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      シグマ研究委員会・核データ専門部会
      FP核データワーキンググループ会合議事録

日 時: 平成7年5月30日(火) 11:00〜17:30
場 所:  日本原子力研究所 東海研究所 研究2棟222及び304室
出席者: 中川、中島、千葉(原研)、瑞慶覧(日立)、杉(広領域教育研)、
     松延(住原工)、渡部(川重)、川合(東芝)
     菊池(特別出席、原研核データセンター長)
配布資料  前回議事録(1995年4月20, 21日)
     FPND-95-04 Evaluation of Fission Product Resolved Resonanace
           Parameters for JENDL-3.2 File: Mass Number A=130-160 
          (瑞慶覧)
     FPND-95-05 S波中性子の強度関数と平均準位間隔(中島)
      FPND-95-06 MOLでのPd(n,n'γ)、Mo(n,n'γ)スペクトル測定結果と105Pd、
                     104,106,108,110Pd(n,n'γ)断面積(Wageman)
          FPND-95-07 直接過程による非弾性散乱の計算(JENDL-3.2 FP) (杉)

 
議 事:
1.前回議事録の確認

2.NEANSC核データ評価協力ワーキングパーティー報告
 菊池氏より表記会合でのFP核データの活動に関する討議結果が報告された。
 SG-10「非弾性散乱断面積の評価法の検討」については、前回4月20,21日の当WGで
の結論(前回議事録)通り、質量数100近傍の核の検討も含めて最終結論を出すことに
決まった。ただし、Cadaracheの Philip Finckの弁明によれば、JEF-2によるSTEK炉心
での反応度価値測定データの解析は、1996年5月までかかるとのことである。また、 
MOLにおけるMoの非弾性散乱断面積の測定データの解析は同程度掛かりそうである。従
って、それらの結果もレポートに反映させるため、SG-10は1996年まで継続する。
  SG-17は前のGatlinburgでのワーキングパーティーで、「STEK実験での積分テストの
誤差検討」のスコープが「Pseudo FPの1群化断面積の相互比較」に変更されたもので
あり、前回WG討議において無意味だから中止勧告したのに対して、Gruppelaarは実
用的な観点から相互比較の希望を挙げ容認された。ただし、非弾性散乱断面積につい
ては、適当な随伴中性子スペクトルを用いて比較する。なお、会議の折、Pseudo FP作
成用のcummulative yieldsデータと縮約スペクトルが納められたディスケットが渡さ
れ、東芝吉田氏に預けたとのことである。


3.報告書作成作業進捗報告と検討
中川:報告書作成の基礎データであるコメントリストを作成し、各担当者に配布した。

杉: DWUCKまたはECISでの直接過程の非弾性散乱断面積計算に使用した変形パラメー
   タの値を調べて表にまとめた。Fusion Fileからの採用分については、コメントリ
   ストに値が載っていないため、計算担当の千葉委員からデータをもらって表を完
   成させる。

渡部:捕獲断面積の規格化に用いたデータについて前回の調査結果とコメントリストの
   記述と対照確認する。

松延:共鳴パラメータの担当核種(As-Sr, I-Cs)のコメントリストのチェックを継続す
   る。なお、Cs-133についてREPSTOR fileから作表した時にマスクした筈のデータ
   が表に現れたといった問題点が指摘された。中川委員がプログラムをチェックす
   るが、差し当たってマスクするデータを省いたデータセットを臨時に作って試す
   ことが推奨された。

川合:Y-89からRh-105の共鳴パラメータについて評価レポートの原稿について修正し
      た。今後、残るTc, Mo, Sn, Teについて原稿作成とコメントリストの修正用デー 
     タの作成を行う。

中島:共鳴パラメータの評価について学術雑誌(J. Phys. and Chem. Reference Data ま
   たは Atomic and Nuclear Data Tables)への論文投稿について提案。
   検討の結果、評価内容とREPSTORのラインプリンター出力例そして、FP全核種の
   出力ファイルがavailableであるといった記述をまとめてAtomic and Nuclear 
      Data Tablesに投稿することにした。なお、REPSTOR出力ファイルはJENDL-2のため
   の菊池氏の評価結果を含めるので、そのファイル作成と投稿用論文作成を中島委
   員に一任した。

瑞慶覧:配布資料 FPND-95-04にもとづいて共鳴パラメータの評価レポートの雛形を説明
   した。検討の結果、レポートは分量からいっても評価者別に発刊することとする
   が、表題については "Evaluation of Fission Product Resolved Resonance
   Parameters for JENDL-3.2 File: Atomic Number Z = xx - yy" と統一する。
   また、核種別に文章、文章の参考文献、共鳴パラメータの表に対する参考文献、
   表の順にまとめる。また、スピン、パリティーさらにthermal valueと共鳴積分値
   をMughabghabらの推奨値と比較して載せる。その他の細目については、配布資料
   をたたき台にして次回の集中作業までに検討しておくことにした。


4.NEANSC活動への対応について
 菊池氏の報告をもとに今後のNEANSC活動への対応について協議した。

SG-10:非弾性散乱断面積の相互比較、非弾性散乱断面積の計算法検討、積分テストの相
互比較がスコープに含まれている。日本で残っている仕事は、非弾性散乱断面積の解析
について、PdアイソトープについてDWBA計算を行い、質量数100近傍核でもDWBA近似が適
用できるか確認することである。さしあたってANLのデータの解析の見直しとそのまとめ
を行う。MOLの新しい測定データ(配布資料 FPND-05-06)については、高レベルからの
崩壊ガンマ線 の寄与についての不確かさが含まれるため、明確な結論が出せるか不明
であり、その解析は努力目標とする。なお、(質量数100近傍核の非弾性散乱断面積の異
常な振る舞いを引き出した)Gruppelaarらの結論は、光学模型パラメータの差から来て
いる可能性があり、ANLデータの解析に当たっては、JENDL評価で用いたパラメータでも
計算する。上記計算を千葉委員に一任した。また、積分テストについては、Cadaracheで
のJEF-2によるSTEK実験の解析結果待ちである。

SG-17: Psuedo FPの1群化断面積の相互比較については、ワーキングパーティーのre-
commendationを尊重し、Gruppelaarの仕様に従って計算することにした。実計算は渡部
委員が担当する。すでに JENDL-3.2の70群定数ができていて負担もさほど大きくなさそ
うである。ただし、1群化への縮約スペクトルなどのデータ処理の誤差を生じないため
、
提供されるスペクトルは70群より詳細群のもの、あるいは連続スペクトルを要求する。
また、提供されるスペクトルやcumulative yieldについては、その素性をできるだけ明
らかにするようにGruppelaarに要求することにした。


4.S波中性子の強度関数と平均準位間隔の評価について
 配布資料 FPND-95-06により共鳴パラメータの統計分布を考慮したS波中性子の強度関
数と平均準位間隔の評価法について中島委員が報告した。要旨は下記の通り。
 共鳴パラメータの実験データからS波中性子の平均準位間隔を求める場合、レベルの
数え落としやS波とP波の選別の仕損ないがあり、平均準位間隔の誤差を生む要因にな
っている。それは、レベル密度パラメータの系統性(質量数依存性)からの著しいずれ
として知見される。従って、その数え落としが主として中性子幅Γnの小さいところで起
こる点に着目し、Γn(0)がPorter-Thomas分布に従うとして理論的に決まるΓn(0)のモー
メント比を与えるレベル数をもとに<Γn(0)>と平均準位間隔を決めるとより正確な値が
得られるとするものである。例として、Te-128, 130について示され、この方法によりレ
ベル密度パラメータの系統性につて整合性の良い値が得られた。日本原子力学会秋の大
会で発表予定である。

5.集中作業
 3.の討議に基づいて集中作業を行った。その作業成果として杉委員から資料 FPND-
95-07が配布された。
                                                                              
6.その他
 次回:  日時: 7月13日(火)13:30〜17:30、7月14日9:10〜17:30
          場所: 原研東海研究所
     議題: レポート作成作業進捗報告
         集中作業
                  その他