Q. J-PARCの設計に使うと言うが、既に建設が始まっている。何に使うのか?
A. 大枠は決まっているが、今後の許認可の一部に使われると認識している。
Q. Feが再検討になったのはなぜか?
A. 非弾性散乱に問題が出てきたためである。
Q. IFMIF用のファイルは重要だが、3 GeVまでのデータがあれば、2本立てする必要
があるのか?
A. IFMIFは50 MeVまでだが、3 GeVまでのデータをそのまま流用出来ないものがある
ので2本立てにしている。
(2) 評価計算支援システムWG
配付資料3に基づき、深堀グループリーダーが報告した。平成14年度は光学ポテン
シャル、準位密度等の検討を進めた。15年度も同様にパラメータの検討を進める。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
Q. このワーキンググループの最終目的は、国産の評価コードの開発か?
A. 国産のコードが出来れば良いと思っている。コードとデータを込みで国産のシス
テムを作りたい。
C. 炉物理では仏国と共通コードを作ろうと言う動きがある。核データでもそのよう
な動きがあれば参加した方が良い。
C. 評価の飛躍的向上を目指し、がんばって欲しい。
(3) 天体核データ評価WG
配付資料4に基づき、千葉グループリーダーが報告した。平成14年度はワーキング
グループのスコープ確認と役割分担について議論した。15年度は断面積計算システ
ムの構築、断面積計算のための基礎データの提供を進める。将来的にr-processによ
る元素合成計算に寄与できるよう活動を進める。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
Q. このワーキンググループのマイルストーンは何か?
A. 3年でJENDLベースのr-processで必要な断面積データ(JENDL-COSMO)を纏める
ことだ。
Q. 甲南大の光核反応ライブラリーはどのようなものか?
A. 実験データのデータベースライブラリーである。
(4) リアクター積分テストWG
配付資料5に基づき、欠席の森グループリーダーの代わりに奥村委員が報告した。平
成14年度は、グループリーダーが高野氏から森氏に交代した。また、JENDL-3.3に
基づく各種ライブラリーの作成の他ENDF等に基づくMVP及びSRAC用ライブラリーを作
成した。15年度は各種ベンチマーク計算や感度解析等を実施する。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
C. JNCでは、高速炉用でもENDFやJEF等を用いてライブラリーを作っている。
C. U燃料高速炉心でJENDL-3.3を用いて悪くなったと言う話がある。
(5) 核種生成量評価WG
配付資料6に基づき、奥村グループリーダーが報告した。平成14年度はORIGEN計算
の要求精度調査、軽水炉高燃焼度UO2燃料の照射後試験解析、高速炉用MOX燃料の照射
後試験解析、高速炉における感度解析、JENDL-3.3ベースのORIGENライブラリーの作
成を行った。15年度は、これまでの作業の整理と詰めの作業を進めるとともに年度
末を目処にWG活動報告書を作成し、これまでの成果を公表する。また、JENDL-3.3に
基づくORIGENライブラリーの公開準備を進める。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
C. JNCでは、高速炉のPIEについては常陽MK-Iについて報告予定となっている。また、
JENDL-3.3ベースの高速炉用ORIGENライブラリーも作成した。
C. 241Am(n,g)の242gAm、242mAmへの分岐は途中で段差があり評判が悪い。実験デー
タが少ないがこのようなものこそHPRLに載せた方が良い。
C. ORIGENライブラリーの公開は予測精度評価等の結果を待たずに出来るだけ早くや
った方が良い。
(6) 崩壊熱評価WG
配付資料7に基づき、吉田グループリーダーが報告した。平成14年度はTAGS(Total
Absorption Gamma-ray Spectroscopy)による測定データの崩壊熱総和計算への影響
を検討した。また、日本原子力学会標準委員会の活動をフォローするとともに、学会
事務局と今後の方針等について議論した。15年度はTAGSデータの検討を継続すると
ともに、崩壊熱標準作成のための準備作業を行う。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
Q. TAGSのデータを用いたものは、100秒以降は良くなっているのではないか?
A. そのように見えるが、短時間では過剰補正となっているので整合性のあるデータ
とするための検討が必要である。
Q. 学会の崩壊熱標準化はどこの部会の担当か?
A. 発電炉部会である。
(7) JENDL編集グループ
配付資料8に基づき、柴田グループリーダーが報告した。平成14年度はJENDL-3.3の
公開、JENDL-3.3のCD-ROM及びグラフ集等の作成、( ,n) Reaction Data Fileの公開、
JENDL-3.3ベースのMCNPライブラリーの作成を行った。15年度はJENDL-3.3のフィー
ドバックデータを収集し、問題点をデータベース化する。また、JENDL-4作成を効率
的に進めるため他のWGに協力する。
(8) 医学用原子分子・原子核データグループ
配付資料9に基づき、古林グループリーダーが報告した。平成14年度は次期JENDLへ
の要望の検討、他学会等との交流のため物理学会のシンポジウム「医療に関わる原子
分子過程」への参加等、原子分子データ整備充実への足掛かりを得るための活動を行
った。平成15年度は情報発信、交流促進を進めるとともに今後の活動方針を検討す
る。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
Q. 医療関係では原子分子データが主のようだが、シグマのグループとしては原子核
の方へウエイトを置くことは出来ないか?
A. 今後は原子核データが必要となる可能性がある。
Q. 重粒子線利用のグループとコンタクトをとっているか?
A. まだとっていない。核物理の医学利用のネットワークがあるのでコンタクトを取
ることは可能である。今後、原子核と原子分子のバランスを上手くとって進めて
いきたい。
(9) HPRLグループ
配付資料10に基づき、深堀グループリーダーが報告した。平成14年度はWPECの動向
が不明瞭なため、日本版の HPRLを作成することとし、改訂作業を行った。結果を
WPECに提案した。15年度も改訂作業を実施する。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
C. NEAではHPRLをsuspendするという話がある。現在のリストは単なる欲しいリスト
となっているとの批判がある。今後どうするか検討するため今年9月にパリで会
合がある。
Q. 日本版のHPRLは原研のレポートとして公開するのか?
A. 最低限Webで公開できるよう考えている。
2.次期JENDL検討小委員会報告
配付資料11に基づき、柴田小委員会委員長が報告した。JENDL-4の目的、仕様、重点
項目、委員会の体制等について議論した。今後の核データ活動で重要となる項目につ
いては、更に、シグマ委員会内で議論する必要がある。
質疑・応答、コメントは以下の通りである。
Q. JENDL-3以降では特殊目的データファイルが重要となってきている。特殊目的フ
ァイルの今後についてはどう考えているのか?
A. あくまで汎用ファイルとしての議論を行っており、特殊目的ファイルについては
議論していない。汎用ファイルへ出来るだけ入れて、入り切らないものが特殊目
的ファイルとなろう。
Q. JENDL-4の完成時期は?
A. あえて書かなかった。
C. 5年ぐらいのマイルストーンを持たないとダメだろう。10年では長過ぎる。
C. JENDL-4の必要性、特徴、従来との違い等を一言でいうキャッチフレーズが必要
である。
C. 炉定数を含めたシステムがJENDL-4となるのではないか?「総合システム」とい
うのが売りの一つになろう。
C. 1枚紙の説明資料をつくるとどう言うものとなるか。キーワードを入れて検討し
て欲しい。
C. 品質保証が重要となる。精度保証があればユーザーは安心して使える。
C. JENDL-4の作成は今までのようなボランティアベースでは無理がある。
C. 報告書で指摘してある課題については今後運営委員会等で議論して方向性を出す
必要がある。
C. 核データニュースやWWW等で報告書を公開することを検討して欲しい。
3. 15年度本委員会について
配付資料12に基づき、中川幹事より説明があった。特別講演、日程について議論した
結果、特別報告として次期JENDLについての報告を行うことになった。日程については、
7月16日、7月17日、7月22日の何れかとし、アンケートをとって決定するこ
ととなった。
III.報告事項
1. シグマ委員会あり方検討小委員会について
配付資料13に基づき、吉田小委員会委員長よりメンバーの選定が終了し、早急に第1
回会合を開催する予定であると報告があった。
2. 2年報編集の予定
配付資料14に基づき、千葉編集委員会委員長より2年報について報告があった。本年
度は2ページの活動報告と、和文論文誌への「技術資料」との2本立てで行う。「技
術資料」の内容が固まり、原稿の依頼を行った。活動報告は「技術資料」を基に作成
する。
3. 核データ・炉物理特別会合
配付資料15に基づき、中川幹事が報告した。座長は瑞慶覧氏(日立)で発表は以下の
通りである。
(1)次期JENDL計画 柴田氏(原研)
(2)総合核データ利用システム(核データ加工・利用システム) 市瀬氏(住原工)
(3)炉物理委員会未臨界炉の炉物理ワーキングパーティ報告 岩崎氏(東北大)
(4)核変換実験施設の検討状況 大井川氏(原研)
4. 2003年核データ研究会の予定
配付資料16に基づき、深堀委員が大澤委員長に代わり報告した。今年度は11月27日、
28日を予定している。国際セッションは例年通り計画しているが、SARSの影響で中国
及びベトナムからの招聘は困難となっている。また、今年度は核データ・チュートリ
アルを前日の26日に行うことを検討する。
5. WPEC及びNEANSC会合報告
配付資料17及び18に基づき、長谷川委員がWPEC及びNEANSC会合について報告した。
WPECではHPRLの再構築のための会合が計画されている。新規サブグループの立ち上げ
はなかったが、次年度に崩壊データ関連で提案を期待されている。NEANSCでは2002年
事業経過報告、2004年事業計画が議論された。
6.その他
・秋の学会のにおける核データ関連のセッションについてプログラム編成委員の深堀委
員より報告があった。核データ関連の発表は12件で9月25日の午前中に割り当て
られている。26日には核データ部会と炉物理部会合同のパネルディスカッションが
予定されている。
IV.その他
1. 確認事項
1) 宿題事項の確認
・次期JENDL検討小委員会報告で出された課題について運営委員会内で議論を進める。
当面、メーリングリストを利用する。
・次期JENDL検討小委員会の報告書をwww等で公開し、広く意見を貰う。
2) 次回日程
・11月10日の週で委員の都合を確認して決める。