シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG
    高エネルギーファイル作成SWG平成17年度第1回会合議事録

日 時:平成17年7月8日(金) 14:00〜17:30
場 所:日本原子力研究所 東海研究所 第2研究棟2階222会議室
出席者:執行(九大)、小田野(海上技術安全研)、真木(総合科学研究機構)
    日野(日立)、村田(アイテル)、小迫(清水建設)、千葉(原研)、
    柴田(原研)、深堀 (原研)、国枝(原研、オブザーバ)、渡辺(九大)
    (以上11名、敬称略、順不同)

配布資料:
 HE-F-05-01 ND2004 proceedings, Nuclear Data Evaluations for JENDL High-Energy 
       File [渡辺委員] 
 HE-F-05-02 炭素の評価における問題点 [渡辺委員] 
 HE-F-05-03 14N,16Oの評価結果 [村田委員] 
 HE-F-05-04 n+14Nの評価結果 [村田委員]
 HE-F-05-05 p+14Nの評価結果 [村田委員]
 HE-F-05-06 n+16Oの評価結果 [村田委員]
 HE-F-05-07 p+16Oの評価結果 [村田委員]
 HE-F-05-08 ファイル化作業の現状と予定(5)[小迫委員]
 HE-F-05-09 厚いWターゲット陽子入射実験によるベンチマーク計算(2) [日野委員]
 HE-F-05-10 JENDL/HE-2004問題点の抽出とその解決方法など  [深堀委員]
 HE-F-05-11 JENDL High Energy File ファイル化の現状  [深堀委員]
 HE-F-05-12 ISTC Project#2578 summary report  [深堀委員]


1.前回議事録確認
 「高エネルギーファイル作成SWG平成16年度第3回会合議事録(案)」の確認を行い、
  一部修正後承認された。

2.報告事項
・深堀委員より、MVP/GMVP IIレポート (JAERI 1348)のリリースと本年度の核データ研究
  会(11/17,18予定)について報告があった。
・渡辺委員より、本SWG活動に関するND2004のプロシーディングス(配布資料HE-F-05-01)
  のTable-1に訂正がある旨報告があった。(Ta-181が欠落)

3.各評価者の作業進捗状況報告

3.1 渡辺委員
  炭素の評価において、配布資料HE-F-05-02を用いて、GNASH計算結果から実験室系の
 DDXを作成する際に使った変換方法に問題があった旨報告があった。後方角で、二体運
 動学から計算される最大放出エネルギーとのずれが生じており、その原因は蒸発成分に
 対して用いた運動源モデルによる変換にあった。運動学で計算される最大エネルギー以
 上の成分をすべてゼロにおくことで対処可能であることが説明された。

3.2 村田委員
  配布資料HE-F-05-03〜07を用いて、14Nと16Oの再評価およびファイル化の結果につい
 て報告があった。すべての再評価が終了し、ファイル化を終えた段階にある。入射エネ
 ルギーが150MeV付近まで高くなると、LA150との違い(特にDDX)が顕著になる傾向にあ
 ることが示された。また、DDXデータのファイル化の際に問題となったゼロエネルギー
 (断面積ゼロ)から最初の値が入るエネルギー点までの断面積値について議論した結果、
 格納方式を従来のヒストグラム形式からポイントワイズ形式に変更することで対処する
 ことになった。

3.3 小迫委員
  配布資料HE-F-05-08を用いて、ファイル化作業状況等について以下のとおり報告があ
 った。
  1) Nb, Zr同位体の再評価結果のファイル化およびレビューキット作成を終了。N-14,
   O-16のDDX再評価結果のファイル化も終了。今後は、Cu同位体のファイル構造を
   JENDL/HE形式へ変更する作業を予定。
  2) アクチノイド核種についてMCNPX用断面積ライブラリーを作成し、辻本氏等(原研)
   に配布し、使用中。又、佐藤氏(原研)から指摘されていたH, C, N, Oの問題点に
   ついて検討して解決した旨の報告あり。(詳細は配布資料HE-F-05-10も参照)
  3) 理研リングサイクロトロンで測定された210MeV陽子に対する鉄ターゲットTTY実験
   (米内氏)についてベンチマーク計算を行った。10MeV以下の中性子生成が過大評価
   の傾向にある。これはWNR/LANLの256MeV陽子の結果と類似しており、Feの断面積再
   評価について検討中である。今後のベンチマーク問題として、PHITSやMCNPXを用い
   た高エネルギー陽子入射による遮蔽実験解析を予定。
  4) 今後の評価予定核種:F-19, Na-23, Ar-36,38,40, Mo-92,94,96,97,98,100

4.JENDL/HE-2004の積分テストの結果について
  日野委員から、厚いWターゲットに対する0.896および1.21GeV陽子入射実験(高田氏)
 に対するベンチマーク計算結果について配布資料HE-F-05-09に基づき、報告があった。
 MCNPX2.5.0とFSXJHEN1およびFSXJHEP1ライブラリーを使用し、放射化断面積は前川氏提
 供のものを使用。JENDL/HEを用いた結果は、LA150を用いた場合と比較して、入射面か
 ら離れるほど反応率を過小評価する傾向があることが示された。この相違は、計算され
 た中性子スペクトルの相違(JENDL/HEの結果は、10〜150MeV領域で小さく、逆に150MeV
 以上で大きくなっている)に起因すると考えられる。

5.JENDL/HE-2004問題点の抽出とその解決方法など
  深堀委員より、配布資料HE-F-05-10に基づいて、以下の3つのベンチマークテストに
 よって抽出されたJENDL/HE-2004問題点とその解決方法について報告があった。
  1) H,C,N,Oに関するライブラリーの問題点:佐藤氏(原研)によるベンチマーク計算
  2) ADS(大井川)グループによるベンチマーク計算:MCNPXによるJENDL/HEの重核種
   の検証
  3) IRMMでの光核反応データとリンクしたベンチマーク問題:文献 M. Flaska et al.,
    NIM A531(2004) 392 
 1)と2)については、原因が究明され、再ライブラリー化等で対応可能。3)については、
 JAERIとIAEAの光核反応データを用いた中性子放出量計算の比較で、両者の結果に大き
 な差があることを指摘された。先方の計算について詳細ははっきりしないところがある
 が、LA150にないU-238のデータを送付して標的内での中性子輸送計算に使用してもらう
 予定である。

6.今年度活動計画について
  配布資料HE-F-05-11に基づいて、本SWGの今年度活動計画について議論を行い、以下
 の活動方針ならびに検討課題をまとめた。

  1) 2005年度末までに優先度3の未評価核種について評価を終え、2006年度前半は主
   としてファイル化と一部ベンチマークを行う。
  2) 評価が遅れている核種(特に軽核)については担当委員の見直し(国際協力も含
      む)を行う。
  3) 現時点での行った評価およびレヴューの担当委員の見直し結果は以下のとおりで
      ある。

   Cl同位体、Ga同位体、Ge同位体、As-75の評価担当: 小迫委員
   Cl同位体、Ar同位体、Ga同位体、Ge同位体、As-75のレヴュー担当: 渡辺委員 

  4) すでにレビューキットが完成している重核種については、担当委員へキットの送
   付を至急行う。
  5) 今後の検討課題として以下の提案があった。
   ・未評価の核種について、軟回転模型+結合チャネル法に基づく光学模型計算の適
    用(千葉委員)
   ・非平衡過程における軽イオン生成計算の高度化(渡辺委員)

7.ISTC Project #2578の最終レポートに関連した報告
  深堀委員より、配布資料HE-F-05-12を用いて、ISTC Project #2578の最終レポートの
 結論から、本SWGに関連する箇所を抜粋して、ADS関連のアクチニド核種に対して今後の
 実験や評価が要求される反応過程や生成核種について報告があった。

次回は未定