シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG
    高エネルギーファイル作成SWG平成16年度第2回会合議事録

日 時:平成17年1月11日(木) 13:30〜17:00
場 所:日本原子力研究所 計算機科学技術推進センター、第1小会議室
出席者:執行(九大)、小田野(海上技術安全研)、真木(普遍学国際研)
    日野(日立)、村田(アイテル)、小迫(清水建設)、千葉、中島、深堀 (原研)、
    渡辺(九大)  (以上10名、敬称略、順不同)

配布資料:
 HE-F-04-07 炭素、シリコン、マグネシウムの評価進捗状況(15)
 HE-F-04-08 Nuclear data evaluation for JENDL high-energy file (ND2004)
 HE-F-04-09 N-14, O-16のレビュー問題点回答
 HE-F-04-10 ファイル化作業の現状と予定(3)
 HE-F-04-11 JENDL High Energy Fileファイル化の現状(2005.1.11現在)
 HE-F-04-12 ADSのための標準核データライブラリーに関するIAEA技術会合報告
  HE-F-04-13 高エネルギー核データ評価WG平成16年度活動報告・平成17年度活
       動計画

1.前回議事録確認
  「高エネルギーファイル作成SWG平成16年度第1回会合議事録(案)」の確認を行
 い、承認された。

2.報告事項
 ・深堀委員より、原子力学会春の年会(2005年3月29-31日)の核データ関連講演のプロ
  グラム編成結果について報告があった。セッションは3/31午後で、全13件発表が予定
  されている。
 ・渡辺委員より、NRG@Pettenで開発されたTALYSコードの公開について説明があり、そ
  のマニュアルが回覧された。

3.各評価者の作業進捗状況報告
3.1 渡辺委員(資料HE-F-04-07,08)
  配布資料HE-F-04-07を用いて、炭素、シリコン、マグネシウムの再評価結果について
 報告があった。JENDL/HE-2004からの変更点として、炭素は12C(n,2n)11C反応断面積の
 み。シリコン、 マグネシウムは陽子入射20MeV以下の断面積評価を新たに行った。それ
 に伴い、シリコン、マグネシウムのOMPパラメータを変更したのでGNASH計算を再度150
 MeVまでやり直した。現在、最終ファイル化の段階である。又、ND2004の招待講演で発
 表した論文のプロシーディングス原稿が資料HE-F-04-08 として配布された。

3.2 村田委員
  配布資料HE-F-04-09を用いて、N-14, O-16のレビューで指摘された問題点に対する検
 討結果が報告された。JENDL/HE-2005に向けた改訂作業の要点(予定)は以下の通りで
 ある。
 ・低励起離散的状態への微分断面積を実験室系でのDDX(MF=6,MT=5)へ追加する。
 ・16O(p,x)14O生成断面積の再規格化
 ・最終評価値でないものがファイル化されている可能性があるのでチェックする。特に、
  DDXデータについてはファイル化段階で何か不具合があった可能性が高い。

3.3 小迫委員
  配布資料HE-F-04-10を用いて、評価およびファイル化作業状況とベンチマーク計算結
 果について以下のとおり報告があった。
 1)JENDL/HE-2004公開分はND2004で報告済、F-19, Na-23, Ar-36,38,40, Mo-92,94,95,
  96,97,98,100の評価が未了
 2)アクチニド核種のファイル化のやり直しを予定
 3)113MeVと256MeVの陽子入射TTY実験@WNR/LANL(C, Al, Fe)と43, 68MeV p+Liター ゲ
  ットの中性子深層透過実験@TIARA(Feとコンクリート)についてMCNPX2.5eを用いて
  ベンチマーク計算を行った。
 ・WNR: Feについては3者(JENDL/HE,LA150,NRG-2003)で大差はないが、NRG-2003が best
  の様子。CはJENDL/HEが優れている。
 ・TIARA:68MeV陽子入射は比較的良好、43MeVでは過大評価の傾向あり、要検討。

3.4 深堀委員
 ・Lee氏と担当しているアクチニド核種(Th-232,U-233,234,236,Am-243,Cm同位体)の
  評価では、核分裂の 値などで若干問題があり、現在検討中。  
 ・Pb-208, Bi-209は、同位体生成断面積とDDXの評価をほぼ終了した段階。陽子入射同
  位体生成断面積の最新実験データ(ISTC)を入手して、評価値との比較検討を行ってか
  らファイル化の予定。

4.JENDL/HE-2005(第2版)公開へむけた準備など
  配布資料HE-F-04-11に基づいて以下の2点について議論を行った。

 1) 評価担当者の変更およびレヴュー担当者の割り当て
 ・H-2(桑折委員)、Cl,Ga,As, Ge同位体(渡部委員)の評価担当者の変更申し出を了
  承。
   H-2については尾立氏(東京理科大)に可能性を打診(千葉委員担当)、Cl,Ga,As,
  Ge同位体は優先度が低いので、来年度に担当者の割り当てを行う予定。
 ・以下の核種に対するレヴュー担当者の割り当てを行った。
  Mo同位体及びNp-237:渡辺委員、Pu同位体:真木委員(川合委員より交代)
  Am同位体:執行委員

 2) JENDL/HE-2005(第2版)公開スケジュール等
   本年度末までに評価・ファイル化・レヴューを終え、公開する予定。ただし、作業
  状況によっては公開が4月以降にずれ込む可能性もある。

5.ADSのための標準核データライブラリーに関するIAEA技術会合報告
  配布資料HE-F-04-12に基づいて深堀委員より、IAEA本部で2004年12月15-17日に開催
 された標記IAEA技術会合の概要報告があった。この会合で、現存の評価済み核データフ
 ァイルに基づきADS用標準核データライブラリーを準備することが推奨され、専門家に
 よる作業グループが組織され、関連活動が開始された旨の説明があった。現時点で幅広
 い核種を網羅しているJENDL/HEファイルから採用される可能性が高いとのコメントがあ
 った。

6.16年度の活動報告と17年度の活動計画
  深堀委員より、配布資料HE-F-04-13を用いて高エネルギー核データ評価WGの16年度の
 活動報告と17年度の活動計画について説明があり、本SWGの16年度の活動内容(評価、
 微分レヴ ュー、ND2004での発表)と17年度の活動計画案(下記)が承認された。

 ・評価未了核種の評価の継続とファイル化およびJENDL/HEの順次公開
 ・公開のための微分レヴュー作業の継続
 ・評価手法の検証とより信頼性の高い高エネルギー核データ評価手法の確立を目指した
  アクションプランの検討
 ・JENDL/HE-2005で公開した核種の評価結果の論文化

次回予定: 未定