Previous (2002/10/03)
シグマ研究委員会平成14年度第2回核種生成量評価WG議事録
1.日時
2003年3月7日(金) 13:30〜17:00
2.場所
日本原子力研究所東海研究所第2研究棟2階221会議室
3.出席者(敬称略)
内藤(ナイス;グループリーダー)、奥村(原研)、大川内(JNC)、大木(JNC)、
石井(日立;青山代理)、松本(三菱)、安藤(東芝)、山本(GNFJ)、松村(電中研)、
リンペンホン(ナイス;オブザーバー)、片倉(原研;部会長)
4.配布資料
14-2-1 シグマ研究委員会平成14年度第1回核種生成量評価WG議事録(案)
14-2-2 2002年核データ研究会発表資料の報告
14-2-3 「ORIGEN計算の要求精度」に関するアンケートの集計(案)
14-2-4 JENDL,JEF,ENDF/Bによる軽水炉高燃焼UO2燃料の照射後試験解析
14-2-5 高速炉における核種生成量評価に対する核データライブラリーの比較
14-2-6 JENDL-3.3に基づくORIGEN2用ライブラリーの作成について
14-2-7 日本原子力学会標準委員会の崩壊熱標準化に対する崩壊熱評価WGの取り組みに
ついて
14-2-8 核種生成量WG今後の活動のための検討資料
5.議事内容
5.1 平成14年度第1回核種生成量評価WG議事録の確認
配布資料14-2-1に基づき、前回議事録案が紹介され、確認した。
5.2 2002年核データ研究会発表内容の紹介
配布資料14-2-2に基づき安藤委員から発表内容の紹介があった。
5.3「ORIGEN計算の要求精度」の検討
配布資料14-2-3に基づき「ORIGEN計算の要求精度」に関するアンケート集計結果につ
いて松村委員が報告した。要求精度を検討する目的を明確にする必要がある。現状資料
では、要求精度に対する合理的説明が欠如もしくは不足しているので、その点を補足し
て欲しい。(安全評価や設計がどのように行われ、どの値がどのように影響しているか
を分析する必要がある。)また、「ORIGEN計算の要求精度」というよりは、「核種組成
評価の要求精度」とした方がよい等々のコメントが出された。これらのコメントを参考
にしてさらに検討することとした。
5.4 軽水炉高燃焼UO2燃料の照射後試験詳細解析について
配布資料14-2-4に基づき奥村委員の報告があった。高浜PIE解析において、測定デー
タとして冷却補正された炉停止時の値をSRACによる計算値と比較していたが、Am241、
Cm242、Sm149の測定値の傾向が計算値と比べて特異であり、冷却補正に問題があった可
能性があるため、補正前の測定値と今後比較する予定であるとの報告があった。Cm242
のように短寿命核種の組成は炉停止の方法(出力履歴)にも依存しそうであるので、この
点も調査することが望ましいとのコメントが出された。また、従来のJENDL-3.2による
SWATやORILIBJ32によるPIE解析でSm152の過大評価やEu同位体の過小評価が問題とされ
ているが、これはSm152とU238の共鳴干渉が精度良く扱われていなかったことが原因で
あり、JENDLの問題点ではないとの報告があった。
5.5 高速炉における核種生成量評価に対する核データライブラリーの比較
配布資料14-2-5に基づき大木委員から、60万kWe級高速炉増殖炉の体系で、平衡サイ
クル末期数密度の核データ依存性(JEF-2.2、ENDF/B6 Release5、JENDL-3.2、JENDL-3.3)
について報告があった。燃焼感度解析の結果、着目核種数密度のライブラリー依存性に
寄与する核種、反応、エネルギー領域が定量的に示された。まだ、検討は不十分であり
今後さらに検討を進める。また、Am241捕獲反応の核異性対比の効果について報告があ
り、同体系ではJENDL-3.3とENDF/B-VIの核異性体比の差異は、特にAm242mの生成量に
40%程度の大きな影響を与えることが示された。JENDL-3.3の核異性体比(~0.7)はJENDL-
3.2による常陽MK-IIのPIE解析で見られたAm242mの過大評価を更に拡大する方向にある。
感度解析の結果からはライブラリーをJENDL-3.3にしても差異は拡大する。JNCでAm241
サンプルの照射が計画されており、その試験結果が期待される。なお、JENDL-3.3によ
る常陽MK-IIのPIE解析は、JNCのスケジュール上、来年度の対応は困難になるかもしれ
ないとのことであった。また、高速炉体系における1群核異性対比をAm241捕獲反応率の
重みを考慮して評価してほしいとの要望があった。
5.6 JENDL-3.3に基づくORIGEN2用ライブラリーの作成
配布資料14-2-6に基づき片倉委員からライブラリー作成作業の報告があった。PWR及
びBWR用ライブラリーの種類はJENDL-3.2を用いて作成したケースと同じ(24種類)である。
このライブラリーを用いてORIGENによる燃焼計算を行いJENDL-3.2から作成したライブ
ラリーを用いて計算した場合と比較した結果が報告された。アクチニド核種については、
UO2体系でJENDL-3.2と-3.3の間に最大5%程度の違いが見られた。ただし、U-235の(n,2n)
反応の改訂により、U234の初期組成がゼロの場合には、U234の数密度が8%程度の大きく
なる。Am241の数密度は最大6%程度小さくなった。全体的な傾向はSRACによるPIE解析の
結果と一致していることが確認された。FP核種については、今回はU238とSm152の共鳴
干渉が考慮された結果、Sm152の生成量が最大15%小さくなり、同時にEu154、Eu155、
Gd155が10%程度大きくなった。これらは従来のPIE解析の結果と照らして改善の方向で
ある。今後ライブラリーの公開に向けて更なる検討を進める予定である。
5.7 崩壊熱標準化作業に対する協力について
配布資料14-2-7に基づき片倉委員から日本原子力学会標準化委員会の崩壊熱標準化に
対する崩壊熱評価WGの取り組みについて報告があり、標準的な核種生成量を如何に算出
するかについて当WGの協力が期待されている。この点については、来年度以降の活動の
中で協力して行くこととなった。
5.8 残された課題と今後の活動計画
配布資料14-2-8に基づいて内藤WGリーダーから問題提起があり自由討論をした。残さ
れた課題の内、「スペクトルインデックス」、「核種生成量計算精度の要求」及び「JE
NDL-3.3ベースORIGENライブラリーの作成」については、来年の春を目処に報告書にま
とめる方向で作業をする。なお、ORILIBJ32のユーザーからどのライブラリーを使用し
て良いか判断に悩むケースがあったとの報告があり、ORIGENライブラリーの公開に当た
っては、ライブラリーの適切な使用方法に関して記述する必要があるとの指摘があった。
また、ORIGENライブラリー作成に必要なコードは全て公開されており、ユーザーが必要
なライブラリーを一括して作成できるようなシェルスクリプトなどを整備して公開する
ことが提案された。その他、今まで検討してきた作業の詳細については、各機関の報告
書にまとめてもらい、それらのエッセンスをWGの報告書としてまとめる方針が出された。
今後の計画としては、本WGの役割である、(1)核データ評価への貢献と(2)核デ
ータファイルの利用促進のために、燃焼詳細解析を進めるとともに崩壊熱標準化作業に
協力する。
最後に内藤グループリーダーから奥村委員へのリーダー交代の提案があり、了承され
た。今年度の活動報告と来年度の活動方針については奥村委員がシグマ研究委員会で行
うこととなった。
(以上)