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           第3回リアクター(LWR/FBR)積分テストWG 議事録(案)

日時 : 1995年3月15日(水) 14:00〜17:45

場所 : 東電ソフトウェア12階会議室

出席者 :
委員 : 秋江拓志(原研)、飯島進(原研)、池田一三(三菱、河北代理)、石川眞(動燃)、
金子邦男(日本総研)、亀井孝信(高速炉エンジニアリング)、菊池康之(原研)、
佐治悦郎(東電ソフトウェア)、瑞慶覧篤(日立)、高野秀機(原研)、鷹見益夫(CRC)、
田原義寿(三菱)、中島健(原研)、林秀行(動燃)、森貴正(原研)、山本宗也(東芝)
オブザーバー : 植之原勇二(東芝)、桜井健(原研)、山本章夫(原燃工)

配付資料 :
資料3-1  第2回リアクター(LWR/FBR)積分テストWG議事録(案) (秋江)
資料3-2  FCAおよびZPPRによるC8/F9反応率比の測定と解析 (飯島、桜井、石川)
資料3-3  STACYの実験と解析 (中島)
資料3-4  MVPによるFBR解析 (高野、金子)
資料3-5  JENDL-3.2とENDF/B-VIのベンチマーク比較 (高野)
資料3-6  WIMS-JENDL3.2ライブラリの作成(計画案) (鷹見)

議題 :
1)  前回議事録の確認

2)  FCAおよびZPPRでのC8/F9測定と解析
    前回に引続き、高速臨界実験FCAとZPPRにおける反応率比C8/F9の計算値/実験値比
(C/E)の差異について、原研の飯島、桜井両氏と動燃の石川氏より資料3-2を用いて測定
法と誤差評価及びセルファクター等の補正に関して説明された。
    ZPPRの解析に用手法でFCAを解析すると、C8/F9のC/E値はほぼ1.0となる等の理
由から、FCAとZPPRの不整合はセル平均反応率比の実験値そのものにあると考えられる。
実験値間に差異が生じる可能性は前回も指摘されていた通り、主として検出器の絶対校
正係数と測定値をセル平均値に変換するセルファクターの2つにある。このうち検出器
の校正係数の相違は、同一中性子場での測定結果を直接比較すば知ることができるが、
実際問題としてZPPR実験は終了してからかなりの期間が経過しており現実的ではないと
のこと。
    一方セルファクターについては、モンテカルロ計算による燃料板内の反応率分布の
評価等により検討することができる。また、ZPPRにおけるセルファクター評価に用いら
れる Stanford and Robinson 実験の詳細についてアメリカの関係者に問い合せ、モン
テカルロ計算と比較してはどうかというコメントがあった。

3)  STACY解析
    原研・NUCEFの定常臨界実験装置STACYの初臨界時の実験結果とその解析結果につい
て、原研の中島氏が報告した(資料3-3)。
    モンテカルロコードMCNPによる解析では、JENDL-3.1による0.3%弱のk-effの過小評
価からJENDL-3.2では1%程増倍率が大きくなり、逆に過大評価となる。この傾向はTCAウ
ラン炉心等と同じである。
    原研・菊池氏のコメントによると、JENDL-3.1から-3.2への改訂で分離共鳴領域のU-
235捕獲断面積を変化させ過ぎたようである。この件に関してはENDF/B-VIも含めてNEA
でワーキングパーティーが開催されるとのこと。
    U-235軽水炉臨界実験としてはTRXがこれまで広く解析に用いられてきたが、最近行
われたモンテカルロ計算を含む様々な解析でk-effを常に過小評価するため実験に疑問
が残る。TCAや今回のSTACYのような新しい実験結果が今後のU-235断面積の見直しに役
立つという意見があった。また、硝酸ウラニル水溶液燃料を用いるSTACYには窒素が多
く含まれ、JENDL-3.2のN-14断面積(これも問題点あり?)の検討にも有効であろう。
    その他解析法に関して、簡易モデルと詳細モデルの2つの実験体系モデル間に、
JENDL-3.2による解析で約0.2%dkのくい違いが生じたことに関する質問があった。

4)  MVPによるFBR解析
    資料3-4により、モンテカルロコードMVPによる-9全炉心計算の予備結果等が、
日本総研・金子氏から報告された。今後、体系や組成の情報を動燃に確認のうえで計算
の信頼度を高める予定である。
    連続エネルギーモンテカルロ法による大型炉心の全炉心計算が、実用的なレベルで
可能となったという事実に各委員とも期待が大きく、前記のC8/F9反応率比等いくつか
の検討項目に関する希望や意見が述べられた。

5)  JENDL-3.2とENDF/B-VIのベンチマーク計算比較
    原研・高野氏による説明が行われた(資料3-5)。なお、前回報告されたENDF/B-VIの
ベンチマーク計算結果は、ENDF/B-VIファイルの記述に一部誤りがあったため今回再計
算を行った。
    ZPPR等の炉心で、ENDF/B-VIはJENDL-3.2と比べk-effを約1%過大評価する。U-238の
断面積のみをJENDL-3.2と置き換えればJENDL-3.2による結果とほぼ一致するので、差異
の原因はU-238データにある。特に非弾性散乱断面積の違いが大きく効いているとのこ
とであった。U-238非弾性散乱全断面積の形は、ENDF/B-VIとJENDL-3.2では2ないし3MeV
以上のエネルギー領域で大きく異なり、散乱のレベルの数や大きさにも違いがみられる。
来年度以降の課題となろうとコメントされた。

6)  WIMS-JENDL3.2ライブラリの作成計画と1994ライブラリによるベンチマーク計算
    JENDL-3.2ベースの熱中性子炉格子計算コードWIMSライブラリの作成計画に関し、
CRC・鷹見氏が資料3-6を用いて報告した。同時に、JEF-2.2に基づく最新のWIMS-1994ラ
イブラリを用いた格子ベンチマーク計算結果も紹介された。
    WIMS-JENDL3.2ライブラリは、公開版WIMSであるWIMS-D用の69群ライブラリとし、
H, O, Fe, Zr, UおよびPu同位体等合計16核種について作成する予定である。
    一方、最新のWIMS-1994ライブラリはWIMS-Eコードに対応しており、69群と172群の
2種類がある。172群ライブラリではWIMSコードの問題点であったPu-242の熱エネルギー
領域の共鳴吸収の計算が改善され、他コードと一致がよくなった。
    これに対し、Pu-242に対応できないWIMS-JENDL3.2ライブラリを公開するには問題
がないかというコメントがあった。IAEAのWIMSプロジェクトの最終結果に合せた形のラ
イブラリとするのがよい、172群ライブラリも作成するか、少なくともPu-242エネ
ルギー領域の共鳴遮蔽因子も同時に公開すべき等の意見がだされた。

7)  次年度活動計画
 -  高速炉
    C8/F9反応率比についてモンテカルロ計算によるセルファクターの検討、MVPによる
全炉心計算、U-238非弾性散乱断面積の検討等。
 -  熱中性子炉
    TCAやSTACY解析によるU-235およびN-14断面積の検討、現行軽水炉モデルのMVP計算
による実機運転条件での核データライブラリ間の差異の検討、WIMS-JENDL3.2ライブラ
リの作成等。
 -  次回開催日時、場所は未定。