previous
松延(データ工学)です。
2 月 22 日(火) に開催された荷電粒子核データWG で承認されました
第3回 荷電粒子核データWG 会合 の議事録をお送りします。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
シグマ研究委員会 核データ専門部会
荷電粒子核データWG 平成 11 年度 第 3 回会合 議事録
日 時 : 平成 11 年 12 月 17 日 (金) 13:30 〜 16:00
場 所 : 日本原子力研究所 本部 第 6 会議室
出席者 : 五十嵐 (新技術) 、北沢(防衛大) 、 播磨(CRC)、
村田(アイテル)、山室(元東工大)、松延(データ工学)
配布資料 :
前回議事録(案)
CP-99-07 N-15(α,n)F-18 断面積評価作業 (村田)
CP-99-08 Na-23(α,n)Al-26 断面積評価作業 (松延)
CP-99-09 Cr 同位核種の α-入射による核反応断面積解析結果 (山室)
議 事
1.前回議事録の確認
(1) 前回、一般報告の(3)を次のように改訂した。
(α,n)反応に関連したデ−タの利用状況として、東芝が電力共研で実施して
いる返還ガラス固化体の非破壊検査について、村田委員 より次のような報告が
あった。
「 Cf中性子源を入れた模擬固化体を使用して、検出系の感度校正を行い、実固化
体の中性子発生量を測定して、固化体中のα崩壊核種、自発核分裂核種の定量を
行なう。この解析に原研レポ−ト(JAERI-1324)が使用されている。なお、誤差評
価も求められている。」
(2) 前回、村田委員の作業報告の内、B-10 に関する報告を次のように改訂した。
B-10 に就ては Van Der Zwan and Geiger (1973) による下記の測定データが
ある。
a) 残留核 N-13 が基底状態に落ちる反応として、 θ(Lab)=0°,90°及び 160°
で測定した微分断面積データ (α-入射エネルギー : 1 〜 5 MeV)
b) N-13 が 第 1 励起準位に残る反応として、 0°及び 90°で測定した微分
断面積データ ( 0°は 3.8 〜 4.75 MeV, 90°は 4.1 〜 4.96 MeV)
c) N-13 が 第 2 及び 第 3 励起準位に残る反応として、 0°及び 90°で測定
した微分断面積データ ( 0°は 4.1 〜 5.0 MeV, 90°は 4.65 〜 5.0 MeV)
今後、これらのデータを解析する予定である。
2.作業進捗状況報告
(1) 村田委員
配布資料 CP-99-07 に基き、N-15(α,n)F-18 断面積 の評価作業に就て下記の報
告があった。
N-15 に関しては Roughton et al. : AD & ND Tables 28, 341 (1983) の Thick
Target Yields のデータが在るのみであり、且つ、これは中性子を測定したデー
タではなく、F-18 の放射能を測定したデータである。
F-18 を生成する断面積を導出する為の共鳴解析は前回報告した方針に従って実
施する事にし、O-18 + p 反応の共鳴準位は Tilly et al. : Nucl. Phys. A595,
1 (1995) の データから選択した。この準位の中にも α-入射では励起されない
T=3/2 の準位が在るので、それは除外する事にしたが、励起エネルギーの高い領
域になると、条件に適した準位が減少し TTY データが再現出来ないので、この
条件をはずした。このような共鳴準位を用いて断面積を計算し、F-18 生成断面積
の実験値を再現するよう共鳴の α幅と中性子幅を決定した。
上記の手法で決定された共鳴準位のパラメータはテーブルで、計算された断面積
と TTY は図で示されたが、TTY は Roughton の測定値と良い一致を示している。
次に、(α,n) 反応で生成された F-18 の内、励起エネルギーが高い F-18 は粒子
放出によって他の核に遷移するので、これを補正する計算式が示された。
(2) 松延委員
配布資料 CP-99-08 に基き、Na-23(α,n)Al-26 断面積の評価に就て下記の報告が
あった。
この核反応の測定データとしては前々回報告した Norman et al. : Nucl. Phys.
A390, 561 (1982) (3.75 〜 10.25 MeV, 14 pts)の他に Skelton et al. : Phys.
Rev. C35, 45 (1987) (3.4829 〜 4.5969 MeV, 1971 pts) のデータが在るが、両
データの Consistency を未だ正確には確かめていなかったので、今回、Skelton
のデータを数値積分して、3.5 〜 4.0 MeV 及び 4.0 〜 4.5 MeV の 2 区間にお
ける平均断面積を求め、共存する Norman のデータと比較したところ、下記の結
果が得られた。
区間 87-Skelton 82-Norman Skelton/Norman
3.5 〜 4.0 MeV : 3.8102 mb 2.5543 mb 1.4917
4.0 〜 4.5 MeV : 16.736 mb 15.5 mb 1.0797
3.5 〜 4.0 MeV の区間では両者の差は大きいが、この区間の Norman のデータ
は読取り値なのでかなりの誤差を含むと考えられる。4.0 〜 4.5 MeV の区間では
差は 8% に縮まっているが、両区間を通してSkelton のデータの方が Norman よ
りもやや高めであると言える。最終評価値を決めるに当ってどちらのデータを採
るかが問題であるが、今の所、新しい Skelton のデータの方が良いのではないか
と考えている。
(3) 山室委員
配布資料 CP-99-09 に基き、Cr-50,-52,-53,-54 の α-入射反応 断面積の解析結
果に就て下記の報告があった。
Cr 同位核種に就て、91-Levkovskij の測定データが在る核反応は しきい値から
40 MeV 迄の領域で総て解析し、結果を検討してみた。
Cr-50 の (α,n) 反応 だけは 91-Levkovskij の他に 74-Vlieks の測定データ
があるが、解析結果は Vlieks に良く合っており、Levkovskij との一致は悪い。
しきい値 ( 〜5MeV) からの立上りも Vlieks に比べて Levkovskij のデータは
異常に高い。
Cr-50(α,2n)Fe-52 : Levkovskij のデータは、しきい値(〜15 MeV) が低エネル
ギー側にずれていると思われる。この傾向は後述する残りの核反応総てに共通し
ている。断面積のピーク値は解析値よりも約 10 mb 低く、ピークのエネルギー
点も 2 MeV 程低エネルギー側にずれている。
Cr-50(α,nα)Cr-49 : 28 〜 33 MeV の領域では解析値と一致しているが 、33
MeV 以上では解析値は単調に増加するのに対し、測定値は横ばい状態を示してい
る。
Cr-50(α,np)Mn-52 : 断面積の立上りの形状、ピークのエネルギー点 及びピーク
値 共、総て異なっている。ピークから高エネルギー側の形状は大体似ているが、
測定値の方が平行して約 200 mb 程高い。
Cr-52(α,nα)Cr-51 : この断面積だけは上記のしきい値の問題はあるが、全反応
の中で、解析値との一致は一番良い。しかし、35 MeV 以上になると解析値よりも
約 30 mb 程 平行して低い値を示している。
Cr-53(α,p)Mn-56 : 上述したしきい値のずれに伴って、ピークのエネルギー点
(15 MeV)が 4MeV 程低い。15 MeV 以上の断面積は解析値とつかず離れずと言った
形状でほぼ合っている。
以上の考察から Levkovskij のデータは余り当てにならない事が判ったので、
Vlieks のデータが在る核反応に就ては、これとの比較で評価値を決めるとの方
針が示された。
この他に、Cr-52,-53,-54 の (α,n) 反応断面積の解析値に就てその系統性を示
すグラフも示されたが、これに対比して Cr-50 の断面積のピーク値はかなり低
い事が注目された。
(4) 北沢委員
防衛大にやっと EWS が入る事になった。3月迄に何とか結果を出すように努力
する。
6.次回会合予定
核データセンターと相談して 2月18日以外の日を探して開催する。
?