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先月末に開催されました高エネルギーファイル作成サブWG会合の
議事録(案)をお送り致します。

渡辺幸信
〒816-8580
福岡県春日市春日公園6ー1
九州大学大学院総合理工学研究科
先端エネルギー理工学専攻
Tel&Fax: 092-583-7586

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シグマ研究委員会・核データ専門部会・高エネルギー核データ評価WG
高エネルギーファイル作成SWG会合議事録(案)

日時: 平成11年5月24日(月) 13:30〜17:30
場所: 原研本部第5会議室
出席者: 岡本(日大)、川合(高エネ機構)、小迫(住友原子力)、真木(日立)
、村田(アイテル)、 
     山野(住友原子力)、山室(東工大)、義澤(三菱総研)、渡部(川重)
、渡辺(九大)
     桑折(徳島)、執行(九大)、高田、千葉、中島、深堀(原研) (16
名、敬称略、順不同)

配布資料:
・MeVファイル作成SWG・GeVファイル作成SWG合同会合議事録(案)
・高エネルギー核データ評価WG 1998年度第2回会合議事録(案)
・HE-F-99-01 高エネルギーファイル作成関連プログラムの作成(深堀)
・HE-F-99-02 14N,16Oの中性子、陽子入射反応評価作業の現状(Einc<=150MeV)(
村田)
・HE-F-99-03 クロム同位体の評価作業について(2) (小迫)
・HE-F-99-04 高エネルギー核データファイルの評価状況(その2)(義澤)
・HE-F-99-05 高エネルギー関連核データファイル整備作業予定及び分担(案)(深
堀)

議事:
1.前回議事録確認
 「MeVファイル作成SWG・GeVファイル作成SWG合同会合議事録(案)」の確認を行い、
一部修正の後、承認された。

2.一般連絡事項
深堀委員より、2001年核データ国際会議(原研主催:2001年10月予定)の開催に向け
た準備を
始めた旨の報告があった。又、今年度の核データ関連会議として、1999年核データ研
究会(11月)、
ドジメトリ国際会議(1999年9月)、遮蔽国際会議(1999年10月)の案内があった。さ
らに、
川合委員より、ICANS(核破砕中性子源に関する国際会議)が国内で2000年に開催予定
である旨の
報告があった。

3.高エネルギーファイル作成関連プログラムの作成(深堀委員)
 深堀委員より、配布資料HE-F-99-01を用いて、(1) 全断面積、弾性散乱断面積、弾
性散乱外断面積
の系統式、(2) 核分裂分岐比の系統式、(3) コンパイル用プログラムに関する報告が
あった。
(1)に関しては、Pearlstein、NASA、Wellishの系統式を実験値と比較し、それぞれの
適用性を検討した
結果が説明された。軽・中重核(C-12, Al-27, Fe-56, Zr-90)では低エネルギー部
分(<100MeV)を除き、
ほぼ実験値を再現しており、3者の差は小さい。重核(Pb-208, U-238)で差が大きく
なる傾向があるが、
ここで比較した核に対しては、全体的に見て、Pearlsteinの系統式の再現性が良いこ
とが報告された。
しかし、計算の再チェックや陽子入射では20MeV以下の領域への拡張性を検討する必
要性が指摘され、
深堀委員がこれらの作業を行うことになった。又、20MeVまでのJENDL-3.2との比較も
併せて行うこと
とした。
(2)に関しては、核分裂分岐比の系統式に基づく高エネルギー核分裂断面積計算コー
ドFISCALの説明
ならびに、計算結果と実験値との比較が示された。結果は良好であるが、Pu以上の重
いアクチニドに
ついてはさらに改良が必要であることがわかった。
(3)に関しては、理論計算コードの結果をENDF-6フォーマットに変換する高エネルギ
ー用コンパイル用
プログラムCOMPATHを作成した旨報告があった。入力用中間ファイルのフォーマット
の説明があり、
すでにQMD,SCINFUL/DDX,EXIFIONの計算結果に対応した前処理プログラムを作成済み
であり、QMDの
結果については、すでにENDF-6フォーマットへの変換が終了している旨報告された。

4.高エネルギー光学ポテンシャルの現状と提案(執行氏:石橋委員の代理)
 執行氏(九大工)により、OHPを用いて、九大工グループが行っている高エネルギ
ー光学ポテンシャル
に関する研究の紹介があった。(1)Dirac現象論に基づいた中性子グローバルパラメー
タの導出と(2) 相対論的
インパルス近似(RIA)に関する研究成果が報告された。(1)に関しては、陽子に対する
Hama等のポテンシャルに
対称項を導入して、新たに中性子用に導出したパラメータを使った計算結果と実験値
との比較が示された。
入射エネルギー依存性をもった補正関数をポテンシャルに乗ずることで、200〜
400MeV領域の全断面積との
一致が改善できることが示された。(2)に関しては、Horowitz等のコードを使ったRIA
計算の結果と実験値との
比較が示された。質量数依存の補正関数を導入することで、中性子全断面積と陽子反
応断面積・弾性散乱断面積
について良好な結果が得られることが示された。現在、1GeVまで対応可能であり、今
後、さらに高エネルギー
領域(3GeVまで)へ拡張する方針であることが報告された。

5.N-14, O-16の中性子、陽子入射反応評価進捗状況(村田委員)
 村田委員より、配布資料HE-F-99-02を使って、N-14およびO-16の評価の現状が報告
された。
EXIFONとDWUCK4を使った計算(1〜100MeV)とALICE-Fによる計算(50〜150MeVまでは
)を
行い、それらの結果と実験データを総合して評価値を作成中である旨説明があった。
粒子生成断面積、
粒子スペクトル、核種生成断面積、中性子全断面積、弾性散乱断面積などの評価結果
がOHPを用いて
示された。EXIFONを使ったガンマ線生成断面積については、多重度評価をどうするか
を検討中であり、
粒子スペクトルに関しては、EXIFONとALICE-Fの結果のつなぎを検討する必要があり
、又、核種生成
断面積では、実験値のない核種についてEXIFONとALICE-Fの結果をどうまとめるかが
今後の課題である
ことが報告された。さらに、150MeV以上のQMDの計算結果とのつなぎを検討する予定
であることが報告
された。

6.クロム同位体の評価進捗状況(小迫委員)
 小迫委員より、配布資料HE-F-99-03を使って、Cr-50, 52, 53, 54の評価の現状が
報告された。
250MeVまでの中性子入射に対する断面積ファイル作成をECISPLOTとGNASH-ECNシステ
ムを用いて
終了し、全断面積、弾性散乱断面積、弾性散乱外断面積の100MeV以上での妥当性を
QMDの弾性外散乱
断面積を含めて検討中である旨説明があった。また、陽子データについては、250MeV
までのOMPを
ECISPLOTを使って検討していることが報告された。これらの作業の中で、ファイル化
された全断面積
とECISPLOTで調整した全断面積が一致しない問題は、pregnashで作成される
energy.grdファイルの
エネルギー点数とMINGUS3で読み込むエネルギー点数の不一致に起因することが指摘
された。
Cr-52に対する評価でQMDで計算された弾性外散乱断面積は、ECISPLOTの結果に比べて
小さく出ること
が示され、QMDの結果を優先した場合、100 MeV以上での全断面積を 100〜200mb低く
なる問題点
が指摘された。今後は、中性子OMPの再調整と陽子OMPの決定及び断面積のファイル化
、250MeV以上
の弾性散乱断面積の評価、250MeVまでの断面積ファイルとQMDファイルとの結合して
、高エネルギー
ファイルの作成を行う方針が示された。

7.Na-23, Fe同位体、Ni同位体の評価進捗状況(義澤委員)
 義澤委員より、配布資料HE-F-99-04を使って、Na-23, Fe同位体、Ni同位体の評価
の現状が
報告された。Na-23については、OMPを検討中であり、Fe同位体およびNi同位体につい
ては、
LANL評価および千葉委員の評価パラメータをそれぞれ用いて Quick-GNASHによる評価
を実施中
である旨報告があった。200MeV以上については、QMDの計算結果を確認した結果、Na
のような
軽い核でも核分裂断面積がある有限の値を持っていることが指摘された。この理由に
ついては、
深堀委員が調査することになった。また、Fe及びNiに対して、QMDの弾性散乱外断面
積は、実験値
に比べ、20〜30%小さな値を持つことが指摘された。

8.1999年度の高エネルギー関連核データファイル整備作業予定及び分担の確認
 配布資料HE-F-99-05に基づいて、Priority 2及び3の評価予定核種について
作業分担を確認した。H-2は柴田委員から桑折委員に変更になった。担当未定核種
に対しては次のように分担を決定した。Mg-24,25,26(渡辺委員)、K-39,40,
Ca-40,42,43,44,46,48, Mn-55(小迫委員)、Th-232, Np-237,
Am-241,242,242m,243, Cm-243,244,245,246(深堀委員)。

9.その他
 次回の会合は、9月29日(水)の予定。