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渡辺@九大です。

10月6日に開催されました高エネルギー核データ評価WG
議事録(案)です.

渡辺幸信
九州大学大学院総合理工学研究科
先端エネルギー理工学専攻
電話&FAX 092-583-7586

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シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG
MeVファイル作成SWG・GeVファイル作成SWG合同会合議事録(案)

日時: 平成10年10月6日(火) 14:30〜17:30
場所: 原研研究1棟第6会議室
出席者 川合(KEK)、山野、小迫(住友原子力)、真木(日立)、村田(アイテル)、
義澤(三菱総研)、渡部(川重)、小田野、高田、千葉、深堀(原研)、渡辺(九大) 
(12名、敬称略、順不同)

配布資料:
・高エネルギー核データ評価WG、MeVファイル作成SWG・GeVファイル作成SWG第1回
 合同会合議事録(案)
・HE/MEV+GEV-98-04 ロスアラモスにおける高エネルギー核データ評価システム(千葉)
・HE/MEV+GEV-98-05 Measurement and theoretical analysis of neutron elastic 
 scattering and inelastic reactions leading to a theree-body final state for
 6Li at 10 to 20 MeV(千葉)
・HE/MEV+GEV-98-06 Cross Section Evaluations to 150 MeV for
 Accelerator-Driven Systems and Implementation in MCNPX (LA-UR-98-1825)(千葉)
・HE/MEV+GEV-98-07 14N, 16O の proton 入射データ (村田)
・HE/MEV+GEV-98-08 高エネルギー核データファイルへの重水素断面積の追加の必要
性(川合)

1.前回議事録確認
高エネルギー核データ評価WG、MeVファイル作成SWG・GeVファイル作成SWG第1回合
同会合議事録(案)の確認を行い、承認された。

2.ロスアラモスにおける高エネルギー核データ評価システムの紹介
千葉委員により、配付資料HE/MEV+GEV-98-04、HE/MEV+GEV-98-05、
HE/MEV+GEV-98-06を使って、ロスアラモスにおける高エネルギー核データ評価システ
ムの概要について説明があった。"QUICK-GNASH"と呼ばれる統合システム(GNASHコー
ドをベースにして、pre-proceessing および post-processingコード群から成る計算
コードシステム)が評価に使われている。GNASHの入力データとなる透過係数や直接
過程による非弾性散乱断面積は、別途ECISコードを使って計算される。LANLの
Chadwickは、光学ポテンシャル(OMP)として、グローバルなものを使っており、
個々の核について実験値を再現できない場合には、透過係数を修正して計算に用いて
いる。一方、千葉委員は、個々の核について、広いエネルギー範囲について 全断面
積や弾性散乱微分断面積をbest fit するようにOMPパラメータをサーチする計算シス
テムを独自に開発し、Li-6の中性子OMPの決定(配布資料HE/MEV+GEV-98-05中で使
用)やNi-58の中性子・陽子核データ評価に適用した結果が報告された。なお、この
サーチコードはLee氏(KAERI)によりUnix上で動作するinteractiveなコード
(ecisplot)に拡張され、Al-27の評価に利用された旨の報告が深堀委員よりあった。
QUICK-GNASHおよびecisplotは原研核データセンターのサーバに入っており、今後、評
価を担当している各委員で本計算システムの利用法を習得して、150MeV以下のファイ
ル(MeVファイル)の評価に応用していくことを確認した。

3.N-14, O-16 の proton 入射データ
村田委員より、配付資料HE/MEV+GEV-98-07を用い、14N(p,alpha)11C反応および
16O(p,alpha)13N反応の励起関数の実験値を例にとり、N-14, O-16 に対する低エネル
ギー陽子反応に見られる共鳴現象について報告があった。軽い核の場合には、数MeV
の低エネルギー陽子でも複合核の準位を反映した共鳴構造が見られることが示され
た。評価作業における共鳴解析の必要性について議論した結果、低エネルギー中性子
の場合のような共鳴解析は行わず、実験データがあるものについては、それを
pointwiseでファイル化することを確認した。

4.陽子入射反応における共鳴現象
渡辺委員より、OHPを使い、「陽子入射反応における共鳴現象に関するメモ」という
題目の報告があった。アイソスピンが関係した現象として、(1) (p,n)反応によるア
イソバリックアナログ状態やガモフ・テーラー共鳴への遷移、(2)アイソバリック共
鳴を経由する陽子弾性・非弾性散乱、(3) (p,p')スペクトルに見られるアイソスピン
保存の影響について核物理の視点から解説された。質疑応答の中で、いずれの場合も
大きな断面積を持つ現象ではないとの認識から、今回の評価の中で特に考慮しない方
向で行くことを確認した。ただし、将来、これらのアイソスピンを含む計算の標準手
法が確立されれば、考慮する必要が出てくるので、渡辺委員に対して、今回の報告内
容を文書化するように要請した。

5.同位体生成断面積計算における核子・核子の非弾性チャンネルを無視する影響に
ついて
千葉委員により、OHPを使って、標記タイトルの報告がなされた。ALICE-Fコードを
GeV領域まで使用する際に予想される問題点 (1) パイオンチャネルが無視されている
点、(2) 多重前平衡粒子が2個までに制限されている点、に関して、QMDコードを使
いその妥当性検証を行った結果について報告された。(1)に関しては、核子核子散乱
での非弾性散乱チャネルをすべて弾性散乱チャネルに置き換え、角分布を isotropic
としたQMD計算(ALICE-Fの計算方法を近似的に模擬)は、通常のQMD計算の結果とあ
まり大きく違わないことがわかった。但し、(2) については、高エネルギー入射の場
合は、致命的となり、同位体生成断面積をうまく再現できないことが判明した。この
検討結果を受けて、150 MeV以上の高エネルギーファイル(GeVファイル)を作成する
際には、本WGとしては、ALICE-Fではなく QMDやCascade計算を適用する方針で行くこ
とを確認した。この結果、QMD計算を使って効率的な核データ計算を行うための処理
コードを深堀委員が作成することになった。

6.高エネルギー核データファイルへの重水素断面積の追加の必要性
川合委員より、高エネルギー核データファイルへの重水素断面積の追加の必要性につ
いて検討した結果が報告された。JHF計画の核破砕中性子源施設設計では、ターゲッ
トおよびその周辺機器の冷却のために大量の重水が使われていることが指摘された。
この検討結果を受けて、ファイル化予定核種のリストに新たに重水素を追加すること
を承認した。なお、評価担当者として、柴田委員に依頼し、少数核子系の研究を行っ
ている研究者からの情報収集に関しては千葉・渡辺両委員も協力することを了承した。

7.その他
次回の会合は、1月14日(木)の予定。