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        シグマ委員会平成 14 年度第1回運営委員会議事録

日 時:2002 年 6 月 13 日(木)13:30−17:30
場 所:住友原子力工業(株)会議室
出席者:吉田(武蔵工大、主査)、中島(落合委員長代理:原研)、井頭(東工大)、
    石川(サイクル機構)、瑞慶覧(日立)、山野(住原工)、長谷川(原研)、
    片倉(原研)
 幹 事:中川(原研)
 オブザーバ:岡本(日大)、喜多尾(データ工学)、森(原研)、千葉(原研)、
    奥村(原研)

配付資料
 1.シグマ委員会平成 13 年度第3回運営委員会議事録(案)
 2.リアクター積分テスト WG 活動報告
 3.Shielding 積分テスト WG 平成 13 年度活動報告および平成 14 年度計画(案)
 4.標準炉定数検討ワーキンググループ(WG)活動報告
 5.中高エネルギー核データ積分テスト WG 平成 13 年度活動報告および
   平成 14 年度活動計画(案)
 6.崩壊熱評価ワーキンググループ平成 13 年度成果と平成 14 年度計画
 7.核種生成量評価 WG の平成 13 年度活動報告と 14 年度計画
 8.核分裂生成物収率データ評価 W.G. の平成 13 年度活動報告及び平成 14 年度
   活動計画
 9.ENSDF グループ活動報告
10.新ワーキンググループの設置について(提案)
11.2002 年核データ研究会の開催について
12.シグマ特別専門委員会・シグマ研究委員会本委員会議題案
13.次期 JENDL 検討委員会
14.INDC(国際核データ委員会)第 24 回会合報告
15.NRDC(核反応データセンターネットワーク)2002 年センター長会合報告
16.原子力学会 2002 年秋の大会核データ・炉物理特別会合プログラム

議 事
I. 議事録確認

1.前回運営委員会の議事録確認
  配付資料1の平成 13 年度第 3 回運営委員会の議事録について確認が行われ、
 了承された。

II. 審議事項

1.炉定数専門部会 13 ハ年度活動報告と 14 年度予定
(1)リアクター積分テスト WG
  配付資料2に基づき、森グループリーダーが説明した。13 年度には JENDL-3.3 
 のベンチマーク計算を、熱中性子炉、小型高速炉、大型高速炉について実施し、
 ENDF/B-VI.5 や JEF-2.2 と比べ良好な結果を得た。また、 SUS 反射体を持つ高速
 炉心解析、MISTRAL 実験解析、JENDL-3.3 を用いた PWR  燃焼計算を実施した。14 
 年度はリーダーが高野氏から森氏に交代した。JENDL-3.3 に基づく、各種ライブラ
 リーを公開する。また、最終版 JENDL-3.3 を用いて各種ベンチマークテスト、感
 度解析等を実施する。

 質議応答は以下の通り。
  Q. PWR のベンチマークテストはどこが実施したのか?
  A. メーカーが独自に実施した。良好な結果が得られている。
  Q. MISTRAL の解析で実効増倍率の過大評価の原因は分かっているのか?
  A. ENDF でも JEF でも過大となる。MISTRAL のデータは全部公開になっているわ
   けではないので良く分からないところもある。
  Q. 241Am の熱中性子捕獲断面積データは、2種類あるというが、JENDL はどの辺
   にあるのか。
  A. 約 600 b と約 800 b の2つに分けられる。800 b は高すぎると思われる。
   JENDL は 600 b の方に近い。
  C. 14 年度の作業として、高速炉の感度解析もやりたい。

(2)Shielding 積分テスト WG
  配付資料3に基づき、山野グループリーダーが説明した。13 年度には Al、Si 等
 の中重核についてテストした。テスト結果は核データ国際会議(ND2001)で報告し
 た。平成 14 年度には、Cr、Na 等の JENDL-3.3 公開版によるベンチマーク解析結果
 を再確認し、ベンチマーク結果をまとめた報告書を作成する。また、原子力学会の標
 準委員会における遮蔽群定数ライブラリーの標準化に対しての具体的協力方法を検討
 する。

 質議応答は以下の通り。
  Q. JENDL-3.3 のベンチマークテストには、何のコードを使うのか?
  A. MCNP 等を使う予定である。なお、ベンチマーク結果を WWW に載せて欲しいと
   の要望があるので、結果をまとめた文書を中川氏へ渡した。

(3)標準炉定数検討 WG
  配付資料4に基づき、瑞慶覧グループリーダーが説明した。13 年度は、遮蔽用標
 準ライブラリー JSSTDL-300 の公開レポートの原稿を作成した。また、今後の標準
 炉定数ライブラリーの検討のため、各種のライブラリー作成計画を調査した。原子
 力学会標準委員会との関係について議論したが、まだ、対応の仕方については結論
 が出ていない。14 年度は将来の炉定数ライブラリーや、原子力学会標準委員会への
 対応を検討する。

 質議応答は以下の通り。
  Q. MCNP 用のライブラリー作成は核データセンターの担当になっているがこれで
   良いのか?
  A. 核データセンターで作成する。
  C. 学会の標準化については前向きに検討して欲しい。

(4)中高エネルギー核データ積分テスト WG
  配付資料5に基づき、山野グループリーダーが説明した。13 年度は、核データ
 の定数処理及び輸送計算に用いる NJOY99 及び MCNPX の整備を行い、断面積処理
 上の問題点を抽出した。14 年度には今後ファイル化される JENDL-HE を処理して 
 MCNPX 用ライブラリーを作成し、ベンチマーク解析を実施する。また、陽子入射デ
 ータについて NJOY の断面積処理法の検討、MCNPX の適用性を検討するとともに、
 MVP、ANISN 等の輸送計算コードに対する適用について検討する。

 質議応答は以下の通り。
  Q. JENDL-HE のβ版とは何か?
  A. テスト用に Fe と Cr のデータを格納したファイルである。

2.核燃料サイクル専門部会 13 年度活動報告と 14 年度予定
(1)崩壊熱評価 WG
  配付資料6に基づき、吉田グループリーダーが説明した。13 年度には JENDL  
 FP 崩壊データファイルに関する崩壊熱やスペクトル計算を実施し、各種測定値や 
 ANS-5.1 スタンダードとの比較等を行った。また、アクチニド崩壊熱へのデータニ
 ーズを調査するとともに今後の活動について検討した。ヨーロッパのグループによ
 る FP のベータ強度関数の測定計画に関し、測定核種の選定に協力した。14 年度
 には、崩壊データファイルを基に FPGS や ORIGEN2 用のライブラリーを作成する
 とともに、アクチニド崩壊熱のための基礎データの収集・整理に着手する。また、
 ヨーロッパのベータ強度関数の測定計画に出来るだけ関与し、理論計算の妥当性
 をチェックして行く。さらに、原子力学会標準委員会発電炉専門部会の新規標準
 (原子炉崩壊熱及び MOX 燃料に使用するアクチニド崩壊熱)作成に協力する。

 質議応答は以下の通り。
  C. 学会の標準化については、積極的に参加するよう部会に入って議論に加わっ
   た方が良い。
  Q. アクチニド崩壊熱に関する活動は、収集して整理するだけか?誤差等の評価
   は行わないのか?
  A. アクチニドの崩壊データは、誤差も含め一応あると認識している。

(2)核種生成量評価 WG
  配付資料7に基づき、奥村専門委員が内藤グループリーダーの代わりに説明した。
 13 年度は SWAT による PWR 燃焼計算から核種生成量に対する核データ依存性(JEN
 DL-3.2、JEF-2.2 及び ENDF/B-VI による違い)を検討した。また、ORIGEN コード
 による予測精度評価、要求精度の調査、スペクトルインデックスによる補正の検討
 等を行った。14 年度は、JENDL-3.3 に基づく、ORIGEN 用のライブラリーを作成す
 る。また、軽水炉照射後試験の解析、高速炉における生成量の評価等を進める。

 質議応答は以下の通り。
  C. JENDL-3.3 による ORIGEN 用のライブラリーは高速炉用も平行して作って欲しい。
  Q. 14 年度計画の高速炉での生成量評価に JENDL-3.3 が入っていないのはなぜか?
  A. 予定を作成した当時は JENDL-3.3 がまだ公開されていなかったので入れていな
   かった。JENDL-3.3 が公開されたので、当然入れるべきである。
  Q. JEFF-3 はいつでるのか?
  A. もうでているが、まだ、問題がありそうだ。

(3)核分裂収率評価 WG
  配付資料8に基づき、片倉グループリーダーが報告した。13 年度には 5 Gaussian
 ベースのシステマティックスを検討し、入射エネルギー 100 MeV 程度まで適用可
 能な新しいパラメータの目処をつけた。また、高エネルギー領域の核分裂に対して 
 QMD + SDM モデルの検討を行い、モデルで使用する準位パラメータのシステマティ
 ックスを求めた。14 年度はこのシステマティックスを用いて、IAEA の CRP におけ
 るベンチマーク計算を実施する。また、適用範囲の検討を行う。

3.常置グループ
(1)ENSDF グループ
  配付資料9に基づき、喜多尾グループリーダーが説明した。13 年度には A=120、
 126、128 の改訂が終了し、BNL へ送付した。A=128 は Nuclear Data Sheets に掲
 載された。14 年度も日本の分担範囲の質量数について引き続き改訂作業を実施す
 る。また、ユーザー向けのデータの編集としてマイナーアクチニドのγ線表をまと
 めるとともに、WWW 用核図表のデータを更新する。
 
 質議応答は以下の通り。
  Q. 日本の分担の 12 質量は多いか?米国では9割以上を担当しておりロードが
   多すぎるとの不満がある。
  A. 日本の分担をこれ以上増やすことは出来ない。世界中どこも同じだが人材が
   いない。

4.天体核物理のための新 WG
  配付資料10に基づき、千葉専門委員が新しい WG として「天体核データ評価ワ
 ーキンググループ」の設置について提案した。
  議論の結果、新ワーキンググループの設置は承認された。なお、以下のコメント
 が出された。

 C. 実際に元素合成のネットワーク計算を実施している若い人をワーキンググルー
  プに入れるよう考えた方が良い。

5.2002 年核データ研究会
  配付資料11に基づき、千葉専門委員が説明した。昨年は ND2001 があったため
 研究会は実施しなかったが、本年は 11 月 21 日、22 日に予定している。JENDL-
 3.3 が公開されたので、その作成・検証結果と今後の課題を中心に開催する。旅費
 は厳しくなっており、審査の上支給することになる。なお、論文締めきりは 6 月 
 26 日で実行委員会を 6 月 28 日に予定している。

6.シグマ委員会委員について
  長谷川委員がシグマ委員会委員の見直しについて説明した。委員会委員を削減す
 る必要があり、やむなく定年制を設けさせてもらった。この結果、本委員、WG メ
 ンバーから6名抜けることとなった。宜しくお願いしたい。但し、会合への参加は
 可能である。

7.本委員会について
  配付資料12に基づき、中川幹事が説明した。本委員会を 7 月に予定している。
 日程、特別講演の演題について議論して欲しい。

  日程については、7 月 18 日(木)を第1候補とし、7 月 19 日(金)を第2候補
 として調整することとなった。演題については、

 (1)天体物理と核データについて(千葉氏)
 (2)JENDL-3.3 のベンチマークのまとめ(高野氏または森氏)
    の2件に決定した。

8.次期 JENDL 検討委員会について
  配付資料13に基づき、長谷川委員が説明した。次期 JENDL のために検討委員
 会を設けて検討してもらいたい。グループリーダーとして柴田氏にお願いしたい。
 メンバーについては事後承認でお願いしたい。
  議論の結果、来年3月までのアドホック委員会として、「次期 JENDL 検討小委
 員会」を設置し、検討してもらうこととなった。

III. 報告事項

1.国際協力関係
  配付資料14、15に基づき、長谷川委員が国際核データ委員会、核反応データ
 センターネットワークセンター長会合について報告した。国際核データ委員会では、
 今後の IAEA の核データセクションのあるべき方向について議論した。核反応デー
 タセンターネットワークセンター長会合では、各地域センター間で格差の大きいデ
 ータコンパイレーションの活性化策が話し合われ新たな協力の枠組みが決められた。

2.核データ・炉物理特別会合
  配付資料16に基づき、中川幹事が報告した。9 月 15 日に4件2時間枠で予定
 している。

3.核データ部会関連
  吉田主査が日韓ジョイントセッションについて報告した。核データ関連では、吉
 田氏と李氏が参加した。秋には PHYSOR があるためジョイントセッションは設けな
 い予定である。

IV. その他

1.確認事項
(1)宿題事項の確認
   特になし
(2)次回日程とオブザーバー
    10 月 21 日の週を予定しておき、9 月になってから委員の都合を聞き決定する。