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須山@原研です。先日の核種生成量評価WGの議事録(案)を作成しましたのでお
送りいたします。

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            		    シグマ委員会核種生成量評価 WG
                    平成11年度第2回会合議事録(案)

1. 日時

   1999 年 12 月 20 日

2. 場所

   日本原子力研究所 本部 第 1 会議室

3. 出席者

   17名(順不同;敬称略)
    内藤(ナイス;グループリーダー),林(HEC;オブザーバー),安藤 
   (原研;オブザーバー),石井(日立;青山代理),野瀬(サイクル機構; 
   青山代理),大川内(サイクル機構),山本(東芝),清住(日本総研;
   金子代理),松本(三菱重工;オブザーバー),片倉(原研),須山(原
   研), 松村(電中研),笹原(電中研),吉田(武蔵工大),佐治(TSI),
   尾上 (三菱重工;オブザーバー),田原(三菱重工)

4. 配布資料

   11-2-1  平成11年度第1回会合議事録(案)
   11-2-2  ORIGEN2.1-JNDC(ORLIBJ32) README.j (1999.08.31版)
   11-2-3  ORIGEN2用PWR  1 群断面積ライブラリの作成(MOX燃料)
   11-2-4  ORIGEN2 の検証計画について
   11-2-5  SAXTON の PIE 解析用照射履歴
   11-2-6  使用済 PWR-MOX 燃料の核種組成分析結果と JENDL3.2 より作成し
           た ORIGEN ライブラリを用いた解析との比較
   11-2-7  感度解析について
   11-2-8  一群断面積感度評価の実施方法について(案)
   11-2-9  感度解析作業について
   11-2-10 ORIGEN 計算結果の誤差範囲を測定データ解析から検討する方法


5. 議事内容


5.1 議事録確認

  11-2-1 により議事録が確認された。5.6 における「柔らかいスペクトルを
模擬したライブラリを,テスト用に作成することとなった」という記述は,
「柔らかいスペクトル模擬した核種組成を評価する」という記述に変更するこ
ととなった。また, 5.7 の日付「1999 年12月 6 日」は 「1998 年 12 月 6 
日版」に変更することと,須山委員が行うこととなっていた,1998 年 12 月 
6 日版の BWR-MOX ライブラリと最新ライブラリの違いは,旧ライブラリがテ
スト用に作成したものであって,旧ライブラリ作成後に入力パラメータの見直
し等があったためであるとの報告が口頭にて行われた。


5.2 JENDL-3.2 に基づく ORIGEN2 用ライブラリの現状(須山)

  11-2-2 により,JENDL-3.2 に基づく ORIGEN2 用ライブラリの現状が報告さ
れた。最新のパッケージは,1999 年 8 月 31 日版となっており,その中に前
回の WG にて作成することとなっていた PWR-MOX ライブラリも作成されて含
まれているとの報告があった。尚,11-2-2 の NLB 番号の BS240J32.LIB の 
NLB 番号で732 となっているのは, 723 の間違いであることが指摘され,確
認された。


5.3 ORIGEN2 用 PWR 1 群断面積ライブラリの作成(MOX燃料)(尾上)

  資料 11-2-3 に基づき PWR-MOX 燃料用ライブラリの作成に関して,1999 年 
8 月 31 日版に入れられたライブラリのチェックを行ったことが報告された。
それにより,現在配布中の PWR-MOX ライブラリが正しく作成されていること
が確認された。また,MOX 燃料用ライブラリ作成時におけるモデル化において
は,同心円モデルより正方格子モデルの方が正確な結果を与えるという検討結
果も示されたが,ウラン燃料の場合には同心円モデルを使用して解析を行って
おり,さらに他にも計算結果に影響を与える効果があると考えられるので, 
MOX 燃料の場合にも同心円モデルを採用してライブラリを作成するというこれ
までの方針が確認された。


5.4 ORIGEN2 の検証計画について(松本)

 11-2-4 において,米国 SAXTON 炉における MOX 燃料照射後試験が紹介され
た。


5.5 SAXTON の PIE 解析用照射履歴(松本)

 11-2-5 によって,SAXTON 炉での MOX 燃料照射後試験結果を用いた
ORIGEN2 検証用の照射履歴の作成に関して説明があった。CORE-II 及び 
CORE-III と称される 2 つのサイクルの運転が行われ,CORE-II では約 
20GWd/t 以下のサンプル燃焼度が, CORE-III では約 50 GWd/t 以下のサンプ
ル燃焼度が得られている。CORE-III は, CORE-II の運転の後に集合体内の
燃料棒を一本おきに抜いて照射を行った結果であり,中性子
スペクトルが柔らかい状態での照射後試験となっている。CORE-III の照射履
歴は明示されておらず,いくつかの仮定を用いて照射履歴を作成したことが報
告された。

  計算結果によると, CORE-II の解析では,新ライブラリ作成時の初期組成に
近い PWRM0305 ライブラリの解析結果が良好であったことが示された。しかし, 
Pu-238 の実験値との差は大きくなっている。また,CORE-III の解析結果では
実験値との差は大きかったが,これは,CORE-III の場合には,ロッドピッチ
の変更によって中性子スペクトルが大幅に変化したためである。


5.6 使用済 PWR-MOX 燃料の核種組成分析結果と JENDL3.2 より作成した 
    ORIGEN ライブラリを用いた解析との比較(笹原)

  11-2-6 により,電中研が欧州超ウラン元素研(ITU)において行った PWR-MOX 
燃料の照射後試験の ORIGEN2 による解析結果が示された。燃料集合体の形式は
14× 14 である。照射後試験では, MOX1 及び MOX2 というピンの位置が異なっ
ている二つのデータが得られており,すでに電中研の公開レポートとしてデータ
の一部は公開されている。

解析には, ORIGEN2 付属ライブラリと,JENDL-3.2 より作成した PWRM0205 
ライブラリを使用した。総じて ORIGEN2 オリジナルライブラリと PWRM0205 
ライブラリとも実験値とのよい一致を示しているが,PWRM0205 ライブラリの
方がやや固めの中性子スペクトルの評価をもとに作成されているようであった。
また,中性子放出量の測定結果の解析では, PWRM0205 ライブラリを使用した
結果は 20 % 程度の過小評価となっていることが報告された。これは, 
Cm-244 の過小評価に起因するものであって,ウラン燃料の PIE 解析でも 
Cm-244 は過小評価である。尚,この PIE 解析では Pu-238 は実験値と良い一
致を示していた。

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MOX 燃料用ライブラリに関して, 5.3 から 5.6 の議論を基に検討した結果,
SAXTON のデータに関してはCORE-II のデータを主に使用してレポートを作成
し,CORE-III は特殊な照射を行っていることから参考として扱うこととなっ
た。また,そのレポートには電中研の取得した PIE データの解析も入れて客
観性を持たせることとし,原研の公開レポートとして,今年度中に作成するこ
ととなった。
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5.7 ORIGEN 計算結果の誤差範囲を測定データ解析から検討する方法(林)

   11-2-10 により,今後行う予定である感度解析手法の案が示された。それは,
輸送キャスク等の設計において線量や温度の解析結果にどの程度の精度が必要
かを予め調査する。次にこれと ORIGEN2 で実験解析して得られた線源や熱源の
誤差を入れて線量や温度を計算した結果と比較し、必要精度を越えているとき
は、その主原因となる核種の精度を検討する。これにより、ほんとうに必要な
設計に対してのインパクトをみながら効率良く修正すべき核種の選定ができる。
 これに対しては,決められた中性子スペクトルから大きくはずれたスペクト
ル場で照射された場合の計算値の差をみてはどうかとの意見が出された。


5.8 感度解析について(田原)

  11-2-7 により,今後行う予定である感度解析手法の案が示された。それは,
SWAT あるいは ORIGEN2 による直接計算によって,スペクトルインデックスで
示した中性子スペクトルの変化に対する核種生成量の変化を調べる方式である。
初めに,SWAT においてスペクトルインデックスを変化させた計算を行って感
度解析を行い,その後に,一群断面積の変化や,一群断面積の変化に対する核
種生成量の変化をまとめるべきであるとの意見が出された。

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高速炉の感度解析に関しては,大川内委員が次回報告することとなった。
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5.9  一群断面積感度評価の実施方法について(案)(松村)

  11-2-8 により,感度解析の実施方法の案が出された。その中では,スペク
トルインデックスを考慮した ORIGEN2 ライブラリの整備,公開データを基に
した核種生成量の評価精度の統計的検討,解析的手法による一群断面積感度係
数の導出が提案された。

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感度解析に関するここまでの議論を基に,もう一度核データの評価に戻るよう
な感度評価がほしいという意見が出された。また,ENDF/B-6 や JEFF を使用
したライブラリとの比較もやってはどうかとの意見が出された。また,各機関
での核データの評価経験を紹介して貰うとの意見も出された。
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5.10 感度解析作業について(須山)

  11-2-9 により,核データ評価へ資することを目的とした感度解析の例が示
された。その中では,Pu-238 の PIE 解析結果が過小評価であることから, 
Pu-238 の生成パス上にある断面積を変化させてその変化を調べ,重要な反応
を示すことを行っている。その結果,U-235 capture, Pu-238 capture,
U-238(n,2n) 反応が重要であるとのことで,結果的に U-235 capture 及び 
U-238(n,2n) の後に通るパス上にある同位体の断面積が重要であるとのことで
あった。

========= To DO List ================================================


1. ORIGEN2-LWR-MOX ライブラリ

  今年度内に JENDL-3.2 に基づく ORIGEN2 用 LWR MOX ライブラリに関するレ
  ポートを作成する(須山)

2. 感度解析

  各人が持っている感度解析に関する方法や考え方(検討すべき核やチェーン)
  をまとめる(松村)。(各委員が考えている検討すべき核やチェーンの案(明
  確な理由があるもの以外にも感覚として感じているものも含む)を送付)

  ORIGEN2 の各応用分野で検討すべき核種の選定(林)

  スペクトルインデックスに基づく感度解析の方法案の作成(田原,山本)

  高速炉の感度解析に関して次回報告(大川内)

3. 次回会合

   2000 年 4 月末


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須山賢也(SUYAMA Kenya)@日本原子力研究所
Phone 029-282-5943  Fax. 029-282-6479
URL   http://typhoon.tokai.jaeri.go.jp/~kenya