核データ研究グループ

放射化法による熱中性子捕獲断面積測定

FP、MA核種の熱中性子捕獲断面積
核変換の対象核種としては、核燃料の核分裂反応で生成する99Tc、137Cs、 129I、90Sr等の核種と核燃料の中性子吸収反応で生成 する237Np、241Am等の超ウラン元素があります。核変換のため に核反応を起こす入射粒子としては、中性子を用いるのがエネルギー収支の観点から有利です。核変換のために核反応を起こす入射粒子としては、中性子を用 いるのがエネルギー収支の観点から有利です。何故ならば、中性子はCoulomb障壁に遮られることなく低い運動エネルギーでも原子核に容易に到達する からです。そして、原子炉中性子による核変換を考える場合、核変換率を精度良く評価するためには、熱中性子捕獲断面積はもちろんのこと、熱外中性子によ る反応の寄与を考慮するのに共鳴積分の信頼性の高い核データが不可欠です。核データは、1950年代から1970年代にかけて精力的に整備されてきました が、その測定の信頼性は低く、核種によってはデータがないものも多くあります。その後、近年まで核データの測定は、ほとんどなされていないのが現状です。

そこで、高レベル放射性廃棄物の地層処分への負担を軽減することを目指し、 有効な核変換技術を実現するために、その基礎・基盤となる核データの実験研究を実施しています。
fpdata
FP核データの現状

放射化法
中性子捕獲反応で生成される放射性核種から 放出されるガンマ線を測定することにより、定性・定量分析を行う方法を、放射化法といいます。 そこで、本手法を用いて核分裂生成核種、及びMA核種の熱中性子捕獲断面積を測定しています。
  例として、135Cs(半減期230万年)を考えて以下のとおり説明します。

135Cs試料を原子炉中性子で照射して放射化させると、生成される136Cs核 が短い半減期(13日)で崩壊し、ガンマ線を放出して安定な136Ba核になります。136Csが崩壊する際、放出されるガンマ線のス ペクトル例を以下に示します。

activationspec

                        放射化法による断面積測定                                                                            崩壊ガンマ線のスペクトル例



 測定されるガンマ線のピークの収量から、生成された136Csを定量することができます。
westcott

Westcott's Conventionに基づいた解析方法


照射試料として用いた135Csの量をあらかじめ定量しておき、また照射位置での中性子束をモニタすることにより、
Westcott’s Conventionにもとづいて、熱中性子捕獲断面積及び共鳴積分を求めることができます。
FP、MA核種の熱中性子捕獲断面積及び共鳴積分の測定に関して、得られた成果 を、過去の測定データとともにまとめてあります。



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