シグマ委員会あり方検討小委員会議事録

開催日時:平成15年7月16日(水)13:30〜17:00
    (東京工大北1号館会議室)
出席者:井頭政之(東工大),池田一三(三菱重工),岩崎智彦(東北大学),
    岩本修(原研),柴田恵一(原研),原田秀郎(サイクル機構),
    山野直樹(住友原子力),渡辺幸信(九州大学),吉田正(武蔵工大)

配布資料:a.シグマ特別専門委員会・シグマ研究委員会年表
     b.「シグマ委員会のあり方検討小委員会」の設置について 
     c.シグマ委員会の構成
     d.日本原子力学会専門委員会規程
     e.次期JENDL検討小委員会報告書抜粋 
     

1.会議の趣旨説明
1)配付資料bに基づき,本検討小委員会の検討・諮問内容の説明が座長の吉田委員より
  あった。

2.議事

1) 今回は第一回目であり,シグマ委員会の今後のあり方を議論する上での出発点となる意
  見を自由に出し合った。述べられた意見は以下の通り。

  1. シグマ委員会の存続理由はJENDL-4を作ることにある。それがいままでの体制で可能
     なのか。マンパワーは不足するだろう。これからどんな人が参加してくれるか,参
     加が可能なのか議論が必要である。
  2. 委員会の創設初期には目的が明確で,産官学の協力でJENDLが作られてきた。いまや
     環境が激変し,これまでのやり方は通用しない。なぜやらなければならないかの目
     的をはっきりさせなければならない。原研上層部から注目されるようでなければな
     らない。次回には長谷川センター長に出席してもらって原研としてのシグマ委員会
     の捉え方を話してもらうのがよい。
  3. シグマ委員会は人数が多い。他の研究委員会との比較では突出しているのではないか。
  4. 高速炉からの必要性はまだある。核データ側の人たちは改訂の意味は分かっているが,
     その外ではいつまでも改訂が続くのは変ではないかと考える人もいる。評価活動の
     必要性は説明できるが,PRは不足している。
  5. シグマ委員会の見直しが必要である。いったん組織を変えてみることも必要ではな
     いか。組織継続の理由としてJENDL-4だけでは弱いかも知れない。
  6. リアクター積分テストWGを例に取ると,原研の成果を聞くだけになってきており,
     workがない。炉定数専門部会自体も,目標がはっきりせず,ベンチマークを取って
     しまうと何もないのではないか。処理コード開発が重荷になっており,その点を考
     慮した核データの供給の仕方があるのではないか。
  7. 新しい炉物理的なincentiveが乏しく,JENDL-4は何が新しいのか見えてこない。
     JENDL-4の見方,あり方を議論すべき。とくに炉物理委員会との連携が重要であり,
     よい協力の仕方があるのではないか。炉物理の人がどう考えているのか,原研の森
     さんを一度この委員会にお呼びして意見を伺うのが良い。
  8. 過去を振り返ると,シグマ委員会はworkのために作られ,skillがなければ参加でき
     なかった。現在,状況は変わってきており,何のための組織かの議論が必要になっ
     ている。
  9. JENDLは日本で唯一のライブラリーであるから,前に進むには新しいデータを採って
     それをライブラリー化することでインパクトが出るのではないか。測定者の国内で
     の連携の仕方を考える必要がある。基盤の強化には人材の育成が必須である。
 10. 大学で核データをやって行けるのか難しところがある。核データは核物理応用のイ
     ンターフェースであり,応用分野として,天体核WGのような新しいアクティビティ
     ー,面白いテーマがあれば動ける。ニーズの掘り起こしが必須。人材の育成に関し
     ては核物理との連携が重要。
 11. 原子力は不可欠のエネルギー源であり,21世紀の中頃のことまでを視野に,革新的
     原子力システムを考えなければならない。FBR,LWRならJENDL-3.3で行けるが,品質
     保証まで考えるとJENDL-4が必要。JPARK第2期工事対応のためには今から立ち上げ
     る必要がある。
 12. Atoms for Peaceから50年。資源の有効利用に結び付け,面白い原子力をやり,核デ
     ータ学を確立することは可能だ。All Japanで核データをやるのは原研(新法人)だ
     けだ。これに即応したシグマ委員会の再編が必要。まずは今後5年間を考えると東
     工大原子力研のCOE取得は良いニュースだ。核データという事業も,人材の育成もス
     コープに入っている。核データの品質保証という考えを全面に出してゆくのは良い。
 13. 人材育成・技術継承に関する関連情報として,(1)IAEAからのアンケート,(2)国際
     原子力大学構想(岡先生,藤井先生)などがある。
 14. 研究資金として,科研費も,シグマ委員会として考えてもよいのではないか。
 15. シグマ委員会にはJENDLと核構造崩壊データで期待したい。シグマをワークする場所
     としたのは先人の達見であり保持すべき。また,学会の委員会の看板があるのも良
     く,今後も2枚看板でやって行くべきである。核データセンターも力をつけ,シグ
     マが継続することが是非必要。
 16. 学会の核データ部会とは別のミッションを持ってやることは可能である。学会の特
     別専門委員会としての利点は今後も使って行ける。
 17. JENDL-4は2030年あたりをターゲットとした次世代革新炉のためのものと位置づけら
     れるのではないか。
 18. 革新炉といっても対象となる核データそのものはあまり変わらない。
 19. 視点を変えて行く必要がある。当面は中間貯蔵しかないから,革新炉をターゲット
     に据えて今から動いて行くしかない。
 20. 核データは博物学であり,目的に引っ張られず,継続して知識を集積・整理して行
     くという観点も必要ではないか。
 21. JENDL-4を目標としたとき,どんな体制がよいのか。
 22. JENDL即シグマ委員会とせず,核構造崩壊データなども扱いも考えておく必要がある。

2) 次回検討小委員会では,原研自体の考え方をもう少し明確にするため長谷川明氏,炉
   物理分野からの声を反映するため森貴正氏にオブザーバー出席をお願いし,ご意見を
   伺うこととした。

3)今回の出された意見は吉田委員が集約して答申案の叩き台とし,次回の議論の出発点
   とすることとなった。

次回会合:平成15年8月末か9月上旬