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シグマ研究委員会・核データ専門部会
FP核データワーキンググループ会合議事録
日 時: 平成7年9月13日(水) 13:30〜17:30
平成7年9月14日(木) 9:10〜17:30
場 所: 日本原子力研究所 東海研究所 研究2棟222及び304室
出席者(敬称略):
中川、中島、千葉(原研)、瑞慶覧(日立)、杉(広領域研)、
松延(住原工)、渡部(川重)、川合(東芝)
配布資料 前回議事録(1995年7月13,14日)
FPND-95-11 PEACOによるSTEK-FP積分テストサンプルの実効断面積検討(渡
部)
FPND-95-12 NEANSC核データ評価国際協力 SWG-17について
FPND-95-13 Pd-100の非弾性散乱断面積の計算(千葉)
FPND-95-14 直接過程による非弾性散乱のデータ(JENDL FUSIONFILEから)
(杉)
議 事:
1.前回議事録の確認
2.作業の進捗状況報告
(1)非弾性散乱断面積(千葉委員)
Pd-100についてCoupled Channel計算とDWBA計算の比較用の計算を行っている。
また、天然Pdの非弾性散乱断面積についてANLの測定データとJENDL-3.2の比較の
準備作業の準備を行っている。
JENDL-3.2への改訂について学会誌に投稿原稿のうち、非弾性散乱断面積の部分を
執筆する。
(2)共鳴パラメータ:
松延委員: 報告書のうち、各論の部分の本文執筆と並行して、参考文献、著者名
の調査を継続して行っている。
川合委員: 本文の推敲と参考文献の調査を行っている。
瑞慶覧委員:参考文献を調べるためREPSTORファイルのリストを作った。
なお、熱中性子断面積と共鳴積分の値は、中川委員がdiskettに納めて担当者に渡す
ことにした。また、共鳴パラメータの表は、プリンターの印字のきれいさを考慮して、
計算センターで打ち出すことで合意した。
3.JENDL-3.2の積分テストのまとめ方
渡部委員が配布資料FPND-95-11に基づいて、JENDL-3.2の積分テストの全体スコープ
とやり残した分、さらに積分テスト全体の成果報告書の目次案を説明した。やり残し
た部分については、STEK反応度価値解析でのサンプルの実効断面積の評価であり、
今後、Integral TransportコードのPEACOによって計算し、MVP計算等と比較検討する。
また、積分テストの報告書のについては、目次案に含まれていた群定数の調整は、むし
ろ、評価レポートに書くべき内容として、割愛することとした。この部分は共分散を含
めて独立に主張できる内容があれば、学会誌に投稿あるいは独立のレポートとして発表
することとした。積分テストについて学会誌に投稿するが、レポート作成の準備作業の
中で投稿原稿の内容を固めて行く。
核データ研究会のポスターでは、JENDL-3.2の積分テストとSTEK実験の解析で見つか
った解析上の問題点を示す。また、表はできるだけ避ける。別途、手元において興味
のある人に手渡す。
4.NEANSC核データ評価国際協力 SG-17作業について
配付資料FPND-95-12に基づいて、SG-17の作業内容(ランプ化されたFPの1群化断
面積と反応度価値の計算、相互比較)、タイムスケジュールならびサブグループ参加
予定者が川合委員から報告された。日本からのサブグループ参加者は、渡部、瑞慶覧、
川合の各委員である。具体的作業内容の確認と議論の結果、作業内容と分担を下記の
ように決めた。
(1) JENDL-3.2 データのCRECT-Jによる70群断面積の作成:(n,p), (n,α)反応など寄生
吸収反応断面積を主対象に処理する。従って、RESEND-D計算はやらない。縮約スペ
クトルは、TIMS-1での計算に用いられたもの、Pu-239の核分裂スペクトル+高速炉
スペクトル(ESELEM2000群計算結果)を使用する。群数が多い為、CRECT-Jコードの
dimensionを増やす必要あり。(n,γ)反応断面積は、寄生吸収反応のしきいエネルギ
ー以上では、CRECT-Jでの処理結果を用い、それ以下は原則としてTIMS-1による70群
定数の吸収断面積を用いるが、参考として両者を併記する。Gruppelaarからは、縮
約スペクトルの値が要求されている。
CRECT-Jコードの修正:中川委員、 縮約計算:川合委員
(2) ECNからの中性子スペクトルと随伴スペクトルの70群化:中川委員
(3) ランプ化FPの70群定数、1群化断面積と反応度価値の計算:渡部委員
TIMS-1で処理した散乱行列を含む70群定数と(1)の結果を用いてランプ化FPの70群
定数を作成する。さらに(2)の結果を用いてランプ化FPの1群化断面積と反応度価
値を計算する。結果は、70群定数および1群化断面積、反応度価値を反応別に出す
ことが求められている。作業にはランプ化断面積の作成用のミニプログラムの作成
も含む。
(4) 結果のレビュー:瑞慶覧委員他
データ処理上の技術相談と結果のレビュー、さらに今後Gruppelarから送られてくる
国際相互比較結果のレビューを行う。
5.集中作業
5.1 共鳴パラメータの評価レポート作成
松延、瑞慶覧、川合委員: REPSTORファイルの参考文献の整理と出典の調査を中心に
行った。特に、EXFORから変換したデータの出典は、同ファイルのコメントリストを
参照する事とし、コメントリストを採った。なお、参考文献の著者名は、3名以上
は、第一著者名のみで他はet al.として省略可能とした。
中川委員:FP領域の核について、JENDL-3.2の熱中性子断面積と共鳴積分の値を、核デ
ータセンターのWWWで提供している核図表中の半減期、天然存在比の値とともにフロ
ッピーに納めて、松延、瑞慶覧、川合の各委員に渡した。
5.2 Pd-110の非弾性散乱断面積の計算(千葉)
千葉委員から、FPND-95-12に基づいてPd-110の非弾性散乱断面積の計算結果が報告さ
れた。先ず、ANLデータ解析で得られた千葉のポテンシャルによる (0+-2+-4+)チャ
ンネル結合(CC)計算の結果は、Koningらの計算結果と一致し、彼の解析が立証され
た。また、同ポテンシャルで2+レベル(0.3738 MeV)の励起関数についてDWBA計算を行う
と、低エネルギーでピークを持ち、エネルギーとともに漸減するもので、CC計算から
は望ましくないことが分かった。一方、JENDL-3.2のDWBA計算の結果は、高エネルギー
でほぼ一定でKonigの結果の約2倍である。このようにDWBA計算での断面積のエネルギ
ー依存性は、ポテンシャルにより差が生ずることが明かになった。JENDL-3.2のデータ
は、Konningらの測定結果と実験誤差内で一致していることも考慮すると、DWBA法が質
量数100近傍の核の非弾性散乱断面積の評価にも適用可能と、一応の結論が出た。但し、
JENDL-3.2の妥当性をさらに確認するため、ANLの天然元素データでのsum-up testを行
う。
5.3 JENDL-3.2の直接過程による非弾性散乱のデータ(杉委員)
JENDL Fusion Fileから採用した、15核種の直接過程による非弾性散乱のレベルスキ
ームと変形パラメータ値のデータを調べ、FPND-95-14にまとめた。今後、これに基づ
いて評価レポート作成用のJENDL-3.2のコメントリストを修正する。同様に、コメント
リストの修正が必要なものとして、Nb-93(直接過程の計算の記述が無い)、Pd-110
(β2=257と小数点の脱落)、Sm-148(β^2の値が入っているものと推定される)が挙
げられる。
修正結果は、ファイルの数値にまで及ぶものでなく、ファイルを修正しても実害は
無いが、全体を更新する時点まで保留しておくことが事務局意見として中島委員から
コメントされた。
5.4 積分テスト
渡部委員:大型計算機の更新に伴い、新しいJCLでのPEACO計算の準備を行った。また、
NEANSC核データ評価国際協力SG-17のためのランプ化FP断面積計算用プログラム
の設計を行った。TIMS-1ライブラリーを調べた結果、散乱行列には、非弾性散乱と
ともに(n,2n)反応のものが独立に存在し、同反応の反応度価値も計算できることが
分かった。
中川委員:先にGruppelaarから渡された中性子スペクトルを70群に縮約し、結果を比
較プロットした。
川合委員:TIMS-1での縮約スペクトルの内容を高野氏に聴いた。その結果、1 MeV以上
はJENDL-3.2のPu-239の核分裂中性子スペクトルであり、それ以下はJAERI-FAST作
成に用いた典型的な高速炉のスペクトルで連続減速コードESELEMで計算した、
2000群のものであることが分かった。それらの数値を中川委員に渡すように依頼し
た。
6.その他
次回: 日時: 11月9日(木)13:30〜17:30、11月10日(金)9:10〜17:30
場所: 原研東海研究所
議題: レポート作成作業進捗報告
NEANSC核データ評価国際協力作業
核データ研究会への発表用ポスター検討
集中作業
その他
以上