previous
各位殿
遅くなりましたが、10月16日に開催されました光核反応ファイル作成SWGの
第2回会合議事録(承認済み)をお送りします。
---------------------------------------------------------------------------
シグマ研究委員会・高エネルギー核データ評価WG・光核反応ファイル作成SWG
1998年度第2回会合議事録
日時:1998年10月16日(金) 14:00 - 16:30
場所:原研本部第5会議室
出席者:浅見、岸田、深堀、真木、村田
欠席者:千葉、肥田
配布資料:
HE-PHOTO-98-6:C-12, N-14, O-16 光核反応スペクトル計算(村田)
HE-PHOTO-98-7:Nb-93, Pb-206, 207, 208 の断面積評価と問題点(岸田)
議事 :
1. 評価現状報告
(a) 村田委員が資料HE-PHOTO-98-6 に基づきC-12, N-14, O-16の光核反応で放出さ
れる粒子スペクトルの計算について報告した。
EDX の計算は、光核反応を扱えるように改造したEXIFON コードで行なった。d,
t, He-3, αのMSD 過程からの放出ではIwamoto-Harada の理論に基づいた粒子放
出確率を用いた。100 MeV 以上の入射エネルギーにおいて、MSD 過程からの放出
粒子が過大評価されているエネルギースペクトルを与えているようにも見える。
しかし、実験値との比較が難しく、この理論スペクトルが間違っているとの判断
も下せないので、このままファイル化する。コメントとして、「ALICE ではこの
ように前平衡過程が強調されたスペクトルにはならない。それは、前平衡状態か
らの多重放出過程の扱いが異なるためである。」との発言があった。
100 MeV以上の入射エネルギーにおいて、EDX の計算を10 MeV ステップで行なっ
たが、これはファイル化する上で多き過ぎることはないかとの質問に対し、粒子
スペクトルの変化が緩やかなので、10 MeV ステップで充分であるとの結論になっ
た。ただし、ファイル処理コードの補間方式によっては、放出粒子の最大エネル
ギーがQ-値で許されるものより、最大10 MeV 大きくなる可能性があるので、各
処理コードの補間方式には充分注意を払う必要があり、深堀委員がNJOY の補間
方式について調査することになった。
(b) 岸田委員が資料HE-PHOTO-98-7 に基づきNb-93, Pb-206,207,208 の断面積評価
と問題点に関して報告した。
前回の会合で、深堀委員にPb-207 の再評価をお願いすることにしたが、評価値
と実験値を見直した結果、再評価が必要なのはPb-207 ではなく、Pb-208 であっ
たとの訂正報告がなされた。現在のPb-208 の中性子放出断面積の評価値は、
Saclay とLivermore の測定値のうちのSaclay のみの測定値に基づいて行なわれ
ている。深堀委員より、Ta-181 の評価のから、測定値の絶対値はSaclay のを採
用し、励起関数の形状はLivermore を採用すると、全体的に矛盾のない評価が行
なえるとの意見があり、Pb-208では励起関数の形状に両者で殆ど差がないので、
現在の評価値を採用しても良いのではないかとの結論に達した。正確を期すため
に深堀委員が、「断面積の絶対値にはSaclay のを採用するのが妥当である」と
の結論を、次回会合までに再確認して報告することになった。
Pb-206, 207, 208 の評価値は0.5 MeV ステップで与えられているが、これは
ENDF-VI の補間方式が線形補間であることを考えると、もう少し小さくした方が
良いのではないかとの提案に対し、巨大共鳴のピーク近傍では多少誤差が大きく
なるが、このままファイル化しても良いということになった。
Pb-208 の3 中性子放出断面積励起関数の理論評価値と測定値にかなりの形状差
があるが、測定がSaclay であり断面積形状にはあまり信頼がおけないこと、断
面積自身がかなり小さいこと、1、2 中性子放出断面積は再現するのに、理論評
価の入力パラメーターをどのように選んでも3 中性子放出断面積のみ再現しない
こと考えると、現状の理論評価値を評価値に採用しても問題ないであろうとの意
見に集約した。
2. 次回予定
(a) 次回は平成10 年12 月8 日(火) に原研本部で開催予定。
(b) 主な内容は、
(1) 一般連絡事項
(2) ファイル化作業報告(各委員)
(3) ファイル化終了核種のファイルチェック(真木委員)
(4) その他