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シグマ研究委員会 ドシメトリ−積分テストWG
議 事 概 要
開催日時: 平成7年10月9日(月) 13:30〜17:45
場 所 : 原研本部、第2会議室
出席者(順不同・敬称略)
小林捷平、岩崎 信、小田野直光、青山卓史、池田裕二郎、
桜井 淳、島川聡司、 中川庸雄
議 事
前回(平成7年7月4日)の議事録確認
1.各担当委員の JENDL Dosimetry File 用デ−タ評価の報告(順不
同)
岩崎委員:24Na(n,2n), 55Mn(n,2n), 59Co(n,2n), 60Ni(n,p),
93Nb(n,2n) 反応について評価結果の紹介があった。デ−タ評価は、実
験点に対するスプライン関数フィッティング法による。評価結果につ
いて Li(d,n)及びCf-252中性子場を用いて積分テストを実施したとこ
ろ、計算、実験値の一致はおおむねよくなったが、55Mn(n,2n)反応に
ついては計算値が約20%大きくなった。その評価曲線と実験点をプロ
ットした比較図を見ても、両者に著しい差異はなく、計算/実験値の
違いについては今後検討していく。
小田野委員: 31P(n,p), 46,47,48Ti(n,p), 46Ti(n,2n),
47,48Ti(n,np), 89Y(n,2n), 169Tm(n,2n) 反応について評価を行った
結果が紹介された。これらの内、31P(n,p), 46Ti(n,p),(n,2n),
89Y,169Tm(n,2n) 反応の評価は終了している。共分散評価は、全てG
MAコ−ドで行われた。89Y,169Tm(n,2n) 反応では、数10MeVに岩崎ら
のデ−タがあるので、これらを追加して再評価をしてはどうかとの意
見があった。
中川委員:59Fe,197Au の中性子捕獲断面積評価について紹介があっ
た。これらの反応では取扱いエネルギ−領域が広く、誤差を導く場合
、共鳴をどのように扱うかが問題である。評価作業は途中段階である
が、分離共鳴領域の誤差を共鳴パラメ−タの誤差から導出することが
考えられる。また、数100keV以上の連続領域で実験デ−タが少ない場
合には、CASTHYとKALMANコ−ドを組み合わせて、誤差行列を求めるこ
とが考えられる。現在までに得られた結果が紹介されたが、上記の方
法で共分散の算出は達成できそうである。
小林委員:24Mg(n,p), 197Au(n,2n) の評価結果について紹介された
。評価は、NESTOR2に収納されている実験デ−タに対して、GMAコ−
ドによって新たに評価デ−タ、共分散デ−タが求められた。評価結果
の誤差については1%に満たないものもあり、少し小さ過ぎないかと
言う意見もあった。また、197Au(n,2n)反応には196mAuが生成される場
合もあるので、NESTOR2デ−タを引用する場合には混同しないようにと
の注意があった。なお、237Np(n,f)反応は、現在、評価作業中で近々
結果が出る予定である。
池田委員:GMAコ−ドを使って評価された28Si(n,p)反応の結果が
紹介された。12MeV以上の領域では実験デ−タ間のバラツキが大きいこ
と、8MeV近辺で断面積が鋭く山状になっており、8.5MeVから12MeV間
では実験デ−タが存在していないなど、デ−タとしては意外に不十分
であることが示された。また、現在作業中の各種 Zn(n,p),
Cu(n,2n),Cu(n,α), Cr(n,2n) などは近々仕上げる予定である。
なお、各委員からの評価作業報告の中で、「得られた結果をどの様
にしてファイル化するのか?」と言う質問が出たが、GMAコ−ドに
よる評価の場合はENDF/Bフォ−マットで出力されるようになっている
が、他の評価法の場合はどうするか今後検討を要する。
2.ドシメトリ−関連の最近の話題
池田委員より、ドシメトリ−関連分野での最近の動向紹介とWG活
動に対する提案があった。1) 現在、ドシメトリ−用共分散ファイルと
その再評価作業が進められているが、平成8年度にはまとめるように
すべきである。2) 高エネルギ−(当面50MeV、漸次200MeV程度まで)
中性子場のドシメトリ−にも注目して行くべきで、利用可能なドシメ
トリ−反応の検討、実験デ−タの検索収集を進めて行きたい。3) 原子
炉照射場などを考えるとき、多数組の放射化箔法の実用化に対し、低
エネルギ−側での(n,γ)反応に注目したい。そのためには断面積評価
に使えるベンチマ−ク用デ−タが望まれる。4) 作成されたドシメトリ
−ファイルが多くの人達に利用されるための働きかけも重要である。
コ−ドと断面積デ−タをセットにしたパッケ−ジ的なものは有効では
ないか、などの意見が述べられた。今後、ドシメトリ−は高エネルギ
−側にシフトしていくことも念頭におくべきで、その具体的な適応、
応用面から、核融合炉開発、材料照射用中性子源のR&D、高エネル
ギ−加速器の特性、遮蔽設計等にとってその重要性は益々高まるだろ
うとの考えが示された。
3.その他
3.1 今後の作業の進め方
去る9月19日付けで小林委員より、各WG委員にE-mailされた「
今後の作業の進め方:ASTM-Euratomシンポジウムに向けての評価作業
」について、意見交換が行われた後、共分散ファイル再評価の作業計
画が、以下のように申し合わされた。
1) ASTM-Euratomシンポジウムには寄稿する(Abstractの締め切りは
10月1日だったため、 先のE-mailによる回議原稿に従って、一応
、申し込みはしている)。
2) 今年中:12月までに、評価分担の各委員は、分担の評価作業を急
ぐ
3) 1996年1月〜3月の間に、ファイル化を済ませて収納
4) 1996年4月〜5月の間に、積分テストを実施、結果を出す -----
各委員
5) 1996年6月、7月には、シンポジウムに提出の論文をまとめる
また、評価作業の進捗状況を見て、来年、年明けに(1月〜3月)、
当WG会合を予定したい。
3.2 新たな評価対象核種と分担者
先回の会合で再確認された評価対象核種と分担者に加えて、JENDL
Dosimetry File としてさらに加えるべき核種と分担者について相談の
結果、以下の様に割り当てが決まった。
27Al(n,p)27Mg --------- 池田委員
90Zr(n,2n)89Zr -------- 岩崎委員
58Ni(n,2n)57Ni -------- 岩崎委員
127I(n,2n)126I -------- 小田野委員
58Ni(n,p)58Co --------- 小林委員
なお、27Al(n,α)24Na 反応については、IRDFのデ−タがよくできてい
ることもあって、これを引用することになった。
4.第9回 Reactor Dosimetry シンポジウム発表予定の紹介
各委員が持参した ASTM-Euratom シンポジウムに発表予定の論文(
10編)について、Abstract が配布された。
5.ヘリウム蓄積型フルエンスモニタ(HAFM)の開発
青山委員より、「常陽」の照射精度向上策の一つとして、最近、動
燃事業団と九州大学との共同で開発が進められているヘリウム蓄積型
フルエンスモニタの概要(測定法、測定素子の種類、感度など)と、
その測定装置の較正法に関する研究の進捗状況について紹介が行われ
た。特にドシメ−タとしての観点から、放射化法とHAFM法の比較
、中性子照射量評価のためのヘリウム測定・較正法など、興味深い研
究成果について紹介があった。
【配布資料】
DS-140 前回(平成7年7月4日)議事概要
DS-141 Dosimetry Cross-Section Evaluation by Cubic B-Spline
Fitting(岩崎)
DS-142 JENDL Dosimetry File 用共分散評価の進捗状況(小田野)
DS-143 58Fe と 197Au の捕獲断面積(途中結果)(中川)
DS-144 24Mg(n,p)、197Au(n,2n) の評価結果(小林)
DS-145 GMAコ−ドによる JENDL Dosimetry File 評価作業の中間
報告(宇野、池田)
DS-146 E-mail(9月19日付け)写し(小林)
DS-147 ドシメトリ−WGの作業計画についてのメモ(池田)
DS-148 ヘリウム蓄積型フルエンスモニタ(HAFM)の開発(青山
)