【ポイント】
● 原子力施設で発生する放射性核種の生成量を予測するためのデータベースを開発
● 核反応に関する最新知見を投入し、精度を高めたデータを大幅に拡充
● 研究・医療用加速器施設における放射性核種の生成量評価へも適用可能
原子炉施設や研究・医療用加速器施設の安全かつ合理的な廃止措置に資するため、放射性核種の生成量評価(放射能インベントリ評価)のための放射化断面積データベース「JENDL/AD-2017」を開発しました。
近年関心が高まっている原子炉施設の廃止措置では、はじめに放射化断面積データベースを用いた放射化計算を実施し放射能インベントリ評価が行われます(図A)。これまでも放射化断面積データベースとしては「JENDL/A-96」等があり、これらを用いた評価が行われておりました。一方で、さらなる精度向上を目指した最新知見の反映も継続的に進めていく必要があると考えております。
核データ研究グループでは、収録核種数を大幅に拡充するとともに、核反応データの最新知見を反映してデータを見直すことで、精度向上を行いました。収録核種数の大幅な充実により(図B)、原子炉施設の構造材、コンクリート遮へい体だけでなく、ハフニウム等の制御棒材料や鉛、ビスマス等の放射線遮へい材等に対する放射能インベントリ評価が可能となります。また、研究や医療目的に利用される陽子や電子線加速器施設を含め、様々な施設の廃止措置への適用が期待されます。
今後の研究開発により、収録データの「不確かさ」情報を充実させ、さらなる品質向上を目指す予定です。本成果は、下記ホームページより公開しております。