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シグマ研究委員会 核データ専門部会
しきい反応断面積検討アドホックWG 平成11年度 第2回会合 議事録(案)

日 時:平成11年12月8日 (水)   13:30 〜 16:00

場 所:日本原子力研究所 東海研究所 第6会議室

出席者: Manokhin(IPPE)、真木(日立)、杉、池田、前川、春日井、長谷川、
         中川、柴田、深堀、岩本、小田野(原研)

配布資料 :
TH-3  JENDL/D-99の解析例   (小田野)
TH-4  PLOTTABのプロット図(小田野)
TH-5  しきい反応断面積検討の今後の進め方について (小田野)

議事録確認
  前回議事録を確認した。

議 事
1.JENDL/D-99の解析例について
  配布資料TH-3に基づき、小田野委員がJENDL/D-99の解析例を示した。解
析は、Manokhin氏が原研滞在中に行ったもので、JENDL/D-99に問題点があ
ると指摘した反応のうち64Zn(n,p)、55Mn(n,2n)、54Fe(n,p)反応について行っ
た。系統式による評価では、実験データを再現する励起関数を得ることが可
能である。系統式による評価では、しきいエネルギーから立ち上がりのエネル
ギー領域で、最も低い断面積を与えており、積分テストの結果に影響を与える
とのコメントがあった。

2.系統式によるJENDL-3.2のしきい反応断面積の解析
  配布資料TH-4とOHPにより、小田野委員がJENDL-3.2のしきい反応断面積
の解析をManokhin氏と共同で系統式により解析した結果を紹介した。核分裂
生成物核種の領域に共通した特徴として、(1)(n,2n)反応のしきいエネルギー付
近がふくらみを持ち17 MeV付近から急激に断面積が小さくなる、(2)その結果
として大きな(n,3n)反応断面積が与えられている、(3)系統式の観点から(n,p)と
(n,np)反応断面積に矛盾のあるものがある、ことが指摘された。

3.(n,np)及び(n,2n)反応の系統式について
  Manokhin氏が、(n,np)、(n,2n)反応断面積の系統式を、両反応のしきいエネ
ルギーの大小関係で分類することができることをOHPを用いて示した。(n,np)
反応のしきいエネルギーが大きい核種では(n,2n)反応断面積の最大値は、こ
れまでにManokhin氏が提案している系統式で説明できる。一方、(n,2n)反応の
しきいエネルギーが(n,np)反応のしきいエネルギーと実効的なクーロンバリア
の和よりも大きい核種では、(n,np)反応の方が支配的であり、両反応の和が系
統式に従うことを示した。例として64Zn、96Ru、106Cdの(n,2n)及び(n,np)反応
を示した。特に、106Cdについては、系統式による解析では(n,p)、(n,np)反応間
で矛盾があることが指摘され、(n,np)反応の実験データについて議論がなされ
た。

4.しきい反応断面積検討の今後の進め方について
  資料TH-5に基づき、小田野委員がしきい反応断面積検討の今後の進め方
について提案をし、WGメンバーで議論した。その結果、以下の様な方針で作
業をすすめることとした。
(1) 検討対象は、JENDL-3.2、JENDL/D-99、JENDL Activation Fileとする。
(2) Manokhin氏と共同で進めてきた検討作業の結果を、プロット図、結果のサ
マリーからなるレビューキットとしてまとめる。
(3) レビューキット、積分テストデータをWGメンバーに配布し、各反応の再評価
の必要性、改善方法について検討する。
(4) レビュー結果をとりまとめ、JENDL-3.3へ向けたしきい反応断面積の改善
のための議論をする。
(5) レビューキットの作成は重要核種から適宜開始する。
(6)検討結果のまとめをJEARIレポートで公開する。

5.次回会合予定
  レビュー作業がある程度進んでから検討する。