シグマ研究委員会・核データ専門部会
      評価計算支援システムWG 2004年度第1回会合議事録


日 時: 平成16年11月18日(木) 13:30〜17:30
場 所: 日本原子力研究所 計算科学技術推進センター 第2小会議室
出席者: 北沢(東工大)、大澤(近大)、渡辺(九大)、中村(元富士電機)、
         中川、市原、岩本、深堀(原研)     (8名、敬称略、順不同)

配布資料:
・ ECSS-04-1	統計模型計算プログラムCCSM(岩本)
・ ECSS-04-2	Program POD; A Computer Code to Calculate Nuclear 
		Elastic Scattering Cross Sections with the Optical 
		Model Potential and Neutron Inelastic Scattering 
		Cross Sections by the Distorted Wave Born 
		Approximation(市原)
・ ECSS-04-3	原子核質量&準位密度公式の統合モデル(VI)(中村)
・ ECSS-04-4	教科書目次(案)(深堀)

議 事:
1. 前回議事録確認
 前回議事録を確認した。

2.C++言語を用いた統計模型計算プログラムCCSM
 配付資料ECSS-04-01を用いて、岩本委員が作成した統計模型計算プログラム
CCSMについての報告があった。マイナーアクチニド核データ評価のためにC++
言語を用い、オブジェクト指向の考え方で作成された。簡易入力(RIPLデータ
ベースの利用)及び評価済み核データファイルへの出力が可能であり、評価の
省力化が図ることができる。出口チャンネルの透過係数の規格化に関する検討
が必要ではないかとの意見が出された。今後、前平衡過程、核分裂チャンネル、
直接中性子捕獲過程等の部分を作成する予定である。

3.光学模型及びDWBAコードPODの開発
 市原委員が配付資料ECSS-04-2を用いて、FORTRANによる光学模型及びDWBAコ
ードPODの開発について報告した。DWBAによる中性子、陽子、重陽子、三重陽
子、3He粒子、α粒子に関する弾性及び非弾性散乱の計算が可能となった。
Koning-DelarocheのOMPを内蔵(外部入力も可能)しており、lmax=40まで計算
可能である。角度分布に関しては、Kunzの表現方式(ENDFフォーマットでは表
形式)及びLegendre係数方式による出力が可能である。Al〜Biについてテスト
した結果、30 MeVまではDWUCKの計算結果と一致した。今後、前平衡過程
(excitonモデル+Kalbach系統式)及び統計模型の部分を順次作成する予定で
ある。

4.原子核質量及び準位密度公式の統合モデル
 中村委員が配付資料ECSS-04-3に基づき、原子核質量及び準位密度公式の統
合モデル検討の進捗状況を報告した。Fermiガス、KRK、SPC(Shell−Pairing 
Correlation)モデルと本統合モデルの実験データによる検証を、低エネルギ
ー(離散準位)領域(RIPL、1998)、s-波中性子共鳴幅(RIPL-2)、中高エネ
ルギー準位幅(Iljinovによる評価)、中性子蒸発スペクトルに分けて比較し
た。全体的に良く一致しているが、特に、低エネルギー部分は他のものよりよ
く再現している。論文化を予定している。

5.即発中性子の評価法
 大澤委員より即発中性子数の評価方法に関する提案がなされた。現象論(系
統式)的な方法では限界があり、マルチモード核分裂から求めたい。即発中性
子数は、モード別で違うはずであるが励起エネルギー及び中性子分離エネルギ
ーでほとんど決まる。今後、MAまで適応したい。

6.評価用国産コード収集
 評価用国産コードの収集に関しては、現状では国産コードを本WGで収集し、
非公開であるがwwwページを作成した段階である。HIKARIマニュアルを作成中
で有り、完成し次第公開可能であると北沢委員から報告があった。コードの公
開について、「パスワードをつけて公開」、「コード名と簡単内容だけ出して、
ソースは別途配布」等の意見が出されたが、継続して検討することとした。

7.教科書の作成について
 核データに関する教科書の作成について、深堀委員が配付資料ECSS-04-4に
より、目次(案)を提案した。大きく分けて、「核データの一般論」、「核デ
ータの測定」、「核データ評価のための理論」、「核データベースとその利用
法」、「炉定数作成に向けて」からなる章立てが提案された。「核データの一
般論」に関しては、序論的な部分で深堀委員が担当する。「核データの測定」
は評価の基礎となる測定に関する記述で、本WGでは執筆が困難であるので、実
験を行っているグループにお願いする。「核データ評価のための理論」に関し
て、本WGの対応を検討し、渡辺委員がより詳細に検討することとした。「核デ
ータベースとその利用法」に関しては、原案では各国の評価済みファイルと種
々の基礎物理データ(ENSDFや質量表等)及びパラメータ(RIPLを想定)であ
ったが、後者に関しては、「核データ評価のための理論」に関連するので、新
たに「核データの評価方法」の章を設け、評価済みファイルに関するものだけ
にする。この他、www化も検討することとした。

8.その他
 次回の会合は、平成17年2月10日(木)の予定。