シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG 高エネルギーファイル作成SWG平成16年度第1回会合議事録 日 時: 平成16年7月1日(木) 13:30〜17:00 場 所: 東京工業大学 原子炉工学研究所、2号館6階会議室 出席者: 山野(東工大)、執行(九大)、小田野(海上技術安全研)、真木(総合科学 研究機構)、日野(日立)、村田(アイテル)、小迫(清水建設)、千葉、 中島、深堀(原研)、渡辺(九大) (以上11名、敬称略、順不同) 配布資料: HE-F-04-01 JENDL High Energy Fileファイル化の現状(2004.7.1現在) HE-F-04-02 JENDL/HE-2004 の問題点 HE-F-04-03 ファイル化作業の現状と予定(2) HE-F-04-04 担当核種の評価作業報告(14N,16O,15N,18Ni) HE-F-04-05 Light-ion production in the interaction of 96 MeV neutron with silicon HE-F-04-06 Nuclear data evaluations for JENDL high-energy file 1.前回議事録確認 「高エネルギーファイル作成SWG平成15年度第3回会合議事録(案)」の確認を行い、 承認された。 2.報告事項 深堀委員より、核データ研究会(2004年11月11,12日)の準備状況と国際会議ND2004 (2004年9月)について報告があった。また、マイナーアクチナイド核種の評価分担者 であるLee氏(KAERI)がKOMACプロジェクトの遮蔽設計責任者になった旨の報告があっ た。山野委員より、東工大COEシンポジウムの案内があった。 3.JENDL/HE-2004(第1版)の現状報告 深堀委員より、配布資料HE-F-04-01を用いて、2004年3月末に公開されたJENDL/HE-20 04(第1版)の現状報告があった。66核種の評価済データを公開した。実験データや他 の評価値との比較結果の一部(C, Fe, Cu等に対する同位体生成断面積)が紹介された。 C, Al, Feに対する陽子入射TTYのMCNPXベンチマーク計算結果の1部が示され、CとFeにつ いてはJENDL/HEの優位性が実証された。 4.各評価者の作業進捗状況報告 4.1 小迫委員 配布資料HE-F-04-03を用いて、以下のとおり進捗状況が報告された。 1) K, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni, ZnがJENDL/HE-2004として公開済。 2) Nb-93, Zr, W, Hg, U-235,238, Np-237, Pu-238,239,240,241, Am-241,242,242m のファイル化終了 3) JENDL/HE-2004格納核種に対するMCNPX用断面積ライブラリーの作成(名称:FSXJHE) とFeデータの検証 ・MCNPX2.5e以降のバージョンに対応可(それ以前では障害発生) ・113MeVと256MeVの陽子入射TTY実験@WNRと43, 68MeV p+Liターゲットの中性子深層透 過実験@TIARAのベンチマーク計算結果の報告。後者の68MeV実験における130cmの鉄ス ラブ中心軸上のデータに対して、JENDL/HE-2004はLA150に比べて実験値との良い一致 を示した。 4.2 村田委員 配布資料HE-F-04-04を用いて、以下のとおり進捗状況が報告された。 1) 14N, 16O中性子弾性散乱角度分布の修正: 後方で負になる問題が発生し、 Legendre展開係数形式から表形式に変更 2) 15N, 18O(優先度4)の評価に着手: 14N, 16Oと基本的に同様な手法(mEXIFON +PHITS)で評価する予定 3) その他の陽子入射関連の研究紹介: 軽核陽子捕獲反応断面積の共鳴解析および (p,n)反応によるアナログ状態励起断面積の解析 4.3 渡辺委員(資料HE-F-04-05) 資料HE-F-04-05を用いて、Uppsala大における96MeV中性子入射軽イオン生成断面積測 定データとJENDL/HE-2004および他の計算値(LA150, TALYS計算)との比較結果が示さ れた。陽子については、低エネルギー部で実験値を過大評価(1.5倍程度)。複合軽イ オン(d,t,3He,alpha)のDDXについては、いずれの計算もスペクトルの形状について問 題があり、今後の課題の1つであることが指摘された。 5.ND2004における発表 本SWGの成果に関連して採択された発表は、招待講演2件とポスター講演4件である。 渡辺委員により、招待講演のアブストラクト(配布資料HE-F-04-06)が配布され、 proceedings執筆段階における協力要請があった。 6.JENDL/HE-2004の問題点等 深堀委員より、配布資料HE-F-04-02に基づき、JENDL/HE-2004の問題点について報告 があり、それに基づいて検討課題や今後の活動方針等の議論を行った。 1) ファイル化段階での全体的な問題点 ・LA150形式とJENDL形式の混在(深堀委員の検討課題) ・Sum ruleの結果が正しくないか全断面積にエネルギー点がない。 ・IFI=1でMF=1/MT=452が無い。(解決済) ・コメントファイルのスペルチェック 2) レヴュー結果にみられる共通の指摘事項 ・GNASH領域(150〜250MeV以下)とJAM領域(150〜250MeV以上)の接続が不連続とな る。 ・JAM領域でモンテカルロ計算の統計不足ために同位体生成断面積が小さい場合に励起 関数が滑らかでなくなる。 3) 検討課題(小迫委員) ・DDXデータ量の巨大化: LAW=7形式のためにデータ量が膨大になる。 ・JAM計算結果のDDXデータの放出エネルギー点が固定化(32点)と最大エネルギー値 が入射エネルギーと同じで反応Q値が考慮されていない。 いずれも当面はユーザーからの意見集約を行って対応を考える。後者については、入 射エネルギーが150MeV以上で、Q値の絶対値は10MeV程度なので、その影響は大きくな いことが予想される。 7. 本年度の活動方針等 1) 当面の対応 ・JENDL/HE-2004のデータCDを委員全員に送付 ・レヴュー結果を各評価者へ送付 ・評価者が改訂すべきと判断すれば、第2版のリリースまでに改訂作業を行う。 2) JENDL/HE-2005(第2版)のリリースまでの活動方針 ・優先度1と2の全核種を含めることを目指す。 ・12月末までに評価終了。1月末までにレヴュー終了、その後公開手続きに入り、 3月末公開予定。 3) 優先度の見直し ・優先度1から3への変更核種: Au-197 ・優先度2から3への変更核種: H-2, Ta-181 8.論文化(担当:渡辺委員) JENDL/HEの成果をとりまとめ、原子力学会欧文誌への投稿にむけた原稿の準備 次回予定: 11月30日(火)