Previous meeting (2002/03/14)
         シグマ委員会標準炉定数検討WG第7回会合議事録 (案)

  日時   : 平成 14 年6月21日 (金)   13:30 - 17:30
  場所   : 住友原子力梶@会議室
  出席者 : 9人(順不同)
      高野 秀機、 長谷川 明, 島川 聡司(原研)、石川 眞、羽様 平(JNC)、
    山野 直樹(住友原子力)、佐々木 研治(ARTECH)、
       日野 哲士、瑞慶覧 篤(日立)

配布資料

 STD-7-1  シグマ委員会標準炉定数検討WG 第6回会合議事録(案)      瑞慶覧
  STD-7-2  原子力の基礎をささえる核データの最新版JENDL-3.3の公開   長谷川
  STD-7-3  汎用核計算コードシステムSRAC95-------  概要と適用性---- 瑞慶覧
  STD-7-4  米国原子力学会標準ANSI/ANS-6.1.2-1999           山野 
  STD-7-5  標準炉定数検討ワーキンググループ 今後の計画(私案)      瑞慶覧
  STD-7-6  高速炉用次世代炉定数開発の進捗状況          羽様、石川

議事内容
1. 前回議事録確認
    前回(平成14年3月14日)の第6回会合の議事録を確認後、承認された。

2. JSSTDL-Report作成・編集作業終了報告
  瑞慶覧委員より、前回の会議終了後に戴いたコメントを取り入れたJSSTDL-
 Report最終版を完成した、これで報告書作成・編集作業を終了し、原稿を筆頭者
 の長谷川委員へ委ねる旨の報告があった。

3. JENDL-3.3の公開: 近況報告
  長谷川委員より、資料STD-7-2に基いて、革新的な原子炉をはじめとする研究
 開発や放射性廃棄物の処理処分のための加速器の研究開発に必要な・不可欠な核
 データの評価活動を進め、5月10日に、最新版の評価済み核データライブラリー
 『JENDL-3.3』を公開した旨の報告があった。
  さらに、JENDL-3.3の概要とベンチマークテストの結果を紹介した。即ち、最新
 の測定データと核データ評価法の高度化によりJENDL-3.3では、JENDL-3.2の問題
 点を全て克服し、ベンチマーク炉心の実効増倍率の計算値も実験値と良好な一致
 を得ている。一方、他の評価済み核データファイルENDF/B-6, JEF-2.2との比較に
 より、JENDL-3.3が収納核種数が最も多く、最新の核データ測定値を網羅している
 事が示された。

4. 高速炉用次世代炉定数作成システム整備の進捗状況
  石川委員より、JFS群構造の基本炉定数と超微細群構造炉定数を併用する次世代
 炉定数の開発を進めており、前回は所謂ウルトラファイングループ(UF)効果を評
 価した旨の報告があった。その結果、例えば、冷却材ボイド(ドップラー)反応度
 では、JUPITER臨界実験では、-10(+4)%、 大型Na冷炉で-2(-0.4)%、Pb-Bi冷炉
 で+4(+3)%の効果があった。 今回(資料STD-7-6)は、これらの有意な差異のメカ
 ニズムを分析した。(a):冷却材ボイド反応度に関しては、実効断面積の変化が随
 伴中性子スペクトルに変化をもたらし、その結果非漏洩項が変化することによる
 ものである。一方、(b):ドップラ-反応度に関しては、スペクトルの変化が捕獲項
 の変化に反映される結果である。(a)は随伴中性子スペクトルの形状によっては、
 実機でも影響が大きくなる可能性がある。(b)に関しては、スペクトルの差が大き
 い炉心ほど影響が大きくなる。
  高速炉用次世代炉定数作成システム整備作業の一環として、JFS-3-J3.2の多群
 断面積ライブラリーの作成法の検証を行っている。前回報告したNR近似中性子ス
 ペクトルの計算式の誤り以外に、2次中性子散乱断面積の処理法に問題がある事が
 明らかになった。
    
5. 今後の計画
5.1 JSSTDL-300の学会標準への推奨と今後の対策
  前回宿題になっていた、当ワーキンググループ(WG)の原子力学会標準委員会へ
 のコミットメントに関して検討した結果、(1): コミットする、(2): 当WGメンバ
 ーから希望者を募り、学会に連絡する、事になった。 後日、各委員へe-mailで、
 参加の可否を調査する。  
  山野委員が資料STD-7-4に基づいて、米国原子力学会(ANS)標準の概要を紹介し
 た。 即ち、ANS標準委員会のSubcommittee ANS-6において、1975年から策定開始、
 BUGLE-80を1980年に標準として勧告。VITAMIN-C、SAILORを1987、88年に追加した。
 関連する標準には、原子炉崩壊熱に関するANS-5.1が標準ANSI/ANS-5.1-1994とし
 て登録されている。本資料には、その他、適用対象(Scope)、定義(Definition)等
 々が明記されているので、今後の標準化作業の参考資料とする。
          
5.2 今後の標準炉定数ライブラリ-
5.2.1 既存の標準的ライブラリ-の概要
  瑞慶覧委員より、前回予告していた「標準的既存ライブラリーの概要」として、
 最も標準的な位置にあり、一般の原子炉(軽水炉、高速炉、研究炉)に適用可能な
 SRACライブラリーに関して、資料STD-7-2により、計算コードの構成、断面積ライ
 ブラリ-の形式等の紹介があった。
  汎用核計算コードSRACは、所謂モジュラーコードで、多様な断面積ライブラリ
 ーとの結合性に富んでいる。熱中性子領域でも群数48群を確保しているので、典
 型的な熱中性子炉にも十分適用できるが、今後、ADS解析への適応性などを考慮す
 ると、標準ライブラリーとしては、上限エネルギーを20MeVまで拡張して、群数を
 増やした方が良いとのコメントがあった。これらの件に関しては、森氏(原研)と
 連携を密にして、今後のSRAC改良に反映して頂く事になった。
 
5.2.2 JENDL-3.3に基づくJSSTDL-300について
  長谷川委員より、JENDL-3.3に基づくJSSTDL-300(仮称JSSTDL-300/J3.3)を作成
 するとの報告があった。一方、ライブラリー作成ツールとして、部分的にNJOYを
 用いるのではなく、一貫してNJOYを用いた方が良いのではないかとのコメントが
 あった。なぜなら、NJOYは、炉定数作成コードとして世界的に普及しており、コ
 ードの保守・点検は世界的な規模で常に行われている。
  
 5.2.3 将来の標準炉定数ライブラリ-の概念に関する討論
  前回提示した「標準炉定数WGの今後の計画」の補足資料として、瑞慶覧委員が
 資料STD-7-5(今後の計画に対する私案)を提示し、討論した。私案の骨子は以下
 の通り。
  (1): 背景、(2): 「標準炉定数」の「標準」の定義、(3): 推奨可能な「標準炉
 定数ライブラリー」として以下のものが考えられる。
  高速炉 詳細計算: MVP Code & Lib., 次世代JNCシステム、
      設計計算: JAERI-FAST-SET, SRAC Code & Lib. 
  軽水炉 詳細計算: MVP Code & Lib.
      設計計算: SRAC Code & Lib.
  遮蔽  詳細計算:  MCNP Code & Lib.
      設計計算:  JSSTDL-300/J3.2, /J3.3(将来) 
 (4): 標準炉定数ライブラリーの標準化(ライブラリー選定手順、標準化作業、信
 頼性評価、使用実績)、(5):当標準炉定数検討WGの活動。 

5.3 平成14年度 活動方針
  討論の結果、まず、「標準化」のモデルケースとして、SRACを取り上げ、上記
 (4)に沿って標準化の工程を進めてみる事になった。そのため、信頼性評価の一環
 としてSRACによるベンチマーク解析結果の調査、SRACの使用実績を調査する事に
 なった。
        
6. 次回会合
  10月30日(水)、13:30-17:30